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生きる。そして映画。

石垣島で映画上映会が今日からはじまった。「ばちらぬん」がやっと八重山にきた。
ゆいシネマを守る会の皆さんの御協力のもと、配給会社ムーリンプロダクション主催で叶った今回の上映会。
舞台挨拶が12回もある…何を話せばいいのだ…。未だに人前にたって話すのが苦手の苦手である。変にニヤニヤしてしまう。防衛本能だろうな。大人の笑顔ってやつ。自分が嫌いなやつ。
だからいつも舞台挨拶がおわってロビーに出たあとの一人一人と話す時間の方がよっぽど好き。声をかけてくださってありがたい気持ちでいっぱい。ほんとは皆ハグしたい。
映画をつくって、人がそれを観るまで、長い時間と労力の末にやっと届けられる。時代を超えても観た一人一人あなたがゴール。

その上映会のために石垣島に2週間ほど帰ってきている。
そんな今日は上映会初日。そして親戚の告別式だった。
このタイミングも引き合わせてくれたのだと感じている。東京にいたら来ることが出来なかった。故人とはコロナになる前のお盆に会ったのが最後だった。笑顔の素敵なあたたかい人、天寿を全うされた。
上映会宣伝のためのラジオ生出演が今日あったわけだが、実は火葬場の駐車場、車の中からお送りしていた。電話越しに笑顔かまえて防衛本能。
お葬式から映画上映会へ、そんな稀有な日もあるようだ。
人の死、それは私が俳優をめざした始まりだった。消えることが怖かった。何事も知らないことは怖い。理解ができないものに対して身構えるし、時に傷つけてしまう。

それでも映画が上映される日々が今日も在ることに感謝したい。

先日の福島、宮城の地震、夜中に3.11を思い出させる大きい地震だった。20日はいわきでPFF in いわきで「ばちらぬん」が上映される。ほんとは会場へ行くはずだったけれど、八重山上映会とかぶったためにリモート参加の予定。
開催中のいわきポレポレ映画祭は予定通り続行するとのこと。映画祭関係者の皆様には足を運べず申し訳ない気持ちと、映画を上映してくださり感謝の気持ち、そしてどうか何事もなく無事であってほしい願いで溢れている。今も震度3ほどの地震が続いて起きている様子。東北の方々の無事を祈ることしかできずはがゆい。

終わらないウクライナとロシアの戦争は、日本の国境与那国島の緊張感も高まる。
21世紀にこんな戦争が起きて、SNSでは生の声がリアルタイムで流れてくる。ある日突然戦車が乗り込んできて爆撃にあう、ミサイルを打ち込まれるなんてこと想像できるだろうか。いや、想像しないといけない現実がある。学校に行けない子供たち、隣国へ避難せず戦う選択をした民間人、増える志願兵、再び銃を持つ戦争を生き抜いたお年寄り。誰も望まない光景だ。
銃の代わりに楽器を手に音楽を奏でる現地の人々、平和の祈り、争いの悲しみ、または自分たちを鼓舞するような強い音楽。哀惜の念に堪えない。
多くの命を失う戦争はいい加減終わってくれ。

東北もウクライナも島から物理的距離は遠いかもしれない。けれど決して他人事にあらず。
そんなことを思いながら今日も映画を上映する。
こんな世界だから撮らなきゃいけない映画があり、納めなきゃいけない映像がある。


自分は監督になりたいわけじゃない。
相変わらずそう思っている。

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