190707香港デモ_1修正

香港のデモ…23万人が訴える自由と民主主義

最近日本でも香港のデモの様子が報道されていますが、いったい香港で今何が起きているのでしょうか?偶然にも6月から香港に滞在していた鈴木まりこが身を以て体験してきました。その後、AIIAスタッフが現地入りして調査しております。

きっかけは外国への「犯罪者引き渡し協定」

2018年、台湾で恋人を殺した犯人が香港に逃げ込みました。ところが香港は台湾と犯罪者の引き渡し協定を結んでいなかったため、台湾でも香港でも犯人を裁くことは不可能でした。香港は犯罪者引き渡し協定を約20カ国と結んでいましたが、そこに中国は入っていなかったのです。

これではいけないということで、外国から引き渡し要請を受けたらスムーズに引き渡しできるようにしましょう、となりました。

最大の争点は、今回の改正案で中国本土が加わるということです。中国本土から引き渡し要請があれば、犯罪者は中国本土の法律で裁かれることになります(これには香港への訪問者も含まれます)。つまり司法権を中国本土に奪われてしまうわけです。

そこで、もとより中国本土に返還され共産主義に飲み込まれることを心良しと思わない世論が、この条例改正案に異論を唱えました。中国の裁判の不透明・不公平さを知っているためです。

香港民主主義を守るべく始まったデモ

デモは今年の6月に始まりました。この頃の主張は、基本的に逃亡犯条例改正案に反対、香港民主主義の堅持が柱でした。立法府への乱入事件もありましたが、頻繁に暴動が起きるわけではありませんでした。

香港住民の根底には常に「中国本土の政策によって自由と民主主義が奪われてしまう」という危機感、「一国二制度を守れ」「香港は香港」というアイデンティティーがしっかりと根づいています。

とある語学学校の女性教諭に話を聞いたところ、彼女は「この国はねぇ… 」と話した後、「ああ、そういえばこの国は中国だったわね」とイヤミを口にしていました。
また別の女性は
“We used to belong to Britain more than 150 years.(私達は150年以上もイギリスの統治下にいたのよ=私達は中国人ではない)”
と語っていました。返還そのものに対する不満です。

23万人規模のデモに発展

7月7日に行われたデモの参加者は老若男女23万人と発表されていますが、その要求内容は改正案を撤回させ、香港の主権を守ろう、というものでした。

彼らは口々に「香港加油」(香港がんばれ)を叫んでいましたが、若者の中には、選挙権が与えられていないこと(※)、真の意味での民主主義が奪われていること、警察の暴力行為に対する反発が根底にありました。
※政治家の主要ポストは中国本土から指名され、選挙を行うとしても投票権を持つ人が限定されているため

デモ行進に参加していた若者に一体何が不満なのかを聞いたところ、
“Police knows the law, but they break them.(警察は違法だと知っているのに(暴力行為や違法な取り締まりを)やっているんだよね)”
と返しました。
この頃から若者の根底には、権力による弾圧に対して相当の反発があったようです。
警察はギャングと結託して香港住民を弾圧している、ときには85歳の老人や妊婦に対してすら容赦なく暴力行為を行う、と述べる若者もいました。


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