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星の王子さま 24章

 不時着から8日目、水の最後の日
「家や、星や、砂漠を美しくしているものは目には見えないね!」
眠ってしまった王子も、大切なものを内側に持っている。
            ★ ★ ★
 わたしたちは飛行機が壊れ、砂漠の中で8日目を迎えた。わたしは水の蓄えの最後の一滴を飲み干す事になっていた。。
-あ!;王子に言った。彼らはきれいだ、あなたの思い出も、でも、まだ、わたしは飛行機の修理が終わっていない。わたしには飲み水はもうない。わたしも、もしその泉の方へゆっくりと歩いてゆけたら幸せになれるのに!
-ねぇ、キツネのことなんだけどね。そう王子は言いました。-ねえきみ、もうキツネのことを言っている段階じゃないんだよ!-どうして?-もうのどが渇いて死にそうなんだよ。王子様はわたしの言ったわけが分からないのか、こう言いました。
-もしも、死ぬのだったら友達がいるって良いことだよね。ぼくは、キツネが友達になったのでとても満足しているよ。王子は危険など予測しなかった、そしてわたしにおなかが減ったとものどが渇いたとも、決して言わなかった。お日様が少しあればいいのでしょう... でも、王子はわたしを見つめ、わたしの思いに答えたのでした。

-ぼくものどが渇いているよ... 井戸を探そうよ... 
わたしは疲れた仕草をしていた。広大な砂漠の中を、当てもなく井戸を探すなんてばかげたことですが、それでも、2人で歩きました。何時間も黙って歩いたら、夜になり、沢山の星が輝き始めました。わたしは渇いて熱っぽかったので、その風景を夢のように眺めていました。王子の言葉が自分の中で跳ね回っていました。
-君もそれじゃあ喉が渇いているの?わたしは王子に尋ねました。でも、王子はわたしが聞いても答えませんでした。こんな風に言っただけでした。
-水は心にも良いんだろうね。わたしは王子の答えが理解できませんでしたけれど、黙っていました... 王子に質問をしてはいけないと言うことは、分かっていたのでした。

 王子は疲れて、座りました。わたしも王子のそばに座りました。そしてしばらく静かにしていたけれど、やがて、王子が話し始めたのでした。
-星たちはきれいですね。それは、見えないけれども花のおかげだね... 
「もちろんそうだね。」と、わたしは答えました。 そして、月下の砂の風紋を眺めていました。
 -砂漠ってきれいですね。そう王子が言いました。
それは、本当なのです。わたしは、今までづっと砂漠が好きでした。だれも見たことがない。だれも聞いたことがない。静けさの中には、何かが光り輝いていました。
-砂漠を美しくしているもの、それはどこかに、井戸が隠れているからだね。そう、王子は言いました。
 わたしは不意に、砂漠の神秘的な輝きを理解できて、驚いた。自分が子どもの時に古い時代の家に住んでいた、そして、財宝がそこに埋められているとの伝説が伝えられていた。もちろん、だれもそれを見つけなかったし、それを見つけようともしませんでした。でも、その家の全てが魔法に掛けられていました。わたしの家はその心の奥深くに秘密を隠していたのでした。
-そうだね。わたしの家を動かしているもの、星や砂漠を動かしているものたちを美しく輝かせているものは、目には見えないのだね。とわたしは王子に言いました。-すごくうれしいよ。あなたがぼくのキツネと同じだって事が。そう、王子は言いました。
 それから、王子は眠ってしまいました。わたしは王子を腕に抱えて、また道に戻りました。わたしは感動していました。か弱い宝物を運んでいるかのようでした。この地上でこれ以上か弱いものはないと思いました。月の光に照らされて額は青ざめ、目は閉ざされ、ほつれ毛が風になびき、わたしはつぶやいていました。わたしが見ているものは外見でしかないのだ。一番大事なものは見えてないのだ...

 王子の半開きの唇は笑っているみたいな様子で、わたしは、こうもまた独り言を言ったのでした。「眠っている王子を見てて強くわたしを突き動かすものは、王子の中にある花に対しての忠誠心なのだ。それは、王子の中で、ランプの炎のように光っている一輪のバラのイメージなのです。」すると、またしてもホントに壊れやすいものに感じました。このランプをよく守らなくては。風が吹いて消えてしまわないように... それからまた、歩き夜明けごろには、井戸を見つけたのでした。

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