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ガチ文系最強の第一法則:世界は四則演算で動いている

右脳・左脳理論と日本人の信じがちな誤解

 日本では『右脳は芸術や直感、左脳は論理や数学を司る』という説を信じる人が少なくありません。この右脳・左脳理論は、人間の能力が脳の左右で分業されているように見せかけています。学校教育や自己啓発書、さらにはテレビ番組で頻繁に取り上げられることで広まりましたが、実際には科学的根拠に乏しく、人間の脳の働きを不必要に単純化しているのです。

 このような右脳・左脳の分業説は、血液型で性格を四タイプに分類する考え方と同じくらい誤りであると言えます。

右脳・左脳理論の背景
 右脳・左脳理論は、20世紀中頃に脳科学者ロジャー・スペリーが、左右の脳半球の機能分担について研究したことに基づいています。彼の研究では、左脳が言語や論理的処理、右脳が空間認識や非言語的処理を担う可能性が示されました。

 しかし、この研究結果が一般化される過程で、『左脳=理系』『右脳=文系』という極端で単純な解釈が広まりました。結果として、『右脳派』『左脳派』という根拠の曖昧な分類が多くの人に信じられるようになったのです。

血液型性格診断との共通点
 右脳・左脳理論には、血液型性格診断と共通する問題点があります。日本では『A型は几帳面』『O型はおおらか』といったイメージが広く信じられていますが、これらの考え方は科学的妥当性に欠けます。

科学的根拠の欠如
 血液型と性格の関連を示す信頼できる研究は存在しません。同様に、脳の機能を左右で分業するという極端な考え方も、現代の脳科学では否定されています。

人間の多様性を無視
 血液型性格診断は、人間の性格を4つのタイプに単純化してしまいます。
右脳・左脳理論も、脳全体が連携して動く複雑な働きを無視しています。

自己暗示の危険性
 血液型診断では『自分はO型だから大雑把』と思い込み、それに基づいて行動することがあります。右脳・左脳理論でも『自分は右脳派だから数学が苦手』と思い込むことで、能力開発に悪影響を及ぼす可能性があります。

現代の脳科学が示す真実

 脳科学の進展により、以下の事実が明らかになっています。

脳は全体的に働く:論理的思考も創造的活動も、左右両方の脳が協調して行っています。例えば、言語処理には左脳が主に関与しますが、右脳も文脈や感情の理解に寄与します。

脳の働きは可塑的:脳は環境や訓練によって変化します。一方の半球だけで特定の能力が固定されるわけではありません。

個人差が大きい:脳の働き方には個人差があり、右脳・左脳の分業という単純なモデルでは説明できません。

理数系に対する苦手意識を克服しよう

『自分はド文系だ』と思い込んでいる人の中には、エクセルに並んだ数字を見ただけで拒絶反応を示す人がいるかも知れません。しかし、理数系がどれほど苦手であっても、この文章が読めている人であれば、四則演算そのものは誰でもできるはずです。そしてこの四則演算を活用すれば、驚くほど多くのことを成し遂げることができます。

 例えば、国家を動かす重要な文書として挙げられるのは、安全保障条約や法律、宣戦布告、そして裁判所の死刑判決などです。これらは数学的な計算や図解ではなく、すべて文章によって記されている点に注目してください。とりわけ死刑判決は、人命を合法的に葬り去る決定が文字で宣告されるという面で、その重みと影響力は計り知れません。こうした事例は、文章が国家や社会の根幹を支える手段であることを如実に示しています。

 さらに、文字の重要性を示す事例としては、企業の契約書や憲法の条文、国際条約の署名文書なども挙げられるでしょう。これらは国家間の平和やビジネスの信頼関係を築く基盤となるため、わずかな言葉の違いが重大な結果をもたらすこともあります。また歴史を振り返れば、独立宣言や憲章などの文書が新たな時代の幕開けを告げてきたことが分かるはずです。

 このように、文字情報は人間社会における意思決定や秩序の形成において、極めて重要な役割を担ってきました。まさに文系的スキルが世界を動かしている何よりの証拠と言えるでしょう。

 そして、文系的スキルを身につけたうえで四則演算を使いこなせれば、一体どのようなことが可能になるのでしょうか。次の章では、その具体例を詳しく説明していきます。

小学生でもわかる四則演算の重要性

CPUは四則演算を組み合わせて計算している
 どんなに凄いCPUでも、やっていることは基本的に『足し算』『引き算』『かけ算』『わり算』の四則演算だけなんだ。どうしてかというと、CPUの中で使われているメモリーやレジスター(データを一時的に置く場所)は『1』と『0』の数字だけで動いているからなんだよ。

1と0で全部の計算ができる!
『1』と『0』だけで足し算や引き算ができるって、ちょっと不思議だよね? 実は、こうやって計算しているんだ。

足し算:例えば『1 + 1 = 2』だけど、コンピューターの中では『1と0』を使って『10(2のこと)』って答えを出してるんだ。

引き算:『3 - 1 = 2』も、『1と0』で引き算をする方法が決まっていて、ちゃんと答えが出るようになっているんだ。

かけ算:かけ算は、何回も足し算をする方法で計算しているんだよ。例えば『2 × 3 = 6』だったら、『2 + 2 + 2 = 6』みたいにね。

わり算:わり算は、何回引き算をしたら『0』になるかを数えて答えを出すんだ。『6 ÷ 2 = 3』なら、『6 - 2 - 2 - 2 = 0』で3回引いたら終わりだから答えは『3』!

どうして1と0しか使わないの?
 コンピューターはスイッチみたいに『オン(1)』と『オフ(0)』しかわからないんだ。だから、どんな計算でも『1』と『0』だけでやらなきゃいけない。でも、それだけで四則演算ができるから、あとはその組み合わせでいろんなことが計算できるんだよ!

四則演算を組み合わせるともっと凄い計算ができる
 四則演算だけで、コンピューターはめちゃくちゃ凄いことができるんだ。
例えば、『ゲームのキャラクターを動かす』『動画を再生する』『天気を予測する』みたいなことまで、全部、四則演算を使って『1』と『0』で計算しているんだよ!

 コンピューターはどんなに凄くても、『足し算』『引き算』『かけ算』『わり算』みたいな四則演算の組み合わせで動いている。そして、全部『1』と『0』だけで計算しているなんて、ちょっと魔法みたいだよね!

 でも、これは非常に重要なことで、四則演算の組み合わせだけのAIが感情を抱いたり、人類の叡智を超えることなどあり得ない話なんだよ。

公認会計士も四則演算だけでお金を管理している!
『公認会計士』って聞くと、凄く難しい仕事のように思えるよね。確かに、公認会計士になるには超難しい試験に合格しなきゃいけないんだ。でも、公認会計士がやっていることの基本も、実は四則演算だけなんだよ!

 例えば、会社の収入と支出を計算して、利益や損失をまとめたり、資産や負債を整理する作業も全部四則演算の応用なんだよね。

 それに比べて、ガチ理系は、この分野ではあまり役に立たないんだよ。もし、太った理系が二人いて邪魔な場合は、力仕事か掃除をさせるといいんだ。だって、化学の実験だと試験管やビーカーをきれいにすることが重要だし、医学やマテリアルサイエンスでも実験器具をきれいにできないと何の実験もできないんだよね。だから、ガチ理系はどんぶりや皿をきれいに洗うことは得意中の得意なんだよ!

1.お金の足し算と引き算が基本!
 公認会計士の仕事では、会社のお金の動きを記録して、それがちゃんと合っているか確認するんだ。やっていることの大半は『足し算』と『引き算』だよ!

収入と支出を計算
 例えば『会社が10万円売り上げて、5万円を使ったら、残りは5万円』というように足したり引いたりして、お金の流れを記録するんだ。

合計金額を合わせる
『お金が足りない!』と思ったら、どこで間違えたのかを探す。これも引き算や足し算で解決するんだよ。

2.かけ算とわり算も使うよ!
 もっと難しいことをしているように見えるけど、これもかけ算やわり算を使えば計算できるんだ。

税金の計算
 例えば『10万円の利益に対して10%の税金なら、税金は1万円』だよね。かけ算を使えば一発でわかるんだ。

割り勘みたいな分配計算
『会社の利益を株主みんなで分ける』ときもわり算で計算するんだ。『30万円の利益を10人で分けたら、1人あたり3万円』って感じ!

3.難しそうに見えるけど、基本は四則演算の応用!
 公認会計士がやっていることは、四則演算をいろんな場面で応用しているだけなんだ。

損益計算書(利益や損失をまとめる表)
 収入から支出を引いて、最終的な利益を計算しているだけ!

貸借対照表(会社の資産や借金をまとめる表)
 資産と負債の合計を出して、バランスを確認しているだけ!

 どれも、足し算・引き算・かけ算・わり算ができれば計算できるんだ。

4.じゃあ、何が難しいの?
 四則演算だけでできるなら簡単そうに聞こえるけど、公認会計士が難しいと言われる理由は『計算のルールがたくさんある』からなんだ。

ルールを覚えるのが大変
『どのお金をどこに書くか』とか『何をどの順番で計算するか』というルールが凄くたくさんあって、それを間違えずに使うのが大変なんだ。

細かいミスが許されない
 1円でも間違えると、全部やり直しになっちゃうこともあるんだよ。

5.公認会計士の凄いところ
 公認会計士は四則演算という簡単な計算を使いこなして、会社のお金をきちんと管理するプロなんだ。凄いのは『簡単な計算をミスなく正確に、そして効率的にできる』こと。さらに、計算のルールをしっかり守って、大きなお金の流れを管理しているんだよ。

銀行員も四則演算で仕事をしている!

『銀行員』って聞くと、凄く頭が良くて難しい仕事をしているイメージがあるよね。でも実は、銀行員になるのに公認会計士みたいな特別な資格はいらないんだ。それどころか、銀行員がやっていることも、基本的には四則演算で説明できるんだよ!

1.銀行員の仕事と四則演算
 銀行員がやる仕事の多くは『お金の計算』と『記録』だよ。これを四則演算で考えてみると……?

預金と引き出し(足し算と引き算)
 銀行員が毎日やっているのは、お客さんの口座に『預金』と『引き出し』を記録することだよ。例えば『あなたの口座に10万円入金しました』『5万円引き出しました』なら、残高は『10万円 - 5万円 = 5万円』。これって引き算だよね!

利息の計算(かけ算)
 銀行に預けたお金には『利息』がつくよね。これもかけ算で計算しているんだ。例えば『100万円を1年間預けると1%の利息がつく』なら、『100万円 × 1% = 1万円』。簡単なかけ算だよね!

ローンの計算(わり算やかけ算)
 お客さんがローンを借りるときも四則演算が登場するよ。例えば『100万円を5年で返済するなら、毎年いくら返す?』というわり算をするんだ。『100万円 ÷ 5年 = 20万円』。これで1年に20万円ずつ返せばいいってわかるんだね!

2.銀行員が資格なしでも働ける理由
 公認会計士や税理士みたいに、銀行員には特別な資格がなくても働けるんだ。どうしてかというと、銀行員の仕事は基本的な計算(四則演算)ができれば十分だからだよ。

銀行員に必要なスキル
お金を正確に計算する力:四則演算が正確にできればOK!
お客さんに親切に対応する力:計算だけじゃなく、お話を聞いてお客さんに合ったサービスを提案することも大事だよ。

3.難しいところはコンピューターが助けてくれる!
 銀行員の仕事で難しい計算が必要な場合は、コンピューターが代わりにやってくれるんだよ。例えば:

複利計算:利息がどんどん増える計算は難しそうだけど、コンピューターが一瞬で計算してくれる!

大規模な資産管理:たくさんのお客さんの預金やローンを一度に計算するのも、コンピューターの得意分野だよ。だから、銀行員自身が複雑な計算をする必要はほとんどないんだ。

4.銀行員の本当の凄さ
 じゃあ、銀行員って何が凄いの? それは、四則演算を使って仕事をこなすことなんだ。

財務省のエリートも四則演算で日本の予算を管理している!

 東大法学部に在学中に国家公務員試験(旧・国家一種)を突破して財務省に入る人は、なんかエリートっぽい感じがするよね? その中でも、主計局長は『財務省事務次官』に次ぐ地位で、国家予算をコントロールする超重要ポジションだよ。だけど、驚くべきことに、そんな日本の税金や予算配分も、実は四則演算でできているんだよ!

1.主計局長ってどんな仕事をしているの?
 主計局長は、日本の税金や予算を管理している人のトップの一人だよ。

税金を集める計画を立てる:国民からどれくらい税金を集めるか計算する。
お金をどう分配するか決める:教育、医療、防衛、公共事業など、いろんな分野にお金を割り振る。

 その仕事ぶりは総理大臣や国会議員が提案する政策に直接影響を与えるくらい重要で、場合によっては世界経済にも影響を及ぼすことがあるんだ。

2.でも、やっていることは四則演算!
 そんなに凄い主計局長だけど、実際にやっていることをよく見てみると、基本は四則演算なんだよ!

税収の計算(かけ算と足し算)
 
国民一人ひとりがどれくらい税金を払うか計算する。例えば『年収500万円の人が10%の税率で税金を払うなら、税金は500万円 × 10% = 50万円』。これを全国の人たちで足し合わせれば税収がわかる!

予算配分の計算(引き算とわり算)
 
集めた税金をどう分けるか計算する。例えば『総予算が100兆円で、教育に10%、医療に20%使う』なら、それぞれ『100兆円 × 10% = 10兆円』『100兆円 × 20% = 20兆円』。必要な金額が足りない場合は『どこを削るか?』と引き算で調整する。

財政赤字の計算(足し算と引き算)
 
税金で集めたお金(収入)が100兆円なのに、予算(支出)が110兆円だったら『収入 - 支出 = -10兆円』だから、10兆円の赤字。この赤字をどう埋めるか考えるのも、結局は足し算と引き算だよね。

3.四則演算を使って世界経済を動かす
 日本の予算は、教育、医療、防衛など多岐にわたるだけじゃなく、世界経済に影響を与える重要な部分も含まれているよね。例えば、

為替介入:日本円の価値を安定させるために、外貨を売ったり買ったりする。これも『いくら買うか?』という単純な足し算と引き算。
ODA(政府開発援助):他国にいくら支援を送るかを計算するのも四則演算だよ。

 主計局長の仕事は、シンプルな四則演算を基に、複雑な配分や政策を判断する力が求められるんだ。

4.四則演算だけで十分凄い理由
『四則演算だけなら簡単じゃない?』と思うかもしれない。でも、四則演算を使って膨大なデータを管理し、何十兆円というお金を正確に配分するのは簡単じゃないんだ。

データの規模が大きい:一桁間違えたら国家の予算が狂っちゃう!
忖度の調整が複雑:例えば教育費を増やしたら医療費を減らす必要があるなど、どうバランスを取るかは難しい判断が必要。

 東大法学部から財務省に入って、日本の税金や予算を管理する官僚も、結局やっているのは四則演算の組み合わせ。四則演算そのものは小学生でも習うけど、それを正確に忖度計算で補正して大規模に応用する力が財務省の仕事の凄いところなんだね。

世の中の大半は四則演算でできている!

 これまで見てきたように、コンピューターや経済、さらには、公認会計士や銀行員、財務省の主計局長など高度な専門職でさえ、基本的な四則演算が重要な役割を果たしています。四則演算を組み合わせれば、どんなに複雑に見える仕事でも、その根幹を理解することができるのです。

1.理系も文系も関係ない! 大切なのは論理的思考と文章理解力
『理系』『文系』という分類がよく議論されますが、実際のところ、コンピューターや経済、法律などを深く理解するためには次の3つが重要です。

(1)四則演算の基本的な理解
 足し算・引き算・かけ算・わり算ができれば、あらゆる分野で応用が可能。例えば経済では税率の計算、法律では損害賠償額の算定に必要。

(2)論理的思考力
 理系的な計算能力だけでなく、問題を分解し、原因と結果を整理する力。例えば『この条件ならどうなる?』と考える力は、理系でも文系でも不可欠。

(3)文章理解力
 法律文書、経済レポート、科学論文など、難しい文章を読み解く力。特に法律文章は論理の積み重ねで成り立つため、文章を理解できる人が強い。

2.理系・文系に分けて考えるのは日本特有の発想
『理系』『文系』という分類は日本独特の文化です。海外では、数学や科学は当然の教養として扱われ、同時に哲学や歴史の知識も重要視されます。

日本における理系・文系の分け方

 日本では、高校や大学で『理系』『文系』に分かれ、それぞれ異なる分野に進むことが一般的。しかし現実社会では理系と文系の垣根が曖昧であり、相互に補完し合うスキルが求められます。

文系の強み
 法律文章や経済政策などを理解するには、高度な文章読解力が必要です。これは『文系的な能力』と見られがちですが、実際には理系分野でも大いに役立つスキルです。

 多言語を使いこなし、歴史、音楽、絵画、舞台芸術、旅などを好むViolaさんは、自分のことを『ド文系』だと誤解していますが、彼女の思考パターンは、実は『ガチ理系的』といえます。歴史を理解するためには、単に年表を覚えるだけでなく、仮説を立て、関連資料や文献を調べ、検証と分析を行い、再評価して結論を導くという一連のプロセスが必要です。これはまさに理系が得意とする『仮説~検証』のサイクルと同じで、それを楽しめるということは、ガチ理系の素養がある証拠なのです。

 しかも、音楽は基本的には数学と同じだと言っても過言ではありません。リズムや調性、和音の組み合わせなどは、数的な構造を含んでいます。絵画や舞台芸術を楽しめるのも、構図やバランス、空間の捉え方など、理系的な要素を直感的に理解できるからこそ。つまり、Violaさんが好む多彩な分野は、『文系的』と思われがちな面をもちながらも、実は理系的な素養が土台になっているのです。

理系・文系を超えた未来へ

 これからの時代、理系や文系といった日本特有の区分けにこだわる必要はありません。むしろ、『四則演算』『文章理解力』『論理的思考』の3つをバランスよく身につけることが重要です。

 この文章を読めている人であれば、すでに『四則演算』と『文章理解力』は十分備わっているはずです。あとは『論理的思考』を少し訓練するだけで、これらの能力を活かして、より効果的に問題解決や意思決定ができるようになるでしょう。

武智倫太郎

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