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社会人学生がレポートしてみた!はじめてのシーグラフ! #SIGGRAPHAsia2024
2024年12月3~6日に東京国際フォーラムで開催されたSIGGRAPH Asia 2024。生成AIやグラフィックに関わるあらゆる最新の研究発表や制作事例など盛りだくさんな内容でした。今回は専門家視点ではなく、初参加だった社会人学生さんの「シーグラフ初心者がみた国際会議」レポートをお届けします。「つくる人をつくる」という視点でお楽しみください!
自己紹介と会場の雰囲気
自分は、普段は大学院で生成AIの研究と発信をしているシーグラフ初参戦の社会人学生です。
大学は理工学系出身なのでデバイスや信号処理には興味と若干の知識がありますが、国際学会ははじめてです。
ボランティアがいっぱい!みんな楽しそう!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000133647.html
世界各国からの参加者、ボランティア学生スタッフさんなど、あらゆる言語が飛び交っていてグローバル。みんな楽しそうに誇らしそうに話していたのが良かった…過去作の振り返りや解説の際、聴衆がフゥー!と乗っかる雰囲気が楽しくて良かった!ユーザー巻き込んでクオリティや体験が上がっていくエンタメコンテンツならではの空気ですね。
そして会場には翻訳機があり、英語がわからない方、逆に日本語のパートがわからない方にとっても安心して参加できる体制でした。
ホールE – 貿易展示・体験ゾーン!
いちばん安価なクラスで参加できる体験ゾーン。展示会では、参加者は、実験的なソリューションから没入型およびウェアラブル テクノロジー、ライブ デモンストレーション、ワークショップなどまで、コンピューター グラフィックスとインタラクティブ テクニックの最新テクノロジーを探りました。学生、教育者、CG 制作会社、アニメーション スタジオ、ゲーム開発者が集まり、潜在的な採用のために交流した制作ミートアップは、非常に好評でした。アートギャラリー、エマージングテクノロジー(E-Tech)、XR を特集したエクスペリエンス ホールは、アート作品を体験したり、まだ開発段階の没入型テクノロジーを試したりする訪問者で賑わっていました。
その中で目立っていたのは「デジハリ」!
いちばん面積が大きかったデジタルハリウッドのブース(というかゾーン)はミニシアターがあり、短編ムービー上映とピッチセッションがありました。
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アニメーション関連でアカデミー賞 学生部門銀賞をはじめ、世界中のいくつもの賞を受賞された金森彗さん (@kei_kanamori)の作品「折紙」は特にピックアップされておりました。
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上映以外にもピッチコーナーがあり、
AICU編集長しらいはかせも登壇。詳細はぜひ動画をご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=uof-4urxgBU
社会人大学院生の イチハラさんは、ラボで開発したリアル宝探しゲームに関するピッチを行っていました。
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モーションキャプチャシステム関連の展示は、スーツを着た実演者が常に動いており、見応えがありました。
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Live2D
動画配信やアニメーション制作、ゲーム制作に活用事例のある技術。パンフレットの事例には、わたしも知っているタイトルが並んでいます。
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ちょっと質問してみました。
『アニメもゲームも配信者の動画を見るのも大好きですが、制作には全く知見がないのですが、どのようにはじめたら良いでしょうか?』
Live2Dさん「まずは1ヶ月トライしてみると良いでしょう。学生なら、ディスカウントもあります!」
『なるほど。本当に初挑戦になりますが、最初の作品(最初のプロジェクト)としておすすめのテーマはありますか?』
Live2Dさん「チュートリアルがありますので、そちらをやりながらアイデアを模索するのをおすすめします。アニメ、ゲーム、配信と幅広く興味をお持ちなので、触りながらやりたいことを見つけると良いと思いますよ!」
目的をいきなり定めようとしていたので、まずは楽しめばいい!というメッセージをいただきました!こういうのも展示会ならではですね~!
Pixel Light Effects
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公式写真より https://pixellighteffects.com/
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海外からの出展社だった「Pixel Light Effects」社にも質問してみました。
顔だけのキャプチャ、何に使うんだろう?つまり、ボディスキャンもないと使い道だいぶ狭そうじゃない?と感じていたので質問したら、
『顔を差し替えたい時に使うんだ、例えばスタントマンとの顔を演者と差し替えたり、あるいはアレルギーの影響で顔が以前の撮影時と違う部分があったりした時に差し替えたりとかね』と解説していただけました!
ちょっと見てみるかい?と、実際のフェイススキャン〜差し替え前の動画〜差し替え後の動画と一連の流れを見せていただきました。
解像度の高い映像で、差し替えが全く分かりませんでした。
顔だけのスキャンのために、こんなにカメラやセンサーを使うのか…!というのが衝撃でした。全体で2メートルほどの大きさだそうです。だからこそ解像度が高くて自然なキャプチャが可能なんですね。すごい!
あとでサイトを調べてみたら、ほとんどプロ向けの情報で、直接話をする機会はめったにない会社だったことがわかりました。
映画用のプロダクション撮影機材以外は、デジタルIDとしての活用でウェイトリストがありました。生成AIなどでも使われる時代がすぐ来そうですね。
https://corbel3d.com/
z-emotion
衣装のシミュレーションツール https://z-emotion.com/
Mayaへのプラグインも用意があり、汎用的な活用が強みだそうです。
UIはCADに似た感じで、工学系出身の私には馴染み深い操作……「まさにそう!CADに近い操作だよ!」と話が弾みました。
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出来上がるモデルは動画で動かしても非常に自然で、生地の質感が細かく伝わってくるだけでなく、揺れたり風になびく感じまで違和感がありません。薄くて軽やかな生地の表現が素晴らしかったです。工業製品としての衣装の分野は生成AIの進歩や発展も急速に拡がって行きそうそうだなと体感しました。
写真紹介
往年のゲーム開発蔵出し資料!
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nVIDIA!
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学生あつまれ!プロダクションミートアップ
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きらめきディスプレイ
立体ディスプレイのその先を行く技術、キラキラ光る物体を表現できるディスプレイです。 https://www.ntt-at.co.jp/product/kirameki-display/
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講演「EchoVision: Experiencing Bat Echolocation via Mixed Reality」
コウモリのエコロケーション(超音波による探査)を体験する複合現実ディスプレイ https://reality.design/project/echovision
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アートギャラリー
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sake party
河口洋一郎先生による「伝説の酒パーティ」とは…!?
https://www.instagram.com/yoichirokawaguchi/
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SIGGRAPHで毎年続く恒例行事だそうです。日本のCG研究のパイオニア、東京大学院情報学環・学際情報学府 名誉教授、コンピュータグラフィックと高精細映像の表現技術における多大な功績により、2023年度の文化功労者に選ばれた河口洋一郎先生が、SIGGRAPHのキーパーソンをお招きして、日本酒を振る舞う「鏡割り」を行います。
その sake partyは、なんと37回目、シーグラフ50周年を祝います!
元画像は20年前、AIと作った初めての画像を紹介。
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「このカニ、歩けると思わないでしょ?でも歩けるし踊れるんです!すごいよね!でも元画像はただのカニなんです!おもしろいよね」
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「つまり、特に今年はAIはとても良いアシスタントでした」
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リチャードチャンさん Richard Chuangの紹介がありました。
founder of PDI、つまり映画「シュレック」などを作ったPDI/ドリームワークス(Dreamworks)社の創設者さんです。
河口洋一郎先生「スカルプチャーがこんなにすごくスムーズに動くし、ビーチの上でも違和感なく歩く!元画像は1980年代、それが、こんなに美しく。色も自在に変えられる。東大を卒業、東京にいた時はアシスタントをしていて、すごくインスピレーションを受けた」
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色々教え子や友人をステージに上げて、繋がりをみんなで祝福する?感じでした。「繋がりを生むお酒の場」という感じ。プレゼントを用意して渡していたり、協賛の方々に感謝を伝えみんなで拍手したり、お世話になった方々にコメントもらって写真撮ったり。こういう交流、コロナ禍ではすっかり忘れていた風景なのかもしれません。
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映像に注目して見る人、テーブルを囲んで交流を楽しむ人、学会での交流を楽しむ人、お酒を楽しむ人、色々いて、最初から最後まで賑わっていた……そんな場を作り出す、河口洋一郎先生のアートと人のつながりを味わい深く共有させていただきました。
「未来のタコ」
河口洋一郎先生がよく描くモチーフだそうです。
「これがスムーズに動いてるの面白いよねぇ」
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20数年前の作品と、最新の技術を掛け合わせた作品を実際に目の前にしながら、先生のこれまでを支えたご友人、教え子との繋がりを讃えあう、暖かな輪を感じる空間でした。
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初シーグラフの感想
まず第一に…「英語話せて良かった…聞きたいこと直接聞けて楽しい!」
ボランティアの方も、参加者も出展者も、みんな展示と会話を楽しみながら空間を共有しているところが、参加していて一番楽しい瞬間でした。
会場は広く、移動はなかなか大変な部分もありますが、ボランティアの方に適切な移動方法を案内いただいたりしながら、最後まで楽しむことができました。
基調講演を行ったSONYの北野宏明さんなど、普段なかなか生でお話を伺えない方々のプレゼンを間近で拝聴できるもの、さすが国際学会といったところ!せっかくなので、前から5列目くらいで見ました。
論文掲示、体験型展示、ピッチ、デバイス展示、映像展示など、本当に様々な技術と展示形態が楽しめるシーグラフ。
アイデアや疑問があれば、その場でディスカッションできるリアル感がたまりませんでした!
自分の専門外の領域の展示についても、実際に質問している方の会話を聞いたり、出展者に話を聞くことで、カジュアルに触れていくことができるのも大きな魅力です。
改めて、参加できて大変光栄でした!
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