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レディファーストなアメリカ人夫の神前結婚式

私とアメリカ人の夫は、私の地元である広島の神社で神前結婚式をしました。夫は羽織袴で、私は白無垢と綿帽子で。

綿帽子というのは、真っ白で丸い、頭に被る覆いのことです。

2007年。懐かしい。

ちなみに夫のお兄さんは、私を見て「なんでパックマンの帽子をかぶってるんだ?」と不思議がってましたけど。(;゚;ж;゚;)


式場への移動のときに、身動きが取りづらかったり、着物の裾が汚れたりするので、新婦の身の回りのお世話をしてくれる介添えの女性がいます。

私を担当してくれたのは明るいおばちゃんだったのですが、おばちゃんに口酸っぱく言われました。

「移動するときは、いつも必ず新郎さんが先で、新婦さんは後だからね」と。


歩く時は、二人並んでではなく、ましてや新婦が先ではなく、必ず新郎が先。エレベーターや車に乗るのも降りるのも、必ず新郎が先。妻は、夫の三歩後ろを歩く。

それが、和装には一番しっくりくる形ですよね。

私は綿帽子の下にかつらも被っているので、頭がずっしり重い。まっすぐ前を向くと重みで後ろに倒れそうになるので、常に少しうつむき加減でいることになります。

だから、うつむきながら、夫の三歩後ろを歩くことになります。そうすると、私は少なくとも見た目は「おしとやかな妻」です。


でも、私は普段は態度がでかくて、夫のレディーファーストに慣れているので(苦笑)、ついこれまでの癖で、無意識にエレベーターに先に乗ろうとしてしまうんです。

そのたび、「新婦さんは、あと!!!」と、介添えのおばちゃんに注意されていました。

そして、夫は夫で、私を先に行かせることに慣れているので、いつもどおり私が先に乗るのを待つのです。

「・・・・・」と微妙な沈黙が流れ、おばちゃんが「はいっ!!新郎さん!!!」と夫を促し、夫は「ア、ハイッ!!」と慌てて進むという光景が、何度も繰り返されました(苦笑)


レディファーストは「優しさ」ではない

レディーファーストをする男性のことを、「優しい」と思っている日本人は多いと思います。

レディファーストの習慣がない日本人男性について、「だから日本の男はモテないんだ!欧米の男性を見習え!」っていう風潮になりがちです(苦笑)


でも、それぞれの文化、慣習、宗教や家族のあり方によって、男女の役割や力関係は違います。

一説によると、むしろ、欧米の男性が「レディファースト」をする背景には、中世ヨーロッパでは、女性は立場が低い存在だったので、そういう弱い女性は守られるべきだからという意味がありました。

それに対して、日本の(一般庶民の)女性は家庭での立場が強く、男性が女性のもとに通う「通い婚」の慣習もありました。


ちなみに、ヨーロッパで「レディファースト」で女性を先に行かせるのは、男が暗殺者から自分の身を守るために女性を盾にしたという話なんかもあります。

そして、日本では「女性は三歩後ろを」と言ったりするのは、いざという時に男性が盾になり、女性を守れるようにという意味もあったとか。

いずれも諸説あるし、どっちがいい悪いではないのですが、私の個人的な意見では、欧米人男性のレディファーストは「優しさ」とは違います。単なる習慣。

もちろん、相手の女性への思いやりがあるからそうしているのだとも言えますが、礼儀作法の一つだと私は思っています。


介添人のおばちゃんが言ってました。

「普段はね、そうやって奥様を優先してくれる旦那様でいいし、
 とっても素敵だと思うのよ。

 でも、こういう格好をしてる時は、やっぱりね、
 新郎さんが先で新婦さんが後じゃないと、かっこ悪いでしょ??」


そう言われて納得したばかりなのに、着付けを終えて神社に向かうバスに乗る時に、つい夫より先に足を踏み出してしまい、

「新郎さんが、さ・き!!!」

とまた怒られてしまった、学習能力のない妻なのでありました。(笑)


ちなみに余談ですが、「レディファースト」は、和製英語です!

正しくは、Ladies firstです。相手の女性が一人でも、必ず複数形で言いますよ。


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