日本国のサイバーセキュリティの危機的実体(8)
このシリーズは元々『日本国が同盟国から信用されないのは、日本国の国家機密の最高責任者である首相のサイバーセキュリティが不十分だからである』の一行で終わる予定でした。本来であれば、X(Twitter)の1Tweetでも十分な内容なんです。でも、シリーズ途中で終了すると、『あれっ、ネタ切れ?』や『連載打ち切り?』との声があがる可能性があるので漫然と継続しているんです。noteの原稿は書き放題なので、出版社や編集部の都合による連載の打ち切りは無いんです。
そこで本稿では #イスラエル を攻撃した #ハマス への資金提供者に関する国際テロの #資金洗浄 ( #マネーロンダリング )問題が、日本の #防衛省 、 #金融省 、 #警察庁 間の情報共有問題と関係する理由について、一般常識レベルの情報を提供します。
#テロ資金 供与問題は、 #国防 や #諜報 に関心のある方にとっては、常識の範疇となりますが、一般の読者は、近所の交番や銀行でのテロ資金撲滅キャンペーンや新聞報道を見ても、自分には関係ないと感じているかもしれません。貿易や海外ビジネスの関連者は、銀行から #海外送金 に関する問い合わせが頻繁にあり、その非効率性に苛立っている方も多いでしょう。しかし、日本の銀行や金融庁の非効率なシステムが、日本がアジアの金融中心地として機能できない大きな一因であり、日本の経済発展の妨げになっていることを理解することは重要です。
一方で日本国は #国際金融センター としての位置づけを望んでおり、数十年前からその構想を打ち出し、様々なキャンペーンを展開してきました。私自身もアメリカで、現地の財務官僚や金融・証券関係者を対象に『日本国際金融センター構想』の講演を行った経験があります。その際、講演開始直後に出席者から大爆笑が起こり、驚いた私が最前列の受講者に理由を尋ねたところ、『日本が国際金融センターになる』という発言自体が #オープニングジョーク だと受け止められていたことがわかりました。
このような爆笑現象はアメリカだけでなく、シンガポール、マレーシア、香港、ドバイ、オーストラリアなど、どこで講演しても似たような反応が起こります。爆笑されなかったのは、タイのバンコクだけです。バンコクでは爆笑されずに微笑まれました。流石、微笑みの国と言われるだけのことはあります。
これらのエピソードからも、日本が海外からは金融後進国と見られている現状を、読者の皆さんにも理解していただきたいと思います。
金融庁のサイバーセキュリティが機能していない現実と、内閣サイバーセキュリティセンターの能力不足
日本のテロ資金追跡や #アンチマネーロンダリング (AML)に関する体制は、金融庁と警察庁が中心を担っています。金融庁は金融機関に対する監督を行い、不審な取引の報告を受け取る役目を果たしています。警察庁はサイバー金融犯罪捜査や情報収集を行っています。
防衛省は日本の防衛政策や自衛隊の運用を主要な業務としていますが、テロ資金の追跡はその主要業務ではありません。しかし、防衛省がテロ資金の直接的な追跡を行っていなくても、情報収集能力の重要性が増してきています。防衛相は、外務省、金融庁、公安部門、海外の国防関連組織からの情報を収集・整理していますが、真の国防のためには、過去の情報を頼りにするのではなく、現在の状況をリアルタイムで把握する能力が求められます。
上の『 防衛省と防衛産業との間の信頼関係の一層の醸成を図ることを目的』をわかりやすく説明すると『防衛省は民間企業からすら信頼さえていない』あるいは『防衛省は民間企業を信頼していない』という意味です。ここは二者択一ではなく相互不信の可能性もあります。日本国内ですら信頼関係が築けない日本の防衛省が、海外の企業や組織などと信頼関係が築けることなどあり得ないことは、説明するまでもありません。
日本におけるテロ資金の追跡の難しさについての指摘や懸念は、 #FATF ( #金融活動作業部会 )などの国際的な組織から多数指摘されています。指摘事項は多岐にわたりますが、その概略を箇条書きにすると以下のような点を挙げることができます。
匿名性の高い決済手段:日本では現金を用いた取引が多く、現金の匿名性がテロ資金の移動を隠蔽する要因となっていることが指摘されています。
仮想通貨:デジタル通貨や暗号通貨の利用が増えている中、これらの通貨の匿名性や国境を越えた取引がテロ資金の追跡を困難にしている懸念が指摘されています。テロ組織等による暗号資産の利用(公安調査)
規制の不足:日本の金融システムや取引所における対策が、国際基準に比べて不十分であるとの指摘もありました。例えば、FATFからは、過去に日本のアンチマネーロンダリング (AML) や対テロ資金供与対策 (CFT) が不十分であると評価されたこともあります。
情報共有不足:複数の機関や部署が関与する中で、情報共有が適切に行われておらず、効率的な追跡や取り締まりが難しくなることが懸念されています。
複雑な資金移動:犯罪組織やテロ組織は、資金獲得の手口を日々巧妙化し、一般利用者に紛れて気づかれることなく取引を行おうとします。これにより、不審な取引を見つけ出すことが困難になります。
国際的な取引:国際的な銀行取引やオフショア銀行を利用することで、資金の流れを追跡することが困難になります。特に、一部の国や地域では銀行規制が緩やかであり、それらの地域を通じて資金が移動すると、追跡が非常に困難になります。マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題(2022 年3月)金融庁
物々交換(バータートレード):現金やデジタル資産だけでなく、貴重品や商品を使った物々交換もテロ資金洗浄の手段として利用されます。これらの取引は通常の商取引と見分けがつきにくく、追跡が難しいです。
ハワラ:ハワラは伝統的な非公式の送金システムで、特に中東、南アジア、アフリカなどで利用されています。このシステムは、銀行やその他の金融機関を介さずに資金の移動を行うため、公式な記録が存在しません。そのため、#ハワラを利用した資金移動は追跡が非常に難しくなります。
以上の点を考慮すると、日本におけるテロ資金追跡の難しさは明らかです。これらの課題を解決するためには、 #シギント (信号情報収集)、 #ヒューミント (人間情報収集)、 #イミント (画像情報収集)などの情報収集方法と併せて、追跡や分析の技術と体制の強化が求められます。
アメリカのテロ資金監視体制
アメリカの国家安全保障に関連する組織の中で、テロ資金の監視や情報収集に関与している組織は以下の通りです。
#DoD(Department of Defense):DoDはアメリカの防衛を主導する組織であり、軍事行動や情報収集の過程でテロ資金の追跡に関与することがあります。特に、特殊部隊や軍事インテリジェンスが関与する場面が考えられます。
#DHS(Department of Homeland Security):DHSは国内のテロリズムやサイバーセキュリティの脅威に対応する機関です。DHS傘下には、FinCEN(金融犯罪執行ネットワーク)があり、不正な資金の流れやマネーロンダリング活動の監視を担当しています。
#CIA (Central Intelligence Agency):CIAは外国情報収集を主任務とし、テロリストやその資金源の特定を目的とした情報活動を行っています。
#NSA (National Security Agency):NSAは通信の傍受や暗号解読を主要業務としています。電子監視能力を活用してテロリストの通信を監視し、テロ資金の流れや組織のネットワークを明らかにする情報を収集します。
#FBI (Federal Bureau of Investigation):FBIは連邦捜査局として、テロリズムや国際犯罪の調査を行います。その中で、テロ資金やマネーロンダリングに関する情報を収集・調査します。
#DEA (Drug Enforcement Administration):DEAは麻薬取引の取り締まりを主任務としていますが、テロ組織と麻薬取引との関連性も考慮されるため、テロ資金の追跡も行われることがあります。
#Treasury_Department :財務省には、テロ資金の追跡やマネーロンダリング対策を担当する組織が複数存在します。 #FinCEN や #OFAC (外国資産管理局)はその代表例で、テロ組織や関連者への資産凍結や制裁を実施しています。
日米のテロ資金監視体制と比較すると、日本の内閣サイバーセキュリティセンターを中心としたサイバーセキュリティ体制は、首相官邸・公邸の情報漏洩の問題だけでなく、多方面にわたる深刻な課題を抱えていることが検証できます。
つづく…