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夢か現か幻か(鉢植えの赤いダリアと黒い雨)
これは「これが明晰夢なのかな・・・」と後から気付いた不思議な不思議な夢のお話です。
因みに明晰夢とは、睡眠中に見る夢のうち、夢であると自覚しながら見ている夢のことをいうそうです。
note.クリエイターさんの中には、明晰夢マスターの方が沢山いらっしゃるみたいなのでとても心強いです。家族は全く信じてくれないので。
さて、これからお話しするのは、今から約2年前の夏。
とても暑く、何度も目覚めては寝るを繰り返す寝苦しい夜でした。
後から知ったことですが、明晰夢はレム睡眠(浅い眠り)下で好発する現象とのこと。
寝ては覚めてを繰り返していたこのとき、まさに打ってつけの状況だったと推察します。
では早速夢の世界へ。
宜しければご一緒ください。
人けのない大通り
あるとき私は、とある大通りに立っていた。
通りの両側は廃墟ではなく、確かに人間の生活が営まれているだろう建物が連なっている。
軒先に干された洗濯物、郵便受けから半分飛び出した新聞、犬小屋に置かれた器…。
だが、昼下がりというのに人がいない。誰もいない。
車や鳥、犬、猫さへも。
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異様だ、異様だ、異様だ…
とても不安になる。
ふと、視界に赤いダリアの鉢植えが入った。
瀟洒な玄関先に、ひときわ存在感を発する赤のパワー。
辺りはモノクロの世界。なので一際目立っていた。
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引き寄せられるように近付いてみると、鉢植えの中には数匹の蟻が。
まるで外界の異様さには我関せずといった風に、せっせと動き回っている。
「生き物がいた。。。」
動くもの、生の営みを目にし、一瞬ホッと溜息を付いた。
「この家には人がいるのだろうか。いたら電話を貸してもらおう…。」
スマホを持参していなかったのか?
そもそもスマホの時代ではなかったのか?
「玄関先に花が置かれている家の住人は親切な人だ。」
子供の頃からの思い込みが夢の中でも生きている。
何とも不思議な感覚だ。
…
ゴオオ…
ん?
…
ゴオオオオ…
地面、、揺れてるのか?
巨大な戦車
「マジかっ、戦車。。。」
「これ、絶対ヤバいヤツじゃん。」
戦車はこちらに向かって進んでくる。
それも大火砲付きの鉄の塊。
近付いて来るにつれ、その尋常ではない大きさが顕にされる。
自分はかなり危機的状況に置かれている。
「もうダメじゃん、、フっ」
精神的に追いつめられると笑ってしまう癖が、夢の中で発現する。
「戦車の上に、んっ?人が居る?」
この世はこの男が支配し回しているのか…。
そんなことはすぐに理解できるほど強烈な印象だった。
絶対目を合わしたらダメだっ!
気付かれたらダメだっ!
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茂みに身を隠す
咄嗟に、軒下の茂みに身を潜めた。
人一人がやっと隠れる程度の大きさだ。
楕円形のフォルムに硬めの葉。
頬を掠った際のチクッとした痛みを覚えている。
一体どんな植物だったんだろう…。
後から夢を回顧した際、個々の物体のディテールが気になったりするものだ。
身を潜める瞬間、開きっ放しの窓から、壁に掛けてあるカレンダーらしきものが見えた。
1945 という数字。
そのときは、とにかく身を隠すことしか頭になく、深くは考えなかった。
ただただ、数字の羅列を認識したに過ぎなかった。
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もっとしっかりと身を隠せる場所を求め、庭の奥に進んでいった。
小さな洞穴を見つけ、そこで待機することにした。
湿度が高くとても黴臭い。居心地は最悪だ。
「でも先程の場所より安全だろう。」
気配を消すことができそうな小さな空間に安堵した。
元いた場所から距離を置きほっとしたのも束の間、事も有ろうか戦車が住宅街の細い路地を左折してきた。
運悪く洞穴はその路地に面している。
(車体の大きさからして絶対無理な道幅。しかしこれこそが夢の世界。)
戦車が轟音とともに近付いて来る。
下手に動くと見つかってしまう。絶対絶命の危機。
と次の瞬間、戦車上の軍将校と目が合ってしまった。
目深にかぶった軍帽の下に意味深な笑み…
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「えっ。。。」
突然の爆風
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有り得ない程の、閃光、爆風と砂埃。
強烈な風に打ちひしがれ息が出来ない。
富士急ハイランドのFUJIYAMAの最高地点から落下するときの風圧など比ではない。
この時の感覚は強烈に脳裏に焼き付いる。
恐らくこれまでの人生で、最大限に五感が機能した瞬間だった。まさにこの画通りのイメージ。
もっと細かな情景描写をしたいが、上手く伝えられない。自分の文才の無さが悔やまれ歯痒い思いだ。
かなり長い時間、この状態が継続していたように思う。
黒い雨
どのくらい時間が過ぎたことだろう。
気付くと爆風も去り、わたしはその場で横になっていた。
束の間、気が遠のいていたようだ…。
…ポツ、ポツ、ポツ…
石の上には、まるで墨滴を垂らしたかのような点描が。
点はどんどんと繋がり拡がり、辺り一面を黒の世界へと染め上げていく。
黒い雨。
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このとき初めて何かが繋がった。
戦車、軍将校、閃光と爆風、黒い雨。
そしてカレンダーの1945という数字。
1945年。
わたしは今、第二次世界大戦の最中にいる。
そして、8月6日広島で起きた人類史上最大の悲劇との関連を考えずにはいられなかった。
いや待て、わたしがそんな時代にいる筈がないのだ。大いに混乱した。
2つの可能性
ここは現実の世界ではない。
すぐにタイムスリップしたか、もしくは夢の中にいるのだと思った。
そして、現実の世界に戻るための術を探った。
<その1>タイムスリップ
夢と現実との往来のタイミングは、いつも突然やって来る。
そうそう思い通りにならないものであることは、過去に観た韓ドラ「シンイ~信義」で学習済みだ。
夢の中で現実世界での記憶が役立つとは何とも不思議である。
この方法では、いつ戻れるのかわからないので即却下。
<その2>夢の中にいる
夢なら醒めてよ。
夢なら自分で醒ますことができる。
これなら自力でなんとかできるかも知れない。
これしかないか。
なんとしても目醒めるんだ。
夢と現実との往来
黒い雨の中に飛び出せば目醒めるかもしれない。
とも考えたが、その勇気はなかった。
それならばと、掌で両眼を押し当ては離しを繰り返してみた。
何度か繰り返しているうちに、
押し当てているときは夢の中、離したときに一瞬カラーの世界が見え隠れするようになった。
「起きろ起きろ起きろ。」
心の中で何度も念じた。
戻れるかと思ったらまだ夢の中。
そんな状況が何度も何度も繰り返されていたように思う。
これには、かなりの恐怖感を覚えた。
イメージ的には、(呼吸はできるが)溺れかけの状態で水面と水中を行ったり来たりしているような感覚だ。
ふっと気の抜けたとき、自室の赤い壁時計が目に入った。
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「やっと戻れたのか?」
もう、恐怖で眼を閉じることができなかった。
心臓がバクバク音を立てている。
しばらく放心状態だった。
「もう勘弁してこんな夢。」
夢の後半ではありますが、
”これは夢であると自覚して自ら行動を起こす”ことのできた初めての体験でした。
思うに、夢の中で夢であると自覚するためのポイントの一つとして、
夢の中において、自身の記憶や知識とズレている(相違している)ポイントを複数見つけること
だと考えます。
今回は「1945年に自分がいる筈がない。」と気付くいくつかのポイントがあった訳です。
戦車と軍将校だけでは、ふと目にしたカレンダーらしきものの「1945」が「1945年」であるとの確定条件としては不足しています。
ですが、爆風と黒い雨が加わることにより、はっきりと確信に変わったのだと考察します。
まさに点と点が繋がって線になるようなイメージです。
Image Creatorに夢の世界を描かせる
Image Creator from Designerというツールを使って、夢の世界を描いてもらうという試みに挑戦してみました。
これこそ、AI生成技術の使いどころだと感じています。自力では100%無理です。
「夢のイメージを言語化して伝える。」というのはなかなか困難ですが、思い通りのイメージが生成されたとき、夢の記憶がより鮮明に蘇ります。
今回の出来は、そこそこの60点。
明晰夢。
この後も何度か見ています。
そのお話はまた今度。
不思議な夢のお話にお付き合いいただきありがとうございました。