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野呂一郎教授と語るプロレス復活の日

1.プロレスの黄金時代から総合格闘技の台頭へ

 かつて、アントニオ猪木やジャイアント馬場が牽引した日本プロレス界は、昭和・平成の時代を通じて絶大な人気を誇りました。新日本プロレスの『闘魂三銃士』、全日本プロレスの『四天王プロレス』など、スター選手たちが生み出すドラマチックな試合は、多くのファンを魅了しました。

 しかし、1990年代後半から2000年代初頭にかけて、総合格闘技(MMA)の台頭がプロレス人気に大きな影響を与えました。PRIDEやK-1のような『リアルファイト』を前面に押し出した団体が注目を集め、プロレスの『ショー的要素』が時代遅れと見なされることが増えました。

 特に、総合格闘技で活躍する選手がプロレスラーの実力を凌駕する場面が話題となり、ファン層が分裂していきました。

2.お笑い系格闘イベントの乱立とプロレス人気のさらなる低迷

 総合格闘技の流行と同時に、エンターテインメント性を強調した格闘イベントが乱立しました。特に話題を集めたのが以下の要素です。

高田総統と『ハッスル』
 高田延彦を中心とした『ハッスル』は、プロレスとバラエティを融合させた異色の興行でした。

 レイザーラモンHGやインリン・オブ・ジョイトイ(インリン様)、さらには歌舞伎俳優・和泉元彌の参戦など、話題性を重視するあまり、本格的なプロレスファンからの支持を失う結果となりました。

『総合格闘技』自体の分裂と衰退
 PRIDEは暴力団スキャンダルにより消滅し、K-1も運営の混乱で人気が低迷。お笑い系格闘イベントが短命に終わったことで、エンターテインメントの主軸が揺らぎました。

 プロレスも総合格闘技も人気を失い『格闘技冬の時代』に突入した。そして、プヲタは死滅したかに見えた! しかし、全てのプヲタは死に絶えてはいなかった!

3.復活の兆し:プロレスの再興を支える根拠

 2020年代に入り、新日本プロレスを中心に復興の兆しが見え始めています。その理由は以下の通りです。

新日本プロレスの海外展開と世界的成功

 新日本プロレスは、棚橋弘至やオカダ・カズチカといったカリスマ的選手を中心に、国内外で人気を拡大しました。

 特にアメリカ市場への進出が成功し、AEWとの提携や『Wrestle Kingdom』のような国際的イベントがファンを引き寄せています。

新たなスター選手の登場

 ウィル・オスプレイや内藤哲也など、国内外で評価の高い選手たちがプロレスの魅力を再び広めています。SNSやYouTubeを活用して選手たちがファンと直接交流することで、若年層の支持も拡大しています。

プロレス文化の再評価

 エンターテインメント性とスポーツの融合が新たな形で注目され、プロレスが再び『物語性』と『技術』を兼ね備えた格闘技として評価されています。他の格闘技が人気を失った中で、プロレス特有のストーリーテリングが再び脚光を浴びています。

地上波放送の復活

 地上波放送の復活がプロレス人気の再興を支えています。2020年4月にはBS朝日で『ワールドプロレスリングリターンズ』が放送を開始し、34年ぶりにゴールデンタイムでのプロレス中継が復活しました。2023年には放送時間をさらに利便性の高い時間帯へ移動し、視聴者層の拡大が期待されています。

あの“金曜夜8時”!34年ぶり復活! 「ワールドプロレスリングリターンズ」

4.2025年がプロレス復古元年となる理由

 2025年は、日本プロレス界にとって復興の象徴的な年となると予測されます。その背景には以下の要因があります。

大規模イベントの成功
 東京ドームや大阪城ホールでの大型興行が、観客動員数を回復させるだけでなく、新たなファン層を呼び込むでしょう。

国際連携の強化
 AEWや他の海外プロレス団体との連携が進むことで、日本プロレスの国際的評価が向上しています。

若手スター選手とベテラン選手の融合
 若手とベテランの共演が世代を超えた支持を生み出しています。

結論
 かつての混乱期を乗り越え、プロレス界は『伝統』と『革新』を兼ね備えた新たなエンターテインメントとして復活を遂げつつあります。2025年は『プロレス復活の日』として記憶されるべき年となり、日本プロレスが再び世界に羽ばたく時代が訪れるでしょう。

武智倫太郎



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