ブラジル留学日記05「踊りにきたんじゃないか」
昨日のフンド・ジ・キンタウ事件に懲りずに、今日もライブに行く。
日本にいた頃からよく聴いていたクルビ・ド・バランソというサンバ・ホッキのグループのダンスパーティーだ。
サンバ・ホッキ(Samba Rock)とは、その名の通り、サンバとロックの融合で、踊れる音楽の代表である。ブラジルで大人気というわけではないが(ブームは過ぎ去っている)、今でも根強いファンが多い。
入場料は事前予約をすれば10レアル安くなる。
この日、はじめてポルトガル語でメールを書き、なんとか私と友人(日本から旅行しに来ているNさん)のチケットを予約することができた。
サンパウロに着いたばかりで土地勘もなく、メトロに乗って会場まで「歩く」という選択肢がなかったので、滞在先の東洋人街リベルダージから友人Nさんとタクシーでヴィラ・マダレーナに向かう。
車内で昨日あった出来事を話しているうちに、今日のライブもちゃんと開催されるのか少し不安になってきた。
目的地に着いたが、分厚い塀に小さな扉があるだけで、中が一切見えない。
しかも早く着きすぎたのか、物音も人の気配もせずに一気に不安が増した。
思い切ってその小さな扉を開けると、受付らしきご年配の女性が私たちに気づいて近付いてきた。
つたないポルトガル語で、予約ができているか確認してもらった。私の名前はAから始まるので、女性は予約リストからすぐに見つけてくれた。
一安心したので、近くのお店で腹ごしらえ。
会場の近くにあった海鮮料理屋に入ってみたが、食べたことないものばかりで、メニューをみてもわからない。
とりあえずアンチョビチップスを頼み、オレンジジュースを飲んだ。
後から知ったが、けっこう有名店だったそうだ。
開演1時間前になったので会場に戻って受付を済ます。
奥に入ってみると、、
小さな扉からは想像もできないような空間だった。
会場に着いた友人をハグする人(ブラジルの挨拶は基本ハグか握手)、そしてその人の輪から笑い声があふれていた。
この空間にドキドキしたが、実はもっとドキドキする出来事が私を待っている。
なんと、バンドのボーカルであるマルコ・マットーリに、日本の友人ウィリーさんからの預かりもの(プレゼント)を渡すという任務があったのだ。
ちょうど会場内でリハーサルを終えたマルコのところへ向かう。
練習通りのポルトガル語で、預かりものを無事に渡すことができた。
マルコはウィリーさんの言う通り、とっても優しい人だった。
「無事に会場に着いて、預かりものを渡す」
このミッションが無事に終わってホッとしたのか、私は急にテンションが上がってきた。
会場は2階建てなので、Nさんと登ってみる。
ベランダがあったので外に出てみると、そこにはバンドメンバーであるマエストロ・チキーニョとマルセロ・マイタがいた。
ブラジルの面白いところは、同じ空間にいる人と何気なく世間話がはじまるところかもしれない。
気付いたら、この輪にバンドメンバーやお客さんが増えて、なぜか皆で写真をとるほど話が盛り上がった。
開演時間を大幅に遅れて、ショーがスタート。
舞台はお客さんのために開放されて、バンドメンバーは床に円を描くようにセッティングしている。
ショーを見ると言うよりは、ひたすら踊るという、本気のダンスパーティーだ。
しばらくは念願のクルビ・ド・バランソ生演奏を聴きながら、まわりの上手なダンスを見て体を揺らしていたのだが、先ほどベランダで仲良くなった人たちと再会した。
男性たちは一緒に踊ろうと誘ってきた。
私はブラジルに来る前、ガフィエイラ(サンバに合わせて踊るブラジルのペアダンス)の基本的なステップは習いに行ったのだが、サンバホッキは踊ったことがなかった。
サンバホッキはペアで手を繋いだら、その手を離さずにクルクルまわるダンス。
男性陣がエスコートしてくれたが、反射神経が激鈍い私は0.5秒ほどテンポからずれて、ただ回されているだけだった。笑
それを見て気の毒に思ったのか、日系ブラジル人の男声は私と踊る時に超基本のステップ(右、右、左、左)で踊ってくれた。
この日の映像ではないが、同時期に開催された別日の映像があったので貼っておこう。
全然踊れていないけど、踊れたような気がしたのは、1杯だけと頼んだカイピリーニャのおかげだろうか。
そうだ、私はブラジルに踊りにきたんじゃないか!!
パーティーはまだまだ続くが、昨日の疲れもあったのか眠くなってきたので24時前に会場を後にした。
ヴィラ・マダレーナからリベルダージまでのタクシー代は結構かかる(この当時、配車アプリがなかった)。
でもまた来月も踊りに行きたいな。
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