見出し画像

世界で大ヒット中のドラマ『SHOGUN』に描かれた日本侵略計画

日本では、戦国時代から江戸時代のキリスト教について、迫害、弾圧、踏み絵・・・って、いかにもキリスト教が被害者で、日本の支配者が極悪非道だったかのように歴史の授業で教わります。

でも、前回ご紹介したハリウッド制作の時代劇『SHOGUN』では、そのキリスト教の闇も描かれています。

前回の記事:


当時、大航海時代で世界に領土を広げていたスペイン、ポルトガルは、植民地獲得の手段としてキリスト教を活用していました。

日本では、「イエズス会」と言えば、思い浮かべるのは、教科書に登場するあのフランシスコ・ザビエルだと思います。フランシスコ・ザビエルと言えば、教科書でいたずら書きされる率100%の、あのお方。(笑)

やさしそうなおじさんが、「神の教えを広め、民を苦しみから救いたい」とはるばるやってきたんだな・・・っていうイメージを、多くの日本人が持っているはず。もちろん、宣教師個人としては、そういう思いだったんだろうとは思います。


でも、アメリカ人の夫マイクに言わせれば、欧米でのイエズス会のイメージは、それとは全く違うそうです。

マイクがイメージする「イエズス会」は、なんと鎧を着て槍を持った戦士「イグナシウス・デ・ヨロラ」。イエズス会の創立者です。


当時、カトリックはプロテスタントの勢いに押されて、新天地に勢力を広げようとしていました。そのため、布教と侵略がセットで行われたのです。

イエズス会は「神と教皇の戦士」として、ときには武力も用いてキリスト教を伝道することを使命としていました。宣教師たちが実際に武器を持って戦ったかどうかはともかく、少なくとも「密偵(スパイ)」として、日本を植民地支配するのに重要な情報をポルトガル本国に伝達していたのは確かです。

他にも、イエズス会宣教師やポルトガル商人が、神社仏閣を焼き払ったり日本人奴隷の売買に関わったり、看過できない問題がありました。だからこそ、日本からカトリック勢力を排除しなければならなかったのです。


日本人はこういうこと、ちゃんと学校で習ってるんでしょうか?? 私は高校で世界史選択だったので、私だけが無知なのかな。

少なくとも私の中学時代には、歴史の授業では「『神のもとにすべての人は平等』というキリスト教の考えが統治者には不都合だったから、日本からキリスト教を締め出した」としか習ってませんけどね〜。

だから、夫のマイクから「イエズス会は過激だった」と聞くまで、かなり思い違いをしていました。もちろん、学校で習ったことが全くの嘘とは思わないけれど、ごく一側面でしかなかったのだということを、いい歳した今になって知り始めています。


あ、映画『SILENCE(沈黙)』でも、まさに「日本の無慈悲な支配者に虐げられる、哀れなキリシタンやポルトガル人宣教師」という構図でしか描かれていません。

この映画の後、海外からの日本への批判が増えたそうです・・・


でも、ドラマ『SHOGUN』は、(少なくとも多くの日本人にとっては)これまでと違うキリスト教布教の側面を描いていました。ドラマの中で、イギリス人航海士が世界地図を描き、徳川家康に

「ポルトガルの真の狙いは、非キリスト教徒の統治者を排除して日本をポルトガル領とすることです。彼らと貿易をしてはいけません」

と伝えている場面があります。めちゃくちゃ緊張感のある良いシーンなので、この動画はぜひ見てみてください!


このイギリス人航海士が話しているのは、「トルデシリャス条約」「サラゴサ条約」のことですが、要するに、スペインとポルトガルが「この線からこっちは全部俺のもの!」と世界を分け合った条約です。南米でブラジルだけがポルトガル語圏なのも、この線が理由。

そして、その条約によると、日本は「ポルトガルが好き勝手して良い土地」だったのです。(;・∀・)

Wikipediaより

もちろん、日本からしたら「そんな話聞いてねーよ」なわけで、スペインとポルトガルが勝手に決めたこと。だから、家康(真田広之さん演じる「虎長」)は「まことか!」と驚いているのですね。

ちなみに、夫のマイクによると、欧米人もこの条約を知らない人は多いようです。実際、このSHOGUNのエピソードを見て「こんなひどいことがあったのか・・・」とショックを受けた欧米のキリスト教徒も多いのだとか。


まあ、イギリス(プロテスタント)はポルトガルやスペイン(カトリック)とは明確な敵対関係にあるので、それぞれの言い分があるのは当然です。でも、こういった歴史をドラマを通じて知り、自分で調べて理解を深めていくのも、すごく大事なことですよね。

なので、前回の繰り返しになりますが、SHOGUNはぜひ見ることをおすすめします!全10話を1ヶ月で見終わって、不要なら解約すれば良いと思います。ディズニープラスで見られます。Huluとのセットプランだと、さらにお得。

Hulu | Disney+ セットプラン


なお、こういった

・イエズス会のイメージの違い
・ドラマで描かれるカトリックとプロテスタントの対立
・アメリカ人マイクが思う「意味のある切腹」と「無駄な死」

など、ドラマ「SHOGUN」のさらに深い解説は、私たち夫婦が講師を務める教材SPEEDIER READINGのラジオでメンバーさんにお届けしています!

世界から日本がどう見られているか、今、世界でどんなことが起こっているのか、学びたい方はぜひどうぞ。


私の英語学習法や日々考えたこと、実践していることを、メルマガでシェアしています!よろしければご登録ください。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?