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歯医者さんで好きな音楽ジャンルを問われたので答えたら…

つい先日、数年ぶりに歯医者に行きました。
というか、夫に連れて行かれたのですが。。笑

ブラジル人は歯をとても大切にしてる気がします。
デンタルフロスを使うのは当たり前だし、歯科矯正も年齢関係なく始めるし。

実は、私も日本で歯科矯正したんです。
始めたのは小学5年生の頃。当時は珍しかったので、近所のおばさんに「芸能人にでもなるのかい?」と言われたり、男子にからかわれたり。

銀色に光る大きな器具が恥ずかしくて、当時の写真は歯を見せて笑っているものが1枚もありません。

でも、今思えば歯科矯正させてもらえて本当に良かったと両親に感謝しきれないです。

なので、絶対に入れ歯や差し歯にならないように!と、歯磨きとデンタルフロスは頑張ってきたのですが、ブラジルに来てから数年目、前歯の裏側がうっすら黒くなっていることに気付きました。

「ブラジルで良い歯医者を探すのは難しい」と聞いていたので、サンパウロに着いてからずっとお世話になっているKさんに、日系人の歯医者さんを紹介してもららうことに。

日系人のヒカルド先生は、看板もないリベルダージの一軒家の一室で治療をしていました。
看板がなくてもやっていけるのは、きっと腕の良い先生なんだろうと一人で納得。

受付はもちろん、歯科助手もおらず、歯医者独特のBGM(ジブリの曲、オルゴール盤みたいな)もなく、静まり返る室内で診察スタート。

仰向けになるとお腹が鳴ってしまう体質の私は、変な汗をかき始めました。

そして治療よりも、費用が心配で(なぜなら無保険だから)。泣

診察してから、先生は日本語で「黒くなった部分は、前に治した歯の詰め物が色素沈着してる」と説明してくれました。

虫歯じゃなかったと喜んでいたところ、先生は目の粗いサンドペーパーみたいなものを私の黒くなった歯と歯の間に挟み込んで、ガリガリガリ〜。
豪快に削られました。

痛いというか、その音にビックリして気絶するかと思いましたよ。。

そのあと綺麗に処置してもらい、下の親知らず(上は抜歯済み)は「まだ埋もれ気味だから、いずれ抜くと良い」とのことで治療完了。

緊張のお会計は150レアルと良心的(当時の物価でいうと、私の1週間分の食費ぐらい)
500レアルぐらいを想像していたので、凄くホッとしていたのを覚えています。


それから数年経った今。
「もう予約したから」と言われ、渋々連れてこられた先は…

商業ビルのレセプション

え…なんかすごい所だな。。

我々の住む街で今一番開発が盛んなエリアにある商業ビルの中に、私がお世話になるマイーザ・ヨシダ先生(偶然にもまた日系)のクリニックがあります。

セキュリティチェックを済ませ、クリニックのある高層階まであがると、輝かしい入り口が!!

オリエント歯科の入口

入ると、すぐに大きなテレビとお洒落なソファ。
最新のカプセル式エスプレッソマシンに、数種類のハーブティーのティーバック、冷蔵庫にはコーラ、ジュースとハイネケン(なぜ?笑)。
ピッカピカに磨かれた彫刻入りグラスとカップ&ソーサー、金色のスプーン、ガラスのシュガーポット…

ソファに座る間も無く奥から男性が現れ、「お飲み物は何が良いですか?」と聞かれました。
私は朝食をとったばかりだったので断ると、受付のために別の部屋へ通されました。
男性はマイーザ先生の夫で、同じく歯科医だそう。

通された部屋には動物の彫刻やら、よく覚えていないけど世界各国のお土産的なものが、ウォールシェルフに等間隔で飾られていました。
身分証明書などを提示し、問診を受け、インスタグラムのアカウントを聞かれました(フォローされた。笑)

そして、なぜか好きな音楽ジャンルを問われました。

受付が終わり、診察室へ。
診察台に座って先生を待ちます。

1分もしないうちに、
「ボン・ジーアぁぁ!!(おはよ〜)」
マイーザ先生、ハイテンションでご登場。

まつ毛がばっちりカールされ、眉毛もキレイにマイクロピグメンテーション(今ブラジルで流行ってる眉毛のタトゥー)で整えられています。歳は私よりちょっと上ぐらいかなぁ。

「は〜い、倒しますよ〜」
活気あるマイーザ先生の声と共に、診察台が倒れ始めると…

ガチャン!!

ウィーーーーーーン

なんと!!
閉まっていた窓のシャッターが自動で上がり、高層階からの眺めの良い景色が現れたのです!!!!

これ、弟夫妻が横浜ロイヤルパークホテルで挙げた結婚式の新郎新婦入場を思い出しました(入場する時に、カーテンが上がって景色が現れるんですよ)。

結婚式バリの凄い演出に、思わず笑いがでてしまいそうだったのも束の間、なんと天井を見上げると、どデカいテレビモニターが!笑

そして、ジャヴァンのショーが始まりした。

あぁ〜〜!!
さっき受付で好きな音楽ジャンル聞かれたの、これだったんだ。。

私は、MPB(ブラジルのポップス)とボサノヴァと答えたんです。
ジャヴァンのあとはカッシア・エレール、カズーザなど、MPB第二世代以降って感じのプレイリスト。
ミルトンとかカエターノ、シコ・ブアルキではなかった。

マイーザ先生も時々鼻歌、というかけっこうガチで歌いながら診察していました。

この音楽システム、凄いけど、必要かな??
と、あとで夫に聞いてみたら「観てれば気が紛れるでしょ?自分みたいに歯医者嫌いにはありがたいよ」とのこと。そうですか。。

ちなみに、一度もボサノヴァは流れませんでした(プレイリストがないんだろうな)。

診察とクリーニングをして、レントゲン撮影。

最後は、唇のケアとして、スクラブのようなものを塗ってもらい、リップグロスでテッカテカにされて終了です。
せっかく歯を綺麗にしたんだから唇もケアするって、なかなか粋な計らい。

クリーニング後、歯茎が生き生きとしているように見えました!
先生に正しいデンタルフロスの使い方を指導してもらい、これからも歯を大事にしよう〜と思っていたら…

受付した部屋に呼び戻されました。

なんと、虫歯があったんです。。泣
しかも1本ではない!!
更には、ヒカルド先生が予告していた下の親知らず2本も、抜いた方が良いとのこと。

目が飛び出る程の金額の見積り書をもらい、治療(と支払い!泣)がスタートすることになりました。

ちゃんと毎年定期検診しておけば良かったと、かなり落ち込みましたが、「治療せず悪化して、差し歯になるより安いよ」と夫に慰められ、隣のショッピングモールでダンキンドーナツ買って帰りました(虫歯あるのに懲りてないw)

ちなみに、マイーザ先生が独立して、この高級ビルにクリニックを構えたのは最近のこと。

夫は先生が旧市街の大衆的な合同クリニックで働いている頃から診てもらっているのです。
先生は腕も良いし、もう10年以上の付き合いなので、先生の独立と共にこちらにお世話になることにしたそう。

合同クリニックは、経営者が複数の歯科医を雇うシステム。
歯科医の給料は歩合制もあれば、日給もあるそう。
安価である分、待ち時間が長かったり、治療があまり上手じゃない先生もいるんだとか。

一方で、個人クリニックは完全個別対応。
待ち時間もないし、ゆっくり治療をしてもらえます。その代わり割高。

これはヘアサロンも同じです。

大衆的なサロンなら50レアルぐらいでカットできるけど、個人サロンはその3倍のお値段(その代わり、使ってるシャンプーがケラスターゼだったり、エスプレッソコーヒーのサービスとかある)。

そして、個人クリニック&サロンは評判が大事。
例えばインスタのフォロワー数や、Google mapsの評価とか。
だからマイーザ先生のクリニックもインスタにお金と時間をかけてるんですね(フォロー返ししてみたら、投稿が凄いゴージャスだったよ)。
確かに、最近はインスタ経由にクリニックやヘアサロンを探す人が多いんですよね。

大衆向けと高級志向。
その間がないんだよな、ブラジルには。。

(ちなみにブラジルの公立病院は無償でして、歯科医もあります。でも予約とるのが大変だとか)

高級志向のお店は、基本的に1対1のスタイルで特別感を出し、プライバシーを重視。

コロナ禍で更にそうなったかも。

高く払う分、技術とサービスを受けて当たり前という考えに加えて、“特別扱い”されることが好きなブラジルの中流層の心理を捉えているのかもしれない。

なーんて、歯医者に行っていろいろ考えたのでした。

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