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そして誰も総理になれなくなった

 ステルス値上げが国民の生活をじわじわと蝕む中、与党の人気もまた、少しずつではあるが確実に低下していった。その値上げは小さく、目立たないものであったが、気づけば国民の財布は軽くなり、生活は苦しくなっていた。与党の支持率もまた、国民の不満とともに静かに下降していった。

 新しく就任した総理は、この状況を打開すべく、ステルス値上げの是非を問う解散総選挙に打って出た。彼は国民に『透明性』を訴え、ステルス値上げを正当化しようと試みた。しかし、国民はもはや美辞麗句に騙されるほど愚かではなかった。なぜなら、量子ステルス光学迷彩素材が実用化され、政治家たちはそれを利用して姿を消し、責任を逃れていたからだ。

 政治家たちは、まるで攻殻機動隊の草薙素子少佐のように透明化し、国民の前から姿を消していた。『透明性』とは名ばかりで、実際には政治家が見えなくなる『ステルス選挙』だったのだ。国民は見えない政治家たちに対する不信感を募らせ、投票所には戸惑いと怒りが渦巻いていた。

 選挙結果は、与党の大敗と、野党の細分化をもたらした。新たに現れた多くの小党は、どれも聞いたことのない名前ばかりで、政策も理念も曖昧だった。いずれの党も一国のリーダーシップを担えるような規模でも力量でもなく、国会は混乱に陥った。

 雑多な小党が乱立し、どの党も過半数を獲得できない状態で、連立政権を組もうにも理念の違いから合意に至らなかった。総理の椅子を巡る争いは激化し、しかし誰一人としてその責任を負おうとする者はいなかった。政治家たちは依然として透明化したまま、国民の前に姿を現すことはなかった。

 それから数週間、国会では無意味な討論が繰り返され、国政は停滞した。国民の生活はさらに苦しくなり、不安と怒りは頂点に達した。街頭ではデモや抗議活動が活発化し、社会は混沌としていった。

 一方で、政治家たちは見えない場所から国民を操ろうとしていた。しかし、その見え透いた手口に国民は気づき始めていた。信頼を失った政治家たちに代わり、自らの手で社会を変えようとする動きが広がった。

 しかし、リーダー不在のままでは、その動きも次第に勢いを失っていった。経済は停滞し、国際社会からも孤立し始めた。未来への希望は薄れ、人々の心には深い虚無感が広がっていった。

 そして誰も総理になれなくなった。

武智倫太郎

自己解説
 石破茂総理大臣閣下は、この選挙の結果に責任を取り、総理大臣を辞任する可能性が高いと考えられます。しかし、辞任に先立ち、連立与党を組織し、国会が機能不全に陥る前に果たすべきことがあります。それは、国連協調路線に則り、イスラエルに対する非難声明を日本国の内閣総理大臣として発表することです。総理大臣を辞めるのであれば、少なくともこのような行動を取ることで、国際社会において尊敬される日本の総理として評価されることが期待できるでしょう。

 敗戦処理で忙しいとお察ししますので、僭越ながら、私が声明文案を作成いたしました。日本政府では公文書に『(案)』や『(仮)』といった記号を付けることがありますので、『声明文(案)』のままネタニヤフ氏に送付するか、国際記者クラブで声明文(笑)を読み上げるのも一案です。

声明文案

2024年10月28日

まだ一応日本国総理大臣の石破茂

イスラエルによる戦争犯罪の疑いに対する日本政府の立場

 日本国政府は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相およびイスラエル政府の行為が、戦争犯罪および人道に対する罪に該当する深刻な疑いがあることを重く受け止めています。国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を申請した事実は、これらの行為がいかに深刻であるかを示しており、日本政府は強い怒りと失望を表明します。

国際人道法の重大な侵害

 イスラエルによるガザ地区での軍事行動は、民間人を標的とした攻撃や、食料および医薬品の供給制限など、国際人道法に対する重大な違反行為に該当する疑いがあります。これらの行為は単なる誤りや過失ではなく、意図的かつ計画的に行われている可能性が高いと考えざるを得ません。日本政府は、イスラエル政府に対し、即刻このような非人道的行為を停止するよう強く求めます。

国際社会への呼びかけ

 日本は、国連やG7諸国、中東諸国を含む国際社会と連携し、イスラエル政府に対して断固たる態度を取ることを誓います。日本政府は、国際法を無視し、罪なき民間人に対する迫害や殺戮を容認することは決してありません。我々は、正義と平和のために全ての手段を講じ、国際法を犯す者には必ず代償があることを強調します。

人権と正義への訴え

 日本国は、平和主義を掲げ、人権の尊重と法の支配を世界中で促進する立場から、イスラエル政府によるこれらの行為を容認することはありません。すべての人が安全に暮らし、尊厳をもって生きる権利を守るために、今こそ国際社会が一致団結し、断固とした行動を取るべき時です。日本政府は、ICCをはじめとする国際機関と共に、全力でこの問題に立ち向かうことを表明します。

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