いつか見た風景 100
「束の間の幸福論」
私は深夜の冷蔵庫の統治者である。深夜のリビング帝国の王位もまだ失ってはいない。帝国は無意識の回廊を通じて隣国のベッドルーム共和国へと繋がっている。かつてそこには愛しき妻がいて「いい加減もう寝なさいよ」と私を心の平安へと導いた。今そこは宇宙の神秘へと繋がる魂の発射基地になっている。そうだ忘れてはなるまい。日に幾度も祈りを捧げるトイレット礼拝堂の事を。私自身と私が生息するこの星の全ての生き物たちの平和と安全を、私はいつも魂を絞り出すように願っているのだから