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クルド人ってどういう民族?なぜ埼玉に?

埼玉県川口市や蕨市を中心に、クルド人と地域住民との間のトラブルが増加する中、埼玉県警の対応が注目を集めています。

一部のクルド人による違法行為や迷惑行為が報告される一方で、クルド人全体への偏見や差別的な態度も問題視されており、警察の取り組みに対する批判的な声も上がっています。

埼玉県にクルド人が多いのはナゼ?

埼玉県南部、特に川口市や蕨市周辺にクルド人が多く集住している理由には、いくつかの要因があります。

まず、1990年代初頭に先に来日していたイラン人の存在がきっかけとなりました。その後、親族や知人を頼って次々とクルド人が来日し、コミュニティを形成していきました。

東京に近く、家賃などの生活費が比較的安いことも、この地域に定住する理由となっています。また、日本とトルコの間で1958年に取り決められた短期滞在のビザ免除措置により、パスポート一つで来日し、その後難民認定を申請して滞在を継続できるという経路も、クルド人の来日を容易にしました。

現在、埼玉県南部には約2000人のクルド人が暮らしているとされ、その多くが川口市や蕨市に集中しています。この地域は「ワラビスタン」とも呼ばれ、クルド人のコミュニティが形成されています。クルド語やトルコ語を話せる同胞が多く、情報交換や相互扶助が可能な環境があることも、この地域にクルド人が集まり続ける要因となっています。

クルド人って、どういう民族?

クルド人は中東地域に居住する独自の言語と文化を持つ民族で、主にトルコ、シリア、イラク、イランにまたがる「クルディスタン」と呼ばれる一帯に住んでいます。

推定人口は約3千万人で、「国を持たない最大の民族」とも呼ばれています。

クルド人は長年、各国で少数派として差別や弾圧を受けてきました。特にトルコでは、クルド人の独立運動を警戒する政府による迫害が続いており、多くのクルド人が海外に庇護を求めています。

クルド人に対する迫害の背景には、彼らの独立志向と、それに対する各国政府の警戒があります。

トルコでは、クルド語の使用制限や文化的抑圧が行われてきました。この状況から逃れるため、多くのクルド人が難民として他国に移住しています。国連の推計によると、2011年から10年間で世界各国において、トルコから迫害されたクルド人約5万人が難民認定されています。

しかし、日本ではこれまでトルコ出身のクルド人の難民認定はほとんど行われておらず、多くが不安定な法的地位のまま滞在を続けているのが現状です。

クルド人と国際テロ組織の関係は?

クルド人とテロ組織の関係については、特にトルコ政府とクルド労働者党(PKK)との対立が注目されています。

PKKは1984年にクルド人国家の樹立を掲げて武装闘争を開始し、トルコ政府はこれをテロ組織として認定しています。一方で、クルド人全体をテロリストと見なすことは適切ではありません。

最近の動向として、公安調査庁が発行する「国際テロリズム要覧」2023年版からPKKなどの情報が削除されたことが物議を醸しました。これに対しトルコ側から批判が上がり、日本政府は「PKKをテロ組織に指定している点に変更はない」と釈明しています。

また、埼玉県川口市のクルド人団体「日本クルド文化協会」がトルコ政府から「テロ組織支援者」として資産凍結の対象となりましたが、同協会は「テロ支援もテロ活動もしていない」と主張しています。このように、クルド人とテロ組織の関係については複雑な状況が続いており、慎重な対応が求められています。

クルド人への脅迫事件

2024年2月20日、埼玉県蕨市の在日クルド人支援団体「在日クルド人と共に」に対して、ウェブサイトの問い合わせフォームを通じて「クルド人皆殺し万歳」などの脅迫メッセージが送られる事件が発生しました。

この脅迫メールを受け、支援団体は警察に被害届を提出しました。

捜査の結果、埼玉県警蕨署は8月20日、東京都足立区の34歳の男性を脅迫容疑でさいたま地方検察庁に書類送検しました。男性は「クルド人を皆殺しにして、豚の餌にしてやる」などの文言を含むメッセージを送信したとされており、この行為を認めているとのことです。

この事件は、在日クルド人コミュニティに対する差別や偏見の深刻さを浮き彫りにし、支援団体は今後もヘイトスピーチに対して適切な対応を取る姿勢を示しています。

クルド人との共生の取り組みも

クルド人の新年を祝う祭り「ネウロズ」が2024年3月20日、さいたま市桜区の秋ケ瀬公園で開催されました。この祭りは一時開催が危ぶまれましたが、多くの日本人を含む参加者が集まり、無事に挙行されました。

祭りでは、クルド人と日本人が手をつなぎ、伝統的な音楽に合わせて踊る様子が見られ、文化交流の場となりました。

一方で、クルド人に対する風当たりは依然として強く、地域との共生には課題が残されています。これを受けて、クルド人コミュニティは日本の生活ルールを広めるための夜間巡回や清掃活動を行うなど、地域との共生を目指す取り組みを始めています。

また、行政や支援団体も日本語教室の開催や相互理解の促進など、共生に向けた取り組みを進めています。これらの努力を通じて、クルド人と日本人の相互理解が深まり、共生社会の実現に向けた前進が期待されています。

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