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#6 誰にどこまで話す?(秘密とプライバシーのお話)

あなたは、提供精子で子どもを授かったこと、親戚や友人にどこまで伝えていますか?

「周囲への告知」 これは子どもへの告知とは全く別の問題です。子どもへの告知をしっかり進める一方で周りへの告知をどうするかという問題がでてきますが、「子どもへの告知」と「周囲への告知」はしっかり切り離して考えていくのが良いと思います。

時々、親戚や仲のよい友人に秘密にしていると嘘をついているようで辛い…とご相談に来る方がいらっしゃいますが、そんなことはまったくありません。

例えば、あなたのお給料や貯蓄、健康診断の結果を仲がよいから、と言ってすべて赤裸々に友人に話しますか?これは秘密ではなく、自分や家族のプライバシーですよね? 

隠しているわけではなく、人に話す必要のないことです。

これと同じで、提供精子で子どもを授かったことは大切な家族のプライバシーなので、誰にどこまで伝えるかは、家族それぞれ自由で良いと思います。

幼稚園や保育園、小学校の先生にも伝えておいた方が安心と思うなら伝えればいいし、困った事がおこった時に伝えればいいと思うなら事前に伝える必要性もありません。ただ、『#5 子どもが他人に話してしまったら』でも書いたように、子どもが先生や友人に話してしまった時には堂々と説明できる準備はしておきましょう。

一方で最近は、子どもに告知をするという方が増えたと同時に「提供精子で子どもを授かることは別に悪いことじゃないんだからオープンにすればいいじゃん!」 「隠す必要ないでしょ!」という親も増えています。これはこれで家族の考えなのでいいのかもしれません。

でも、親が提供精子で生まれたことをオープンにすることで子どものプライバシーが侵される可能性はないでしょうか? 「提供精子で生まれた(授かった)」ということは、親はもちろん、子どものプライバシーでもあります。

子どもが大きくなった時、子ども自身が大切だと思う相手に自分の知らないうちに自分の出自について伝わっていたらどんな風に感じるでしょうか?

子どもがまだ小さい時に親の判断で提供精子の事をオープンにしようと思った時には、少しだけ立ち止まって子どもが将来大きくなった時のことを想像してみてください。

もしかして、将来子どもが自分の口から伝えたいと思う相手かもしれないと思ったら、子どもが成長するまでオープンにするのは待ってあげても良いと思います。

子どもと一緒に誰にどう伝えるかを家族で話し合うことも大切な家族の時間になると思います。 
わたしは近い将来に子どもから「〇〇ちゃんに私が提供精子で生まれたってことを伝えておきたいんだけど、どうやって言えばいいかな?」と相談される日がくるのを楽しみしています。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
読者のみなさんが、世界で一番幸せになる事を、こころよりお祈りいたします。
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「こころでつながる 家族をつなげる」
一般社団法人 AID当事者支援会
寺山 竜生(てらやま りゅうせい)
Web: https://aid-toujisha.com/ 
Twitter: https://twitter.com/aid_toujisha

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