握力と健康
研修で看護師さんがデイに来所される方と、毎回握手をすると仰っていました。
なぜ?
握手の強さで現在の身体機能の状態や気分を見ているとの事。
1.握力と全身の筋力の関係
握力は手指の筋力だけでなく、上肢、体幹、下肢など全身の筋力と関係しています。研究によると、握力が強い人ほど全身の筋力も強い傾向があり、筋肉量や運動機能が高い特に中高年以降では、握力の低下が全身の筋力低下や活動力の低下の目に見えることが多く、握力測定の初期に健康リスクを把握することができます。
2.握力と心血管疾患のリスク
握力と心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中など)のリスクとの関係も注目されています。握力が弱い人は、心血管疾患のリスクが高くなることが多いと報告されており、これは握力が筋力や体力、さらには血管の健康度を反映するためだと考えられています。2015年に発表された大規模な国際研究によると、握力が10kg低下するごとに心血管疾患による死亡リスクが16%増加することがある。握力測定は簡単におこなえ、心血管疾患の早期発見や予防の慎重として活用されることが期待されています。
3. 握力と長寿の関係
握力は長寿とも密接に関連しているとされています。多くの研究において、握力が強い人ほど健康寿命が長く、握力の低下は高齢者の死亡リスクの上昇と関連することが確認されています。これは握力が体力や筋肉量、骨密度、そして日常生活での活動力といった複数の健康被害を反映するからです。高齢者の握力低下は転倒リスクの増加や、寝たきりのリスクと関連し、介護が必要になる可能性もあります。
4.握力とメンタルヘルスの関係
握力はメンタルヘルスとも関連しています。 握力が強い人はうつ症状や不安が少なく、精神的な健康状態が良好であることが多いと思われる研究が増えています。運動能力が高いと自信や自己肯定感が向上し、ポジティブな気分を持ちやすくなることが一因と考えられています。握力低下がメンタルヘルスの悪化と関連することから、精神面でのサポートの指標としても握力が有用であると考えられます。
5. 握力低下を防ぐための考え方
年齢とともに握力が自然に低下することは避けられませんが、定期的な運動や筋力トレーニングでそのスピードを遅くすることが可能です。以下に握力低下を防ぐための方法を紹介します。
筋トレ:スクワット、デッドリフト、プッシュアップなどの全身運動は握力も含めて全体の筋力を向上させます。
手の運動:ハンドグリッパー(握力器具)やボールを使った握力トレーニングを取り入れて、手指の筋力を効率的に強化できます。
バランス運動:片足立ちやヨガなど、バランス能力を鍛える運動は全身の筋力向上に鍛えられ、握力の低下予防にもつながります。
6. まとめ
握力は手の力を測るだけでなく、全身の筋力、心血管リスク、メンタルヘルス、さらには寿命とも密接に関連していることがわかっています。活用し、適切な運動や生活習慣の改善把握力の維持・向上に努めることが、健康寿命を延ばす一助となります。
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