家族に伝える経済シリーズ(52):バブルが残した傷跡 ー 不良債権と銀行倒産
借金で土地を買った人たち
さて、もっと悲惨な状況について話そうか。それは、土地を買うときに使ったお金が 借金 だった場合や。
実は、バブルの時代にはこういう例が山ほどあったんや。
そもそも世の中に「お金が有り余っている人」なんてそうそうおらん。だから、値上がりする土地を手に入れるために、借金をして買う――そんな人が多かったんやね。
ところが、土地が売れなくなった時に残るのは、買った時の額よりも はるかに価値が下がった土地 と、返せない借金 や。
そして、借金を返せないから――結果として、闇に堕ちてしまう人がたくさん出たんや。
これがバブルが弾けた時に起きた現実やった。
銀行が直面した「不良債権」
じゃあ、お金を貸していたのは誰やろう?
多くの場合は 銀行 や。もちろん、銀行以外の金融機関――消費者金融(サラ金)や街金、さらには闇金なんかもあったけれど、大半は銀行が融資していた。
実は、サラ金や街金のバックにも銀行が関わっていたことが多いんや。
銀行は通常、 担保 を取ってお金を貸す。土地の売買やったら、その土地自体が担保になるのが普通や。
ところが、その担保――つまり土地の価値が暴落して 二束三文 になってしまったら、銀行も困るわけや。
こういう、回収の見込みがなくなったお金を 不良債権 と呼ぶ。
「債権」というのは「お金を返してもらう権利」のことやけど、返済が見込めないから「不良」というわけやね。
銀行の倒産という大事件
不良債権が積み重なっていくと、銀行は利息どころか元金すら回収できなくなる。
その結果、 倒産 する銀行も出てきたんや。
それまで、日本では「銀行が倒産する」なんてことは考えられなかった。だからこそ、当時の混乱は本当に大変なものやったんや。
これが、バブル景気の顛末や。