『DOGMAN』 第9話 SDGs
暑いなぁ。
今日は暑い。
人間界は我々オオカミ一族が住む山よりも、暑い。
まぁちゃんが来た。
「リャン、お風呂はいるよ。」
風呂か。この暑い中で汗をかいた鼻をさっぱりさせるためにも、いいかもな。
まぁちゃんに連れられて、家に入った。
涼しい。なんだここは。犬小屋と全く快適指数が違う。
「お風呂はいるよー。ここがお風呂よ。」
シャワーを体に当てられた。
ぬるいな。これはぬるい。でもこの暑さからすると適温だな。
泡立ってきた。石鹸を使ってるな。
うわっ!目に染みる!
早いとこ洗い流してくれ!
「さ!終わりよー。」
えぇ?!石鹸が目に入ったままだ。痛い。
リャンは着衣場でブルブルッと体を思い切り振り、体の毛に染み込んだ水分という水分をあたりに撒き散らした。
「きゃー!ママー!」
まぁちゃんは、ママに救援援助を求めた。
「うわっ!水浸し!リャン〜、やったな。」
まぁちゃんママに体を拭いてもらったあと、クーラーの効いたリビングでミルクを飲みながらテレビを見ていると、何やら地球環境についてのニュースが報道されていた。
えすでぃー、なんたら、と言っているが、なんのことやらよくわからない。
しかし、人間界のこのクソ暑さに、何か関連している、ということはわかった。
「ゆうく〜ん、リャンよ。かわいいでしょ?」
まぁちゃんが男の子を連れてきた。
ん?この子はプラネタリウムで抱きついてきた男の子じゃないか。
まぁちゃんの兄妹だったのか。
「リャン。どっかでみたような・・・。」
気のせいだ、ゆうくん。気のせいということにしておいてくれ。
人間は困るだろうなぁ。こんな暑さの中で生きるのは。
森の中は涼しいから、人間の街を森のようにすればいいのに。
いやいや、まずは自分のことからだ。
我が犬小屋の中をいかにして暑さからしのぐか。
ある程度土を掘ると冷たい土が出てくるんじゃないか?
リャンは、犬小屋の裏で穴を掘り出した。
「ここ掘れワンワン!リャン、宝探しぃ〜?」
まぁちゃん、今は宝よりも暑さをしのぎたい。
かなり掘ったぞ。そろそろいいかな?
中に入ってみた。
うん。なるほど。これはなかなか快適。
居心地がいいので。リャンは中で寝てしまった。
「リャン、どこまで掘るつもりだろ。地球の裏側から出てきたりして。」
まぁちゃんは、想像力豊かだ。