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アイデミーの人材マネジメントポリシーを策定しました!

Modeloy Consulting グループリーダーの登坂直矢です。

2022年4月13日にアイデミーの人材マネジメントポリシーを新たに策定しました。人材マネジメントポリシーとは、端的に言うと「会社と社員の約束事」です。

今回の記事では、以下の3点について記載しています。

1. なぜ人材マネジメントポリシーを策定しようと考えたのか
2. 策定した人材マネジメントポリシーはどんな内容か
3. 人材マネジメントポリシーをどのように決めたのか

1.なぜ人材マネジメントポリシーを策定しようと考えたのか

アイデミーには、ミッションとバリューがすでに存在していました。詳細はアイデミー代表石川のnote記事をご覧ください。

アイデミーのバリューを再定義しました!|石川 聡彦 @ai_aidemy|note

ミッションは会社の存在意義、社会・世界にどう働きかけていくのかを示すものです。

アイデミーのミッションは「先端技術を、経済実装する。」です。AIをはじめとした新たなソフトウェア技術を、いち早くビジネスの現場にインストールし、次世代の産業創出を加速させる。それが、私たちアイデミーの使命です。

アイデミーのバリューは、ミッションを体現するために社員に期待したい「価値観」「行動指針」を整理したものでした。以下の3つです。

Client First - すべてはお客様のために
お客様に最高の価値を提供し、期待を超えた感動を追求しよう。

Scientific Mindset - 科学者たれ
事実やデータに対して素直に向き合いながら、常に挑戦しよう。

One Aidemy - 信頼と尊敬
ミッションを達成するために、全員の力を合わせよう。

バリューの策定は2020年7月20日であり、約2年が経過しました。バリューの浸透度合いを定量的にアセスメントしたわけではありませんが、一定程度浸透したのではないか、という印象を持っています。


ただし、一方で、新しい問題が生まれてきました。ミッション・バリューはあるが、抽象度が高いが故に人によって受け取り方が異なるため、会社から具体的にどのような行動を求められているのかがよくわからなかったり、会社が期待していない行動を取る人の割合が増えてしまった、という問題です。

この問題は、中長期的に日々の業務遂行に悪い影響を及ぼします。最悪の場合、アイデミーのミッション達成を困難にしてしまう可能性もあります。悪い影響を感じ取っている人がいる根拠として、人材マネジメントポリシーを策定するためのインタビューで「一体感の欠如」を挙げる人が一定数いました。

「会社と社員の約束事」が必要だった

なぜ上記のような問題が生じているのか。

アイデミーでは、中途採用がほとんどを占めるため、1人1人異なるバックグラウンドを持つ社員が在籍しています。私が入社した2020年6月からこの記事を書いている2022年5月までに、正社員の数は2倍から3倍には増えているかと思います。もちろん退職者もいるため、単純に人が増えたのではなく、人の入れ替わりもありました。

そのため、バリューのような抽象度の高い「価値観」「行動指針」は、人によって受け取る意味合いが異なる可能性が高くなります。あるいは、バリューに対するロイヤリティ(愛着度合い)も人によって異なります。

つまり、この問題を解決するためには、1人1人異なるバックグラウンドを持つ社員でも、共通認識を持てるくらい具体的な行動レベルの指針が必要だったのです。

それが人材マネジメントポリシーであり、「会社と社員の約束事」でした。現在、約束事をより具体的にした Dos & Don’ts(「するべき行動」と「するべきではない行動」)も策定しています。完成でき次第、note記事にて公開します。

ミッションとバリューとの関係性

ミッションとバリュー、人材マネジメントポリシー、 Dos & Don’ts の関係性は以下の通りです。

・ミッションを体現する、メンバーに期待したい価値観・行動指針がバリュー
・バリューを発揮するための、会社と個人の約束事が人材マネジメントポリシー
・人材マネジメントポリシーを行動レベルまでブレイクダウンしたものが Dos & Don’ts

バリューも、人材マネジメントポリシーも、 Dos & Don’ts も、すべてはミッション達成のために策定されるものです。ミッションが変わったり、アイデミーを取り巻く環境が変化すれば、変わる可能性があります。人材マネジメントポリシーも、 Dos & Don’ts も、今後、定期的に見直す機会を設ける予定です。

1人1人が約束事を守ることでチームに一体感が生まれる

一体感のないチームと、一体感のあるチームの差は何でしょうか。

チームメンバーの価値観でしょうか。チームリーダーの力量でしょうか。それとも、共通の目的やゴールでしょうか。

もちろんどれも大事な要素なのですが、私が思う「チームに一体感を生む最も大事な要素」は「お互いに約束事を守ってくれる(と同じ場所にいなくても感じることができる)信頼感」です。同じ場所にいなくても、他のメンバーは約束事を守って業務を遂行している(だろうと信頼している)から、私も他のメンバーとの約束事を守って業務を遂行しよう、と全メンバーが考えて行動していれば、最高のチームだと考えます。

共通の目的やゴールは必要なのですが、あれば一体感が生まれるかというとそうではありません。アイデミーにも明確なミッションとバリューが存在したにも関わらず、人材マネジメントポリシーを策定するためのインタビューで「一体感の欠如」を挙げる人が一定数いました。

共通の目的やゴールに向かうことはもちろんのこと、それに加えて、同じ場所にいなくても、お互いが何をしているのかがわかっている状態であれば、自分が何をするべきかがわかり、まるでチーム全員が同じ気持ちや考えを抱いているかのような一体感が生まれます。つまり、1人1人が約束事を守ることでチームに一体感が生まれるのです。

本当に必要なのは、共通の目的やゴールに向かうための約束事と、約束事を守る自律的な人材だと考えます。


2.策定した人材マネジメントポリシーは何か

上記では人材マネジメントポリシーの Why を書いてきました。ここからは What を書いていきます。

記事の冒頭でも書いた通り、人材マネジメントポリシーとは「会社と社員の約束事」です。社員が会社に対して守るべき約束事と、会社が社員に対して守るべき約束事の2つが存在します。

双方が約束事を守ることで、価値の創造を継続的に最大化することを目指します。

全体像

社員が会社に対して守るべき約束事

社員が会社に対して守るべき約束事は、以下のように決めました。

働く人→会社への約束事

アイデミーで働く人は、アイデミーが求める
『先端技術を、経済実装する。』プロフェッショナルとして、進化・成長し続けることを約束します。

具体的な約束事は、以下の3つです。

Integrity - 公明正大
正直かつ誠実である。

Collaboration - 自律と協働
自律した個人が協働し、成果を出す。

Value Delivery - 価値を繋ぐ
創造した価値を継続的に顧客へ届ける。

会社が社員に対して守るべき約束事

会社が社員に対して守るべき約束事は、以下のように決めました。

会社→働く人への約束事

アイデミーは、アイデミーで働く人に
『先端技術を、経済実装する。』プロフェッショナルとして、能力を最大限に発揮できる機会と環境を提供し続ける
ことを約束します。

具体的な約束事は、以下の3つです。

Opportunities - 成長機会
個人の進化・成長を加速する機会を提供する。

Maximizing Individual Abilities - 能力の最大化
個人の能力発揮を最大限に支援する。

Communication - 協働の基盤
チームで価値を発揮するために、コミュニケーションの場を提供する。

3.人材マネジメントポリシーをどのように決めたのか

人材マネジメントポリシーの策定にあたり、重視した点が2つあります。

1つ目は、策定メンバーの募集です。似たような問題意識を持っている社員をタスクフォースメンバーとするべく、有志メンバーを募集しました。なぜなら、必要性を感じているメンバーでないと、部長以上の役職者へのインタビューは務まらないと考えたためです。

2つ目は、全社員の自分事化です。このような会社としての決め事は、策定プロセスに全社員を巻き込み、1人1人に自分事化してもらうプロセスが必要です。なぜなら、どんなにきれいな決め事を策定したとしても、それを実行するのは全社員であり、全社員が自分事として捉えなければ浸透することはありません。絵に描いた餅で終わります。

上記の2点を重視しつつ、3か月という短期間で人材マネジメントポリシーの策定を進めました。

なお、人材マネジメントポリシーの策定にあたり、リクルートが公開している人材マネジメントポリシーを参考にしました。

人事制度・仕組み | 株式会社リクルート 中途採用サイト

Future Session での問題提起

まずアイデミーの Future Session にて問題提起を行いました。Future Session とは、緊急度は低いが重要度が高い中長期的なテーマについて、未来志向でディスカッションを行い、アイデミーのミッションである「先端技術を、経済実装する。」を実現するための具体的な戦略を描くための場です。

人材マネジメントポリシーの策定は、人材育成や組織開発といった、まさに「緊急度は低いが重要度が高い中長期的なテーマ」の筆頭であり、誰かが旗を振って取り組まなければ誰も取り組まないような領域の代表格です。

この記事に書いている問題意識を説明し、参加者と議論を深めた上で、ネクストアクションは全社員向けにタスクフォースメンバーを募集することで決まりました。

タスクフォースメンバーの募集

重視した点で書いた通り、似たような問題意識を持っている社員をタスクフォースメンバーとするべく、有志メンバーを募集しました。

結果的に、私を含めた10名の有志メンバーが集まりました。2名×5グループに分かれて、部長以上の役職者へインタビューをすることにしました。

部長以上の役職者へインタビュー

2名×5グループに分かれ、部長以上の役職者へインタビューを行いました。各インタビューの議事録や動画は、可能な限り社内公開をしています。なぜなら、策定プロセスをなるべく透明化し、関心を持って見に来てくれた方の納得性を高めるためです。

タスクフォースメンバーは、部長以上の役職者の人材や組織に関する意見を直接聞き、議論を深めたことで、「中長期的に考えて、どんな人材マネジメントポリシーがアイデミーにとって最善なのか?」を考えるきっかけになったのではないか、と思います。人材や組織への当事者意識が芽生える機会になれば、タスクフォースメンバーの今後のキャリアも拡がるのでは、と感じました。

全社員を巻き込んだワークショップ

重視した点で書いた通り、全社員の自分事化を図るため、全社員を巻き込んだワークショップを実施しました。

アイデミーでは、月に2回、全社員を対象とした全社MTGがあります。その時間を拝借し、人材マネジメントポリシーの策定プロセスを疑似体験してもらうワークショップを実施しました。40名ほどの参加者を9グループに分け、各グループごとに人材マネジメントポリシーの要素をブレインストーミングしてもらい、最後に全体発表をしていただきました。

インタビュー・ワークショップの内容をもとに結晶化

部長以上の役職者へのインタビュー、全社員を巻き込んだワークショップの内容をもとに、私の方で結晶化(クリスタライズ)しました。

結晶化(クリスタライズ)とは、「要は何か」を一言でまとめることを指します。

出た意見を全て洗い出し、3つのカテゴリに分類して、結局何を人材マネジメントポリシーとするのか、言葉を磨きました。これは帰納法的なアプローチです。

一方で、並行して、ミッション・バリューや、今までの経営層の話をもとに、演繹法的に人材マネジメントポリシーをぼんやりと考えていました。

演繹法と帰納法がうまくかみ合った瞬間、自分でも納得できる人材マネジメントポリシーができあがったと感じました。

経営会議で無事に承認をもらい、株式会社アイデミーの正式な人材マネジメントポリシーとなりました。

今後の取り組み

上記のプロセスにて、人材マネジメントポリシーを策定しました。今後は、以下の2点に取り組む予定です。

1つ目は、社員が会社に対して守るべき約束事の具体化です。すでに進めている Dos & Don’ts の策定が該当します。

2つ目は、会社が社員に対して守るべき約束事の具体化です。人事制度・人材開発制度・組織開発施策の強化・見直しが該当します。

Dos & Don’ts の策定

「1人1人異なるバックグラウンドを持つ社員でも、共通認識を持てるくらい具体的な行動レベルの指針」が必要であると書きました。バリュー及び人材マネジメントポリシーに基づき、Do(するべき行動)と Don’t(するべきではない行動)を整理し、社内外に公開します。

アイデミーにすでに在籍している社員にとってのコンパスになり、リーダー以上の役職者はメンバーのマネジメントに役立てることができます。また、アイデミーへの入社を検討いただいている採用候補者の方向けにも、アイデミーの人材に対する考え方を知っていただいた上で、書類選考や面接に来ていただけるようになれば、お互いのミスマッチを極力減らすことができます。

人事制度・人材開発制度・組織開発施策の強化・見直し

策定した人材マネジメントポリシーをもとに、現状の人事制度(特に等級・評価・給与・代謝制度)・人材開発制度(1on1・書籍補助・資格補助・Aidemy受講放題等)・組織開発施策(社内報・同好会等)の強化・見直しが必要になります。

個人の進化・成長を加速する機会は、現状の施策だけで必要十分か?
個人の能力発揮を最大限に支援する人事制度になっているか?
チームで価値を発揮するためのコミュニケーションの場は必要十分か?

上記の疑問を念頭に、ブラッシュアップを続けていくことが重要です。コーポレート本部や人事と連携しながら、進めていきたいと考えています。

終わりに

今回、人材マネジメントポリシーの策定をリードしたことで、私自身も2つ大きな気付きを得ることができました。

1つ目は、策定プロセスに関わったほとんどの方々が、人材や組織への問題意識を持っていることでした。これは嬉しい気付きです。完璧な人材、完璧な組織は存在しません。人材や組織への問題意識を持ち続け、未来志向で改善・革新をし続ける姿勢が重要だと改めて気付かされました。

2つ目は、策定した人材マネジメントポリシーに、いい意味で目新しさがなかったことです。これも嬉しい気付きでした。普段私たちアイデミーの社員が仕事をする中で意識していたことが改めて言語化されたような感覚です。部長以上の役職者へインタビューした動画をすべて視聴し、全社員を巻き込んだワークショップの結果を踏まえて、私が人材マネジメントポリシーの素案を作成したのですが、「ああ、やっぱりそうなるよね」と素直に思いました。アイデミーのDNAというか、文化というか、「アイデミーらしさ」が形成されている証拠だと感じます。

最後に、人材マネジメントポリシーの策定に携わったタスクフォースのメンバー、インタビューやワークショップにご協力いただいた全社員の皆さまに感謝いたします。

アイデミーでは積極的に人材を募集しています

アイデミーでは積極的に人材を採用しています!DX/AI/ESGなどのテーマに特化し、「先端技術を経済実装する。」をミッションとして活動する東大発のスタートアップです。アイデミーはデジタル推進変革パートナーとして、デジタル人材育成を通じた組織の土台づくり、システム・ソフトウェアの内製化支援を行っています。

2020年1月に8.3億円の資金調達を行い、ダイキン工業さん、古河電工さん、KDDIさん、テクノプロさん、といった日本を代表する企業さんと資本業務提携をしながら、社会変革に挑戦しています。全職種で積極採用中です!以下の採用情報の「私たちは仲間を探しています」もしくは「Wantedly」からぜひお声がけください!

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