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美術館さんぽ② ~静嘉堂文庫美術館~

こんにちは、aicafeです。
40代、人生時計で14:00頃に差し掛かったところです。
これからの人生の午後の時間の過ごし方を模索中です。


2024年・美術館初めは、静嘉堂文庫から

1月初めのことですが、2024年の美術館初めは、東京丸の内・静嘉堂文庫からスタートしました。
シンガポールでボランティアガイドをしていた仲間のうち日本に帰国している組で新年ランチ会を兼ねて行ってきました。

この仲間たちは歴史・文化・アート大好きオタク達!
年末にも東洋文庫ミュージアムの企画展「東南アジア~交易と交流の海~」に行ったったばかりです。

東洋文庫も静嘉堂文庫も、三菱財閥・岩﨑家ゆかりの美術館です。

静嘉堂は、岩﨑彌之助(1851~1908 彌太郎の弟、三菱第二代社長)と岩﨑小彌太(1879~1945 三菱第四代社長)の父子二代によって創設・拡充され、現在、国宝7件、重要文化財84件を含む、およそ20万冊の古典籍(漢籍12万冊・和書8万冊)と6,500件の東洋古美術品を収蔵しています。

「静嘉堂」の名称は中国の古典『詩経』の大雅、既酔編の「籩豆静嘉へんとうせいか」の句から採った彌之助の堂号で、祖先の霊前への供物が美しく整うという意味です。

静嘉堂文庫ミュージアム ウェブサイトより

東洋文庫は三菱第三代当主・岩﨑久彌氏が1924年に設立、静嘉堂文庫は第二代当主・岩﨑彌之助氏と第四代当主・岩﨑小彌太氏が創設・拡充とのこと。
コレクションの煌びやかさとまばゆさは凄まじいものがあります。
前にしますと、日本の「財閥」の力というものに、なにやら圧倒される思いがいたします。

展覧会「ハッピー龍リュウイヤー! 〜絵画・工芸の龍を楽しむ〜」

その静嘉堂文庫で年始から始まっているのが、「ハッピー龍リュウイヤー!」という洒落の効いた展覧会。

龍は、想像上の神獣・霊獣。
雷や竜巻を呼び天に飛翔する様から、中華圏・東アジア一帯では古くから成功や発展の象徴として扱われてきました。
中国では皇帝のシンボルでもあります。(ちなみに皇后は鳳凰)
皇帝の身に着ける龍は9匹、爪は5本ですが、身分の低い人は9匹目の龍をつけることができず、龍の爪も4本だったとのこと。
また、中国で描かれる龍の爪は5本ですが、華夷秩序のもと周辺属国だった朝鮮やベトナムは4本、日本は爪3本でしか描くことが許されなかったと言われています。

こちらの展覧会では、その龍をふんだんに扱った作品が展示されていました。
景徳鎮の陶磁器堆朱の盒、絢爛豪華な刺繡帳重要文化財の龍虎図屏風などなど…。
これが全て岩﨑家に代々伝えられてきたものなのかと思いますと、
目もくらみ、立ちくらみ…とんでもないことです。

極めつけの国宝・曜変天目

静嘉堂文庫の目玉といえば 曜変天目(稲葉天目)
黒釉茶碗の斑紋の周りに青い光彩が表れているもので、
まるで宇宙のようにも見えるお椀です。
徳川家光から春日局に下賜されたといわれ、後に淀藩主稲葉家に伝わり、1934年に岩﨑小彌太のもとに渡ったとのこと。

このお椀で一服したのかしら…なんて無粋な想像をしましたが、
そんなことはないそうです。
小彌太氏は、これほどの名器を自分如きが使ってはいけないと、
生涯一度も使わなかったそうです。
たった一度使用されたのは、小彌太氏の没後三回忌の際に、
孝子夫人が稲葉天目で献茶された時だとのことです。
このエピソードはぐっときますね。
名器は、その価値を知る家にたどり着いたのですね。

もう年始モードはお仕舞で、
龍というよりは節分の鬼モードの世の中ではありますが、
一見の価値ありの豪華な展覧会です。
年始から干支の龍モチーフの絵画・工芸をたくさん鑑賞でき、
大変縁起のよい美術館初めとなったのでした。

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