結晶、グルーヴ、ビーム、夕焼け、そして堂本剛。
人気漫画の実写化はかつてもいまも日本映画の定番メニューだが、配役発表の時点で、ここまで原作ファンの熱い支持を得た作品も近年なかったのではないか。小栗旬、菅田将暉、橋本環奈、柳楽優弥、岡田将生……以下、略。完コピが正義ではないし、漫画世界への追従が映画のあるべき姿ではないと個人的には考える。だが、なぜ、漫画のキャラクターを生身の俳優が演じるのか? そもそもの命題に向き合うとき、そこにはある種の潔さが必要とされるとは思う。その点、本作は、原作に媚びるのではなく、楽しみながらリスペクトすることがまず出来ている。
そうしたこととはほぼ無関係に、ラスボス、高杉晋助を演じる堂本剛の、あらゆる馴れ合いをきっぱり拒んだオーラに射抜かれた。ある意味、漫画からも、映画からも、距離を置き、きっちりキッパリ、純粋な存在感でそこに立っている結晶のようなキャラクター造形に驚かされる。主人公、坂田銀時との決戦前の、ダウナーかつセクシャルな啖呵には音楽のようなグルーヴがあり、マジでヤバい。右目だけの視線ビームも、ダークでスリリングで、心底ドキドキする。悪役はただ強いだけではダメである。堂本剛の、まるで夕焼けのような艶やかさは、全世界に発信したい魅惑があり、それだけでも一見の価値がある。
2017.11.16