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今度はあなたの手を離さないよ
久々に職場の同僚から電話があった。
「もう大変なのよ」
と電話の向こうで愚痴をこぼしている。私は幸いにも変化のない毎日を送っている。だからいつもと違うことがある時はNOTEのネタになってしまう。同僚もNOTEに書かれているなんて夢にも思わないだろう。
彼女は中間管理職として忙しい毎日を送っている。それでも気にかけてくれることが嬉しかった。働いていた時にはお互いの持ち場があわただしくてゆっくり話すことはなかったけど、わたしが休職した時に一番に連絡をしてだれよりも心配してくれた人。どんなに大変な時でも彼女が頑張っていたから私も踏ん張れた。職場で唯一本音で話せる人だった。
心が病んで何もかも自暴自棄になっていたころ、彼女は毎日LINEを送ってくれていた。
「あいかもちゃんの安否確認せぇなんけん」
と、面白くして私に気をつかわせないように配慮してくれる。そんなところが優しい。
「夜中、一緒に勤務表作っていたころが懐かしいよね」
勤務中にできなかった仕事を夜中にこっそり来ては片づけていた。お互いの愚痴を言いあいながら手も動かして。あの時はまだまだとがっていて、自分が職場を変えなければと粋がっていたなと思い出す。疲れてきたら中庭で缶コーヒーを片手にタバコを吸いながら上の人たちのこんな所が駄目だとか、部下の育成をどうしていこうとか。気づけば仕事そっちのけで語り合ってたっけ。管理職としてはまだまだ未熟な私たちには本当に大事な息抜きだった。
彼女の愚痴を聞きながら一生懸命やっていた自分を思い出す。
辛かったけど、楽しい事もあったなと。
「みんな心配してるよ。○○先生もあいかもはいつ戻ってくるんだといつも聞いてくるんだから。あいかもちゃんの味方はいっぱいいるんだからね。」
その言葉に涙が出そうになった。
自分のことしか考えられず、逃げ出すように去っていった私のことをいつまでも覚えててくれている。やりかけの仕事も全部投げ出してたくさんの人に迷惑をかけただろう。「無責任な人」と非難されても仕方がないと思っていた。もう職場には居場所はないし、戻ってくることさえも迷惑でしかないと。
こんなにも私が踏ん張っていたことを見ていてくれたのだ。
どんなに頑張っても結局は要領のいいひとが認められると決めつけていた。
でも私には一生懸命しかできないから与えられた仕事をただがむしゃらにやっていただけだ。
彼女の言葉に今までの努力は無駄じゃなかったんだって思えた。
ありがとう。
「今度またご飯食べに行こうね」と約束し合い電話を切った。
いつか一緒に働ける時が来るだろうか。まだまだ不安に押しつぶされそうになるから想像もつかないな。
もし彼女と仕事ができるようになったら、またあの中庭でタバコを吸いにいこう。もっとあなたと語り合いたい。今度はわたしがあなたの手を離さないから。
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