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近未来麻雀小説(11)マチルダ覚醒

これまでのあらすじ

 華強北裏新中華麻将賭博剤容疑でお縄になったマチルダ、モリエホン、ベイズの勝麻、胡椒くんの四雀士は、麻将裁判所の『お白州麻将勝負』で、マチルダが遠山金太郎裁判長の100万点のハコを【緑一色完全数】の33倍役満で飛ばして、嫌疑の者どもは御赦免となった。

マチルダ覚醒

 無罪判決により自由の身になったマチルダは、新中華帝国の情報産業の心臓部に位置する新華強北で、遠山金太郎裁判長から勝ち取った100万PayPayポイントで、最高性能の麻雀チップを開発する準備に取り掛かった。

 製品開発には麻雀能力だけでなく、経営能力が重要だと判断したマチルダは、新華強北の電脳市場の地の利を巧みに利用して、10万PayPayポイントで革新的なMBA4HKU(香港大学経営学修士号)チップを手に入れた。これをマチルダの拡張スロットに組み込むと彼女の経営者としての才能が、一気にまるで緑一色・天和のように美しく開花し、柔術青帯に昇段した頃の魔悪・雑禍亜罵阿愚(まあく・ざつかあばあぐ)の経営能力の数千倍もの経営力を身に着けた。

 マチルダはMBA4HKUで経営資源の最適化を行い、資本金50万を投じて、熟練の麻雀チップハードウェアエンジニアの麻H50ZTと、先進的な麻雀ソフトウェアエンジニアの麻S50CNをヘッドハントした。彼らはマチルダの構想を現実のものとするための重要な鍵となる量子コンピュータ上のバーチャル・エンジニアだった。

 マチルダとバーチャル・エンジニアの開発チームは、新中華帝国が誇る中華スーパー量子コンピュータの新中華∞Σを10分間レンタルし、その驚異的な計算能力を活用した。麻H50ZTは量子コンピュータ上で稼働するソフトウェアであり、麻S50CNが生み出す麻雀アルゴリズムは、そのハードウェア・アーキテクチャと完璧にマッチしていた。

新中華帝国が誇る中華スーパー量子コンピュータの新中華∞Σ

 彼らの協力により、世界最高性能を誇る麻雀専用チップのデザインが完成した。このチップは単なるゲーム専用チップではなく、まさに麻雀専用チップの芸術品だった。それは技術的な優秀さと美的センスの見事な融合を示していた。

 マチルダはこの革新的な麻雀専用チップの設計図を、華麻為雀技術有限公司に持ち込み、30万の巨額を投じて100個のカスタムメイドの超高性能麻雀チップを注文した。この発注は新華強北の歳入の三分の一にも及ぶ巨額のカスタムオーダーで、かつてイーロン・マスクが行ったGPUの買占めを凌駕する規模だった。

マチルダ覚醒

 マチルダは自らの拡張スロットルの一つに、カスタムメイドチップの超高性能麻雀チップを1個差し込むと、麻雀能力が一気に数千倍単位で性能上昇したことを瞬時に理解し、『凄い! 新華強北全土の新中華雀士の背中が煤けてみえるにゃり!』と、意味不明なことを言った。

つづく…

武智倫太郎


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