星の王子さま 20章
「ぼくは花をただ一つだと思い込んでいた。なのに、普通のバラだなんて。」
王子の星に咲いたバラは本当に普通のバラだったのでしょうか。
バラの外側と内側を見付ける旅の意味に近づいて行きます。
★ ★ ★
でも、いくつもの砂漠や岩、それに雪を越えてとうとう、王子は道を見つけました。そして、道は人間につながっているのだ。
-こんにちは、王子は言いました。そこは、バラの花が咲いている庭でした。
-こんにちは、バラの花達が言いました。王子は花達をじっと見つめました。この花達は王子の花とそっくりでした。
-あなた方はだれですか?王子は呆然として花達に聞きました。
-わたしらはバラよ。バラ達が言った。
-ああ!王子が言った。王子はとても気まずかった。ぼくの花は、世界で一本だけだって言っていた。なのに、ここにはよく似た5千もの花が、一つの庭に咲いているなんて!
「ぼくのバラが、とても気を悪くするだろうな。もしも、これを見たら... 」と王子が言いました…
「いっぱい咳をして、笑い物にならないように、死んだふりをするでしょう。世話をするふりをして忘れているようにします。でないと、ぼくも恥ずかしいし、ぼくのバラはほんとに死んでしまうかもしれない。」
そして王子はこうも言った。「ぼくは花をただひとつだけと思いこんでいた。なのに、普通のバラだなんて。こんなことと3つの膝までの高さの火山、そのひとつは、たぶん今も死火山。それだけじゃ、ぼくはいい王子にはなれない...」 そう言って、王子は草むらに横たわって泣いた。