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8文字で全俺が泣いた『俺には文才が無い……ガクッ』

俺には文才が無い……ガクッ

おしまい

『八甲田山死の彷徨』の八文字で泣ける人は多いでしょう。しかし、この八文字で泣くためには、新田次郎の小説か、あるいは八甲田雪中行軍遭難事件を知っている必要があります。

 この事件は1902年(明治35年)1月に日本陸軍第8師団の歩兵第5連隊が、青森県青森市街から八甲田山の田代新湯へ向かう雪中行軍の途中で遭難し、訓練参加者210名のうち199名が死亡したという、日本の冬季軍事訓練史上最多の死傷者を出した事故です。同時に、近代登山史においても世界最大級の山岳遭難事故とされています。

 日本陸軍は帝政ロシアを倒すための訓練として行いましたが――といった史実を知らなければ、『八甲田山死の彷徨』と聞いても、何のことやらわからないでしょう。

 同様に『十条銀座の鳥獣店』の八文字で泣くためには、以下の声劇の台本を知っている必要があるのです。

#なんのはなしですか

声劇台本『十条銀座の鳥獣店』

第一幕:ツンデレ・オウムのバブル・カンナ
(舞台は十条銀座の路地裏の鳥獣店。カゴの中で一羽のオウムがツンツンした態度を見せている)

ツンデレ・オウムのバブル・カンナ

バブル・カンナ(叫ぶ)
『か、勘違いしないでよね! 私は売り物じゃないんだから!』

(店の客が優しく声をかける)
『かわいいオウムですね。』

バブル・カンナ(翼をバタつかせながら)
『うるさいわね! 構わないでよ!』

(客が呆れて立ち去る。店主は苦笑い)

店主(ため息)
『カンナ、お前はいつになったら素直になれるんだい。』
(店主はカゴを撫でるが、カンナはそっぽを向く)

バブル・カンナ
『別に……寂しくなんかないし。』
(しかし、カンナは心の奥で何かを待っていた)

第二幕:異変の始まり
(ある日、カンナが不安そうに羽をバタつかせる)

バブル・カンナ(緊張した様子で)
『酸素がもうない……』
(商店街の老店主たちが次々と倒れていく)

通行人A『あれ……? なんだか息苦しいな……』

通行人B『おい! おじいさん、大丈夫か!?』
(しかし、誰も事態の深刻さに気付かない)

バブル・カンナ(叫ぶ)
『酸素がもうない! 酸素がもうない!』
(カンナの叫びは日に日に大きくなっていく)

第三幕:ペテン禿げの陰謀
(場面転換。暗闇の中、怪しい笑い声)

ペテン禿げ(冷笑)
『ククク……まさか日本の酸素を売って金にできるとはな。』
(アメリカの石炭発電で酸素が枯渇し、東京の酸素が液化して輸出されていた)

ペテン禿げ
『日本の助成金を使って、東京の酸素を液体酸素船でアメリカに送る……完璧な計画だ。』
(東京の空は日に日に薄暗くなっていく)

第四幕:運命の再会
(鳥獣店の扉が静かに開き、初老の紳士がふらりと入ってくる)
初老の紳士(息切れしながら)
『カンナに逢いたい……ガクッ』
(彼はその場で倒れてしまう)

バブル・カンナ(驚愕)
『え……っ、嘘でしょ。りんちゃん……?』
(カンナの目が見開かれる。彼はカンナが愛した『りんちゃん』だった)

バブル・カンナ(涙声で)
『りんちゃーーーーん!!😭』

(カンナの声を聞き、りんちゃんが目を覚ます)
りんちゃん(微笑む)
『カンナ! ずいぶん待たせたね。でも、やっと見つけたよ。』

(カンナの瞳から、大粒の涙が零れ落ちる)

第六幕:ペテン禿げを討て!
(カンナとりんちゃんは東京の酸素を取り戻すため、ペテン禿げのアジト『ソドムバンク』へ向かう)

カンナ(決意の表情)
『私をオウムにしただけじゃ飽き足らず、東京の酸素まで奪うなんて……許せない!』

りんちゃん(拳を握りしめ)
『僕たちで奴の計画を止めよう!』

(ソドムバンクの入口でAI兵士『胡椒くん』が立ちふさがる)

闇金融のソドムバンクのイカサマ雀士・胡椒くん

胡椒くん(メカニカルな声)
『警告……敵対者認定……排除プロトコル起動……!』
(胡椒くんはガソリンを噴き出し、火をつけて攻撃してくる)

カンナ(避けながら)
『なんなのこいつ!? ガソリンなんて時代遅れにもほどがあるわ!』

りんちゃん(冷静に)
『ガソリンを使うってことは、水に弱いはず……』
(カンナは素早く近くの水道管を蹴り破り、水を噴き出させる)

カンナ(勝ち誇って)
『これでどう! 濡れたら火はつかないでしょ!』
(胡椒くんはバチバチとショートし、動きを止める)

胡椒くん(断末魔)
『エラー……システム……シャット……ダウン……』
(胡椒くんが崩れ落ち、カンナとりんちゃんは先へ進む)

カンナ(ニヤリ)
『ペテン禿げ、待ってなさいよ!』
(戦いの幕が開く……)

つづく…

武智倫太郎

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