AIデータのリスクに備える! AIデータリスクの種類4選と対策を解説
ビジネスにおいてAIの存在感は日々増しており、無視できない状況になっています。ただしAIをビジネスにうまく活用するには「AIデータのリスク」に備えることが不可欠です。
本記事ではAIデータのリスクの種類と、AIデータのリスクに対する備えについて解説します。AIデータのリスクを知ったうえで、十分な備えをする参考にしてください。
AIデータリスクとは何か
AIは、世界規模のさまざまな産業で広く受け入れられつつあります。PwC Japanグループが行なった「2022年AI予測(日本)」の研究では、AIの活用が日本の企業でも順調に進展しており、業務にAIを導入している企業の比率は2022年時点で前年から10ポイント上昇の53%に達しています。
しかしながら、AIの活用によって発生した事故も全世界的に増えています。具体的には、以下です。
● 倫理規範違反
● 人種、性別などによる偏見を伴うバイアス
● 公平性の欠如
● プライバシーとセキュリティの侵害
ビジネスにおける適切なAIの活用のためには、このようなリスクを避けるための施策が急務となっています。さらにAIによる複雑な判断過程は、しばしばブラックボックス化するため、AIの判断過程の透明性、説明可能性、追跡可能性を維持し、教育やリテラシーの向上、モニタリングと監査を含む適切な利用を確保することが必要なのです。
リスクの存在とその種類を理解し対策を講じた上でAIの有効利用を進め、国際的な競争力や企業間の競争優位性を獲得するためには、AIの倫理規範だけでなく、AIと学習データの品質(適正な学習)を保証すること、そしてAI同士の協力も考慮に入れた取り組みが求められます。
AIデータリスクの種類4選とその対策
ここからはAIデータリスクの以下の4つのリスクと、その対策について具体的に解説します。
データプライバシーリスク
セキュリティリスク
倫理的リスク
AIガバナンス
データプライバシーリスク
AIデータに関連するリスクの一つである「データプライバシーの侵害」は、個人情報やプライバシーに関わる情報が不正にアクセスされたり、情報が流出したりする問題を指します。例えばAIが利用する訓練データに個人を特定できる情報が含まれていた場合、その情報が外部に露出するとプライバシーが侵害されるリスクがあるのです。
このようなリスクへの対策には、以下のようなものが考えられます。
データセキュリティ対策の強化
データの暗号化
アクセス制御の強化
<データセキュリティ対策の強化>
データを不正アクセスから守るために、適切なセキュリティ対策を講じることが重要です。
具体的には、ファイアウォールの導入やセキュリティソフトウェアの最新化などが含まれます。
<データの暗号化>
データが第三者に読み取られるのを防ぐため、データの暗号化が有効です。この技術を利用することで、たとえデータが流出したとしても、情報を解読することは難しくなります。
<アクセス制御の強化>
データにアクセスできる人物を制限することも重要です。必要な人物だけがアクセスできるように制限を設け、それ以外の人物が情報を閲覧できないようにすることで、情報の流出を防ぎます。
これらの対策を適切に実施することで、「データプライバシーの侵害」のリスクを軽減することが可能です。
セキュリティリスク
AIデータに関連するセキュリティリスクは、AIシステムへの不正アクセスや、AIが操作するデータの損失・改ざん、AIシステム自体の悪用といった形で現れます。
具体的な例は、AIシステムに保存された大量の個人データがハッカーによって盗まれる、AIが不正操作されて不適切な行動を取るといったことです。
セキュリティリスクに対する対策には、以下のようなものが考えられます。
AIシステムのセキュリティ強化
データの暗号化
アクセス権の管理
<AIシステムのセキュリティ強化>
AIシステム自体のセキュリティ対策を強化し、不正アクセスを防ぎます。
具体的には、AIシステムを適切に保護するセキュリティソフトウェアを導入し、システムのアップデートを常に最新のものに保つといったことが有効です。
<データの暗号化>
保存されているデータを暗号化し、万が一データが漏洩した場合でも、その内容が第三者に理解されないようにします。
<アクセス権の管理>
AIシステムやデータにアクセスできる人物を厳密に管理し、不必要なアクセスを防ぎます。特に、高い権限を持つアカウントの管理は重要です。
こうした対策は、AIデータのセキュリティリスクを軽減するために不可欠です。対策を講じつつAIの利用が進んでいけば、データ管理者は人間中心のデータ環境を整備し、人間の監督と介入の権利を確保することが求められます。
倫理的リスク
AIデータの倫理的リスクは、AIの利用シーンやステークホルダー(利害関係者)によって大きく異なります。
例えば、あるAIが果物の等級を判定するシナリオを考えてみたとき、個人がこのAIを使用して自身の果物の品質を確認する場合と、農業団体がそのAIを使用して農民たちの果物の品質を評価する場合とでは、考慮すべき倫理的なリスクが変わるのです。
個人が使用する場合、主な倫理的リスクはAIの判定精度に関わるものかもしれません。一方で、農業団体が使用する場合、AIの判断基準が公平か、またその判断が農民たちの生計に影響を与える可能性があるかどうかなど、より広範で深刻な倫理的リスクが考えられます。
また、AIとステークホルダー間の双方向のやりとりに潜む倫理リスクもあります。AIが人々にどのように影響を及ぼし、また人々がAIをどのように認識・利用するかによって、リスクの内容と重要度はそれぞれ変化するのです。
倫理リスクに対する対策は、まず事前に倫理リスクを詳細かつ明確に把握し、その上で適切なAI活用方法を見つけ、AIの信頼性を確保することです。
AIガバナンス
AIガバナンスとは、AIシステムの開発・運用・活用にあたり、社会の持続可能性や公益に資するよう、AIシステムの倫理的・技術的・法的リスクを適切に管理し、AIシステムを社会に適切に実装・運用するための仕組みです。AIガバナンスがあることで、AIデータのリスクを軽減できたり、管理しやすくなったりします。
AIガバナンスには、以下の項目が含まれます。
目的・倫理的枠組みの策定
データの収集・利用・管理
システムの開発・運用
リスク評価・対応
透明性の確保
説明責任の追及
AIガバナンスの目的は、AIシステムが社会に与える影響を最小限に抑え、社会の持続可能性と公益に資することです。AIシステムには、自動化や効率化のメリットがある一方で、偏見や差別、プライバシー侵害などのリスクがあります。
AIガバナンスによって、これらのリスクを適切に管理し、AIシステムを社会に適切に実装・運用することで、AIシステムのメリットを最大限に享受しながら、リスクを最小限に抑えることが可能になるのです。
AIガバナンスの具体的な対策は、以下です。
<目的・倫理的枠組みの策定>
AIシステムの開発・運用にあたり、目的や倫理的枠組みを明確に定め、それに沿ってシステムを開発・運用する。
<データの収集・利用・管理>
AIシステムの開発・運用に必要なデータの収集・利用・管理を適切に行う。
<システムの開発・運用>
AIシステムの開発・運用にあたり、技術的・倫理的なリスクを適切に評価し、対応する。
<リスク評価・対応>
AIシステムの開発・運用にあたり、潜在的なリスクを評価し、適切な対応策を講じる。
<透明性の確保>
AIシステムの開発・運用にあたり、システムの目的、データの収集・利用方法、システムの評価方法、リスク評価方法などを透明に公開する。
<説明責任の追及>
AIシステムの開発・運用にあたり、システムの開発者・運用者・利用者などが説明責任を果たせるようにする。
AIガバナンスは、AIシステムの開発・運用・活用にあたり、社会の持続可能性と公益に資するための重要な仕組みです。AIガバナンスを適切に実施することで、AIシステムのメリットを最大限に享受しながら、リスクを最小限に抑えることができます。
データプライバシーリスクへの対策が可能なソリューション3選
ここからは、AIデータリスクへの対策のうちのデータプライバシーリスクへの対策が可能なソリューションを3つ抜粋して、特徴やメリットを紹介します。データプライバシーリスクへの備えを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
AOSデータ株式会社・AOS Fast Forensics
AIデータリスクへの対策として有効なのが、AOSデータ株式会社の「AOS Fast Forensics」です。社内不正防止・調査ツールである「AOS Fast Forensics」は、最小限のデータを抽出・分析し、事象の概要を迅速に把握し、原因を特定することが可能です。使用法も簡単で、USBメモリをコンピュータに挿入しプログラムを実行するだけで、必要な情報を素早く収集します。
「AOS Fast Forensics」が具体的にできることは、数分で以下のような情報を収集することです。
OS情報
ファイル詳細
インターネット履歴
最近アクセスしたドキュメント
USB接続履歴
これらの情報は、調査対象のコンピュータに接続されたフォレンジックストレージデバイスにPDFやCSV形式で保存することが可能です。
ストレージ容量の大容量化やデバイス数の増加などにより、迅速な初動対応のニーズが高まっている中、「AOS Fast Forensics」はその解決策を提供します。ITやセキュリティの専門家でない人でも高速な調査が行えるように設計されています。
AOS Fast Forensicsの特徴と主なメリットは、以下です。
<迅速性>
必要な情報を数分で収集することが可能です。
<使いやすさ>
USBメモリを挿入しプログラムを実行するだけで、ファスト・フォレンジックを行うことができます。
<非IT専門家でも利用可能>
特別なITの知識やスキルを必要とせずに使用できます。
これらの特徴により「AOS Fast Forensics」は、データプライバシーリスクに対する備えとして有効といえるのです。
株式会社日立ソリューションズ・プライバシー情報匿名化ソリューション
株式会社日立ソリューションズの「プライバシー情報匿名化ソリューション」は、データプライバシーリスクに対する対策として開発されたソリューションです。「プライバシー情報匿名化ソリューション」は、パーソナルデータの利活用を可能にしながら、プライバシー情報を保護するための機能を提供します。
「プライバシー情報匿名化ソリューション」の特徴と主なメリットは、以下です。
<高い匿名性の実現>
「プライバシー情報匿名化ソリューション」は、独自のk-匿名化技術を採用しています。この技術により、パーソナルデータを匿名化することで、個人を特定できないようにし、同時に、データの利用価値を保持することが可能です。高い匿名性を実現することで、安心してデータ利活用を行うことができます。
<トータルソリューションの提供>
日立ソリューションズは、「プライバシー情報匿名化ソリューション」において、匿名化に関するコンサルティングからシステム構築まで、トータルなソリューションを提供しています。お客様のニーズに合わせて、一貫したサポートを行います。
<低コストでのスタートが可能>
クラウドを利用することで、低コストでのPoC(Proof Of Concept)から始めることが可能です。クラウドを活用することで、初期投資を抑えながら、効果的なプライバシー情報匿名化の検証を行うことができます。
<法制度に対応した提案>
日立ソリューションズは、株式会社日立コンサルティングと連携しており、豊富なプライバシー保護のノウハウや実績を有しています。そのため、2022年施行改正個人情報保護法を踏まえた最適な運用方法を提案し、お客様の要件に合わせたソリューションを提供します。
株式会社GRCS・OneTrust
株式会社GRCSの「OneTrust」は、個人情報保護法などの厳格化する法規制に対応できるように設計されたデータプライバシーソリューションです。企業が法規制や改正個人情報保護法により対応が求められる個人情報の取り扱いが複雑化する中で「OneTrust」は、個人データの適切な検出やデータ・エコシステムの複雑化、大量のデータの取扱い、データ侵害やコンプライアンスリスクなど、ビジネス上の多くの問題に対処する支援を提供します。
OneTrustの特徴と主なメリットは以下です。
<データ管理の一元化・可視化と自動化>
OneTrustはデータ主体からの要求に迅速かつ適切に対応できるように、データ管理を一元化し、可視化することを可能にします。さらに、一部のプロセスを自動化することで、データ入力やメンテナンスの重複を削減し、業務効率を向上させます。
<法規制のアップデート対応とサポート>
OneTrust DataGuidanceを通じて、法規制のアップデート対応と同日サポートを提供します。これにより、企業は最新の法規制に常に対応している状態を保つことができます。
<包括的なデータプライバシーソリューションの提供>
OneTrustは、世界で唯一の包括的なデータプライバシーソリューションを提供するとしています。これにより、企業はデータプライバシーに関する様々な課題に対応するためのワンストップソリューションを利用できます。
以上の特徴とメリットにより、OneTrustはAIデータのリスク、特にデータプライバシーリスクに対する有力な対策となり得ます。
AI活用におけるリスク管理とデータ利活用を両立させるには
AIを活用するうえでデータは不可欠ではあるものの、管理や取り扱いにリスクがあることがわかりました。しかし貴重なデータが手元にあるにもかかわらず、ビジネスに生かせていない状況は、ビジネスの成長を妨げる要因となります。
AIデータのリスクには、データの漏洩・紛失・災害などが含まれます。これらは企業の資産であるデータを直接脅かすのです。このようなリスクを管理しつつ、データを有効活用するための手段のひとつとして、AOSデータ株式会社の「AOS IDX」が有効です。
「AOS IDX」は、各産業分野が必要とするDXデータドリブンソリューションをSaaSサービスで提供し、API連携を活用して短期間で構築できるように設計されています。これにより、各産業分野のDX推進を支援します。
特にクラウドで効率よくファイル共有を行うことができ、サイロ化になりがちなテレワークにおける問題を解決するために開発されたセキュアなファイル共有とストレージ一体型ソリューションなのです。
また「PPAP」方式の代わりとなるインテリジェントなDXソリューションとして開発されており、パスワード付きファイル送信の『PPAP』方式から脱却し、より安全かつ効率的なデジタル化を実現します。
AOS IDXは以下の3つのメリットがあります。
<業界特化型ソリューション>
各産業分野が必要とするDXデータドリブンソリューションをSaaSサービスで提供し、API連携を活用して短期間で構築できるように設計されている。これにより、各産業分野のDX推進を支援する。
<セキュアなファイル共有とストレージ一体型ソリューション>
クラウドで効率よくファイル共有を行うことができ、サイロ化になりがちなテレワークにおける問題を解決する。
<「PPAP」方式の代替>
パスワード付きファイル送信の『PPAP』方式から脱却し、より安全かつ効率的なデジタル化を実現する。
これらの特徴は他社製品と比較してAOS IDXが提供する独自の価値を示しています。AIデータ利用のリスク管理とデータ利活用を両立させるためには、AOS IDXのようなソリューションを利用しながらAIデータのリスクを適切に管理しつつ、データを最大限に活用し、企業としてのビジネス基盤を強化することが求められるのです。
適切なAIデータリスク対策はビジネスの成長を促進させる
AIデータリスクの存在を認識し、その種類を理解した上で適切な対策を立てることは、ビジネスの成長を促進する上で不可欠です。
リスクの種類にはデータの漏洩や紛失、誤った分析結果による意思決定ミスなどが含まれます。これらは企業の貴重な資産であるデータの価値を損ない、ビジネスの継続性を脅かす可能性があります。
しかしこれらのリスクをゼロにすることは難しく、またAIデータにまつわるリスクをゼロにすることが目指すべき目標ではありません。完全なセキュリティは、イノベーションとビジネスのスピードを阻害します。その代わりにリスクを適切に管理し、可能な限り軽減することが必要なのです。
AIデータリスクの適切な管理とは、リスクの評価とそれに基づいた対策の実施、そしてその結果の検証を繰り返すプロセスです。このプロセスを通じてリスクを把握し、対策を行うことで、企業はデータの価値を最大限に活用することが可能となります。AOSデータ株式会社の各ソリューションはAIデータの適切な管理と利活用において、多くのメリットをもたらすでしょう。
本記事で紹介したAIデータリスクに備え、効果的に管理することは、ビジネスの成長を促進する重要なステップです。リスクを恐れず、むしろ適切に管理することで、企業は競争優位性を保ち、新たなビジネスチャンスを掴むことができます。AIデータのリスク管理は、ビジネスの成功への道を開く鍵となるのです。