空き家

おひとり様でいらっしゃる方で

入院され退院後、そのまま施設に入所された方がいました。施設に５年ほど入所されていましたが、ご自宅はそのままでした。
今後、自宅での生活をすることもないだろう。とご自宅の処分のお手伝いをされていただきました。

残置物あり。バルコニーから水が入り、リビングは雨漏りをしている状態でした。

不動産屋さんを入れて仲介での処分も考えましたが買い手が、いつ見つかるかも分からない。

残置物ありで丸々買取していただく方法を取りました。
その後、リフォームされ買い手も見つかりました。

空き家問題とは

日本では、少子高齢化や人口減少が進行している中、空き家の増加が深刻な社会問題となっています。空き家とは、個人や法人の所有物件でありながら長期間使われておらず、放置されている家のことを指します。国土交通省の調査によると、2023年現在、日本の空き家数は約850万戸を超え、全住宅数の13.6%に達しています。この空き家問題は、地域社会や経済にさまざまな悪影響を与えています。

空き家問題の背景

1. 人口減少と高齢化
   日本の総人口は減少傾向にあり、特に地方部では過疎化が進んでいます。高齢化により、住民が亡くなったり、施設に入ったりしても、子供や親族がそのまま家を相続するケースが多いですが、相続した家が使われないことが多く、結果として空き家が増えています。また、都市部への人口流出が続いており、地方の住宅需要が低下していることも大きな要因です。

2. 土地・家屋の所有権問題
   日本では不動産を所有することに大きな価値があるとされてきましたが、所有者が高齢化する一方で、維持管理の手間や費用が問題となるケースが増えています。また、相続が複数人に渡る場合、所有権の分割や不透明な相続手続きが原因で、適切な管理が行われないまま空き家が放置されることもあります。

3. 住宅需要の変化
   戦後の高度経済成長期からバブル期にかけて、多くの住宅が建設されました。しかし、近年は新築志向が強く、古い住宅は敬遠されがちです。特に築年数が古い家はリフォームや改修費用がかかるため、再利用されずに放置されることが少なくありません。

空き家問題の影響

1. 防犯上のリスク
   空き家が増えると、地域の治安が悪化するリスクが高まります。放置された空き家は、犯罪者にとって侵入しやすいターゲットとなることが多く、ゴミの不法投棄や不審者の溜まり場になる可能性もあります。

2. 景観や衛生の悪化
   適切に管理されていない空き家は、外観が老朽化して周囲の景観を損なうだけでなく、雑草やゴミが散乱することにより、衛生的な問題も引き起こします。これにより、近隣住民の生活環境が悪化し、地域全体の資産価値が低下する可能性があります。

3. 地域経済への悪影響
   空き家の増加は地域の活性化に悪影響を及ぼします。空き家が増えることで、住民が減り、商業施設や公共サービスの需要が低下し、地域経済が縮小してしまいます。特に地方では、空き家の増加が原因で過疎化がさらに加速する悪循環が見られます。

解決策と取り組み

1. 空き家の利活用促進
   近年、自治体やNPO、企業などが空き家の利活用に積極的に取り組んでいます。例えば、地方に移住したい若者やクリエイターに対し、空き家を安価に提供するプログラムが増加しています。また、空き家をゲストハウスやシェアハウス、カフェなどに改装する取り組みも進んでいます。

2. 法整備の強化
   2015年に施行された「空き家等対策特別措置法」により、行政が危険な空き家を特定し、所有者に対して解体や改善を命じる権限が強化されました。この法律により、危険な空き家の放置が減少しつつあります。また、税制上の優遇措置を受けているにもかかわらず適切に管理されていない空き家に対しては、固定資産税の軽減措置を撤廃するなど、経済的なインセンティブを活用した対策も取られています。

3. 地域との連携強化
   地域コミュニティとの連携も重要です。住民や行政が協力し、空き家の情報を共有する仕組みを整えることで、適切な管理や利活用の促進が期待されます。例えば、地域住民の力で空き家を修繕し、地域のコミュニティスペースや集会所として利用するなどの事例も増えています。

まとめ

空き家問題は、日本社会の構造的な変化に伴う複雑な問題であり、地域の安全や経済、環境にさまざまな影響を与えています。しかし、空き家の利活用や法整備、地域との連携を強化することで、持続可能な解決策を見出すことが可能です。空き家を単なる「問題」として捉えるのではなく、新しい可能性を引き出す資源として活用する視点が、今後の日本社会にとって重要な課題となるでしょう。

一般社団法人あいえん　～身元保証　生活支援　死後事務～