小学生でもわかるGX入門(アンモニア編)
アンモニアの製造に必要な水素の量を計算してみよう!
やぁ、みんな! アンモニアが空気の主成分(容積比で約78%)の窒素と、空気中にはほとんど含まれていない水素でできているのを知ってるかな?
アンモニアを化学式で書くとNH₃なんだよ。水素(H)や窒素(N)は原子一つでなく、お友達と一緒に分子になっているので、アンモニアのNH₃を作るには水素 (H₂) と窒素 (N₂) が必要なんだ。
アンモニアの合成反応はN₂ + 3H₂ → 2NH₃で表現できるんだよ。窒素分子(N₂)1個と、水素分子(H₂)3個で、アンモニアが2個の2NH₃になるんだ。
アンモニアのモル質量
#窒素 (N)の原子量は14g/molで、 #水素 (H)が1g/molだよ。だから #アンモニア (NH₃)は窒素原子の14g/mol + 水素原子3個分の3g/molで17g/molになるよ。
アンモニアの製造に必要な水素の量
次に、1トン (1000 kg) のアンモニアを作るために必要な水素の量を計算してみよう!
1モルのアンモニアは17gだから、1トンのアンモニアは以下のモル数になるんだよ。1000kgは1,000,000gだよね。だから、1,000,000gをアンモニアのモル質量17g/molで割ると、58,823.53モルだってことは、四則演算だからみんなでもわかるよね!
さっき説明したけど、反応式によれば、1モルのアンモニアを作るためには3モルの水素が必要なんだよ。だから、58,823.53モルのアンモニアを作るためには3倍の176,470.59モルの水素が必要になるんだ。
水素原子のモル質量は1g/molだから、176,470.59モルの水素は176,470.59gになるんだよ。gだと計算しにくいのでkgにするために1000で割ると、176.47kgだね。つまり、1トン(1000kg)のアンモニアを作るためには、約176kgの水素が必要なんだ。細かい数字を覚えるのは大変だから、アンモニア重量の約18%が水素だと考えると覚えやすいよね!
ハーバーボッシュ法
アンモニアの製造方法として有名な #ハーバーボッシュ法 について説明するよ。ハーバーボッシュ法は、窒素 (N₂) と水素 (H₂) を高温・高圧の環境下で反応させてアンモニア (NH₃) を合成する方法なんだ。この方法は20世紀初頭にドイツの科学者フリッツ・ハーバーとカール・ボッシュによって開発されたんだよ。
基本的な仕組み
原料:窒素は空気から、そして水素は天然ガスや水の電気分解によって得られるんだ。
反応条件:窒素と水素を反応させるためには、通常、400~500℃の高温と200~300気圧の高圧が必要だよ。300気圧って爆発すると怖いから近付きたくないくらい高圧だけど、高温・高圧にするためには、物凄くたくさんの #エネルギー が必要なんだ。
触媒:この反応を促進するために鉄を主成分とする触媒が使われるんだ。触媒は反応の速度を速める役割を果たすけど、自分自身は反応に消費されないんだよ。
大量生産:ハーバーボッシュ法の導入によって、アンモニアをたくさん作ることができるようになり、それが #化学肥料 の大量生産につながって、農業の生産性が大きく向上したんだよ。だから、昔の学者さんが懸念していた『人が増えすぎると食べ物が足りなくなる』という予測が外れて、人口が爆発的に増えたのは、アンモニアを工業的に作れるようになったからなんだよ。逆に考えると、アンモニアが足りなくなると、世界の半分くらいの人が、食べ物がなくて困っちゃうくらい、アンモニアの製造は大事なんだ。その貴重なアンモニアを燃料として燃やしてしまおうなんて真剣に考えているのは、世界で日本だけなんだよ。
環境負荷:人間が生きていくために必要なアンモニアを製造しているこのプロセスはエネルギーを大量に消費するんだよ。しかも、CO₂の排出も多いから、 #環境負荷 が問題視されているんだ。今では、より #持続可能 な方法でアンモニアを製造するための研究が進められているよ。
日本が自画自賛するアンモニア製造のブレークスルー
日本のマスコミやエネルギー庁、NEDO、文部科学省あたりは、以下の二つのアンモニア製造技術が世界をリードしていると考えているんだ。でも実際に、自分で水を電気分解して水素を生成するエネルギーや、効率やコストを考えると、どちらも非現実的な話だって簡単に証明できるんだよ。
これは、 #ユーグレナ が #バイオ燃料 として成り立たないことが四則演算だけで計算できるのと同じなんだ。
日本は政治家や官僚、御用学者、マスメディア、大企業の全てが間違っているとは思わない人が多いかも知れないけど、実現不可能だとバレてしまったのでマスコミから批判されているユーグレナを絶賛していたのも同じ人たちなんだ。例えば、ユーグレナ社から広告料をたくさんもらっていたマスコミが、ユーグレナを夢の燃料だとか、日本が緑の油田になるとかあり得ない宣伝を何年間も続けていたんだよ。JALやANA、JR、東京都、NEDOや文科省なんかも、ユーグレナのバイオ燃料とか言っていたけど、みんな四則計算ができないのかもね。
ちなみに、最近、ユーグレナ社はバイオ燃料を作っていないんだ。ユーグレナ社が黒字転換した最大の理由は、本業のユーグレナの製造工場を閉鎖したからなんだよ。
つづく…
武智倫太郎