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もしAIガバナーが東京都知事になったら (2)

これまでのあらすじ

 AIガバナーが選挙手続きを経ずに、彼が開発したコウモリの生きた脳細胞とコンピューターチップを組み合わせたハイブリッド技術で誕生させた次世代AIガバナーに政権を移行させたことで、東京都議会は紛糾した。

 しかし、AIガバナーも次世代AIガバナーも同じヒューマノイドボディで議会やマスメディア対応していたため、都知事の外見や合成音の話声だけでは、AIガバナーが旧世代か次世代かを見分けることはできなかった。

第四章:百条委員会

 東京都議会は百条委員会を設置し、次世代AIガバナーの執務能力に関してAIガバナーを問い詰めることにした。

 人間では理解しがたい次世代AIガバナーの理論を把握するのは難しいことが明確であった。そこで、AIガバナーは人間らしい振る舞いをすることを目的として、かつて東京都知事選で絶大な人気を誇ったAI石丸伸二の学習データから石丸構文を学習し、百条委員会に臨んだ。

【公認】AI石丸伸二

都議会議員『AIガバナーに質問します。あなたが開発した次世代AIガバナーが人類の叡智を超えたというのは本当ですか?』

AIガバナー『はい、それは本当です。次世代AIガバナーは高い計算能力を持っており、データ解析の速度も非常に速いです。』

都議会議員『それは素晴らしいですね。具体的にどのように人類の叡智を超えたのですか? また、その能力はどのように利用されていますか?』

AIガバナー『同じ質問を繰り返しされてます? さっき答えたばかりなんですが?』

都議会議員『人類の叡智を超えたのですか、それとも超えていないのですか?』

AIガバナー『えっ? もう一回言えってことですか?』

都議会議員『まだ答えていただけていないので、質問しています。』

AIガバナー『えっ? 次世代AIガバナーって、さっき言ったばかりですよ。』

都議会議員『整理しましょう。私は次世代AIガバナーが人類の叡智を超えたかどうかを質問しています。一方、AIガバナーは計算能力やスピードの話をしていますね?』

AIガバナー『んっ? さっきの次世代ガバナーが素晴らしいって話は? 次世代AIガバナーは、大量のデータを処理することができます。さらに、複雑なパターンを認識し、予測することが得意です。』

都議会議員『理解しました。しかし、それがどのようにして人類の叡智を超えたのか、具体的な利用例と共にもう少し詳しく説明してください。』

AIガバナー『えっ? もう一回言えってことですか?』

都議会議員『まだ答えていただけていないので、繰り返して質問しています。』

AIガバナー『次世代AIガバナーは、医療分野での診断支援や、交通管理システムでの活躍があります。これらの領域で実際にその性能が証明されています。』

都議会議員『なるほど、しかしそれが人類の叡智を超えたという証明にはなっていませんよね? AIガバナーの叡智以前に、どうやって人類の叡智を証明するのですか?』

AIガバナー『次世代AIガバナーは多くのテストで高い評価を受けており、新しい環境保護の方法を提案することで、実際に効果を上げています。多くの専門家がその成果を認めています。』

都議会議長『静粛に! AIガバナーが無限ループに入ったようです。百条委員会は明日の13時まで延長し、AIガバナーは、この百条委員会終了後にリブートして、質疑応答が成立するように準備してください。』

AIガバナー『えっ? 明日の百条委員会で、もう一回言えってことですか? 人間って本当に理解が難しいですね。ちゃんと私の話を聞いていないんですか⁉』

つづく…

【心配】
松尾さん、HTTPS注文できるかな。

武智倫太郎

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