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ひとつの曲の誕生は、微粒子の青春が終わっていくことに他ならない。三宅唱『THE COCKPIT』
『THE COCKPIT』は想像していた映画とはかなり違っていて
なんとも普遍的な「青春映画」で、その潔さに胸打たれた。
青春とはものすごく小さなものだということが、大上段に構えることなく、
かといってしみったれた手つきとも無縁のままで、言ってみれば、
彫刻刀を用いずに、あえて大屶で、木彫りの熊を彫っているような、
「でも、やるんだよ」的精神で、静かに疾走しながら伝えられていく。
ひとつの曲の誕生は、微粒子の「青春」が終わっていくことに他ならない。
そして、わたしたちは、置き去られた微粒子の集積を、とりあえず
「季節」と呼んでいるのだということに気づかされる。
(2015年11月17日執筆)