AI倫理関連映画紹介(5)
『マイノリティ・リポート』(2002年)(Minority Report)
監督:スティーヴン・スピルバーグ
原作:フィリップ・K・ディック
AIに備わっている犯罪予測技術が持つ潜在的な問題を巧みに描いた作品です。映画の物語は、近未来のアメリカを舞台に、主人公が犯罪を未然に防ぐための特別な部隊『プリクライム』のリーダーとして活躍する姿を描いています。彼らの活動の根幹にあるのは、特殊な能力を持つ3人の予知者(プリコグ)が、未来の犯罪を予知することです。そして、その予知結果を元に犯罪者を逮捕し、犯罪を未然に防ぐステムが構築されています。
この作品では現代のAI技術による犯罪予測の問題点を多く示唆しています。まず、映画に登場するプリクライムのシステムでは、犯罪予測によって人々の自由が制約されることが描かれています。罪を犯す前に逮捕されることで、犯罪者の未来が予め決定されてしまいます。これは現代の犯罪予測AIにも当てはまる問題であり、誤った予測によって無実の人々が不当に疑われ、逮捕されるリスクがあります。
また、映画では予知者たちが持つ情報が不完全なことが示されています。彼らの予知は、あくまで可能性の一つであり、異なる未来が存在する可能性を否定できません。これはAIによる犯罪予測にも共通する問題です。現実世界では、AIが様々なデータや過去の事例に基づいて犯罪予測を行いますが、その予測結果が必ずしも正確だとは限りません。
更に映画では権力の悪用や情報操作の問題が浮き彫りにされています。プリクライムのシステムが利用されて、特定の人物が陥れられたり、情報が操作されることが描かれています。
2015年にマイノリティ・リポートの続編として、プリコグ三人が社会で生活するテレビ番組シリーズが放映されていますが、第一シリーズ13話で制作する予定だった派生番が、10話で打ち切られたことから、作品の完成度は読者の想像に委ねます。
『マトリックス リローデッド』(2003年)(原題:The Matrix Reloaded)
監督:ラナ・ウォシャウスキー、リリー・ウォシャウスキー
『マトリックス』の続編で、人類の抵抗軍とAIとの戦いが続きます。AI倫理を考慮する上で、重要な要素は特に見当たりませんでしたが、映画の途中で寝てしまったことが原因である可能性も否定できず、筆者がAI倫理を考える上で重要な点を見逃しているだけかも知れません。
『マトリックス レボリューションズ』(2003年)(原題:The Matrix Revolutions)
監督:ラナ・ウォシャウスキー、リリー・ウォシャウスキー
『マトリックス リローデッド』に続くシリーズ完結編です。筆者としては、『もうどうでもええやん』的な印象の強い作品です。そのため、著者が見逃している重大なAI倫理課題が潜んでいる可能性も否定できませんが、肯定もできないところが残念です。
『ターミネーター3』(2003年)(原題:Terminator 3:Rise of the Machines)
監督:ジョナサン・モストウ
『ターミネーター2』の続編です。何故、ターミネーター2が最高傑作と言われているのかを理解する上での一助となるでしょう。
『アイ・ロボット』(2004年)(原題:I, Robot)
監督:アレックス・プロヤス
アイザック・アシモフの『ロボット』シリーズをもとにした映画で、ロボットが反乱を起こし、人類に対して脅威となる物語です。アシモフが原作であるため、非常に重要なAI倫理問題が提議してあるはずですが、映画版では何かを見落としている可能性があり得ます。
この解説文では『映画監督がアシモフであれば提議しているであろうと思われる重要なAI倫理問題を見逃している』とも、『筆者が映画の提議している重要なAI倫理問題を見逃している』ともとれますが、このような曖昧な言葉を、NLPがどう解釈するかも、AIを考える上で重要な観点です。この観点はAIが人間の使用しがちな曖昧な言葉を的確に理解すべきか、あるいは、人間が曖昧な言葉を使わないように厳密な言葉を使うべきかを考える上で、重要なテーマです。
このように映画解説であるにも拘らず、映画のストーリーとは全く関係のない解説をしてしまうところが、筆者の人間らしい特徴です。現在のNLPでは、このような本筋とは関係のない回答をしてしまうと、幻覚と呼ばれかねない解説ですが、話しが脱線していることを意識しているか否かという、AI哲学上の重要課題も含まれているので、筆者のジョークの混じった文章は要注意です。