ロシア料理レストラン「ロゴスキー」を訪ねて(2)~ロゴスキーとロシア
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「ロシア」特集、今回は、銀座のロシア料理レストラン「ロゴスキー」探訪記第二弾になります。
「現在のロシアになる前にソ連という時代が長くあった」
ロシア料理レストラン「ロゴスキー」。店内は欧米諸国とはまた一味ちがう、民族的な雰囲気がありながらもクラシカルな雰囲気に包まれています。
「ロゴスキー」副社長の横地美香さんにお話を伺ったところ、飾っているのは、ロシアのものだけでなく、ウズベキスタンなど、かつてソビエト連邦を形成していた近隣諸国のものも多いとか。
「今のロシアになる前に、ソ連という時代が長くあった。そのときに人と文化と料理がすごくシャッフルしたんです。そして、今まで特定の地域でだけ食べられていたものがロシア全土に回ったりその逆もあったりして、いろいろな技術や文化が拡販されました」(横地さん)
さまざまな国の文化が入り交じったソビエト連邦を経て現在のロシアになったその名残が、「ロゴスキー」を彩る装飾品にも残っているのです。
寒いロシアに欠かせないのは、スープと保存食
「ロゴスキー」の料理のベースになっている本国ロシアの料理とはいったいどういうものなのか、横地さんにお話をお聞きしました。
寒い地域であるロシアは、大型の家畜が育たず、食用家畜として主なのは鶏肉。また、海も少ないので、海の魚よりも川の魚を食べることが多いとか。ソ連時代に、コーカサス、中央アジアの文化が入り、羊の肉の料理や肉を串刺しにした料理などを食べるようになったといいます。
そして、ソ連以前のロシアは、貴族と農民だけでいわゆる平民が存在しなかった時代。農民たちが食べていたのは、黒パン。スープ、お粥のみ。一方貴族たちは豪華絢爛の料理を食べていたそうです。その当時から農民たちが食べていた名残で、今でもボルシチに代表されるように「スープがすごく好き」(横地さん)だといいます。
また、冬が長いロシアでは、保存食を作って一年中それを食べるという文化が続いています。横地さんいわく「ロシア人からすると、日本には冬がない。花が咲いている季節を冬とは言わない。日本の冬は秋」というほどに、日本などと比べると遥かに厳しい冬を越さなくてはならないロシアでは、夏の間にとれた野菜を酢漬けにして生野菜のようにサラダにしたり、ボルシチに入れるなど、保存食を取り入れた食文化が長く続いています。
さらに、ロシア料理の特徴の一つに、スパイスをあまり多用しないことがあるのだそう。インドのカレーに代表されるように、スパイスというのは、南のものであり、それだけに北のロシアでは、入手することがそもそも難しく、あまり料理に使うことができませんでした。ただ、それだけに、ロシア料理は塩と胡椒などだけで味をつけた奇をてらわないものが多く「優しい味わいで食べやすい」(横地さん)のだそうです。
国内初のロシア料理のお店として創業し、60年以上もロシア料理を作り続けている「ロゴスキー」。日本人に食べてもらうことを大切にして、前の記事で紹介したとおり、本場の料理とはまた少し違う独自の料理レシピを作り上げていきました。お店が心がけてきたのは、おいしいと感じるものを作り、かつロシア料理から離れないこと。
「本場のロシア料理をそのままやるというのは、本格的ではあるけれど、普段、気候や食べているものが違う、お米やお刺身、お醤油味を食べている人たちが食べておいしく、なおかつそれがロシア料理であるというところをすりあわせて作るのが大切だと思っています」(横地さん)
今回、「MIZUTAMA」編集部でもお店を訪れて、実際に「ロゴスキー」のお料理をいただきましたが、どっしりとして温かみがあり、なおかつきめ細かく作り込んだ料理の数々には、ヨーロッパ諸国の料理やアジアの料理と違う素朴かつ繊細で品の良い味わいがあり、とても美味しくいただきました。
「地球上で大きな面積を占めていて、いろいろな国の歴史とも関係しているロシアの料理は、アジアとヨーロッパがミックスされたすごく魅力あるものなので、それが料理やお店の雰囲気で表現されたらいいと思っています」(横地さん)
オーナーの横地様をはじめ「ロゴスキー』の皆様。取材にご協力いただき、本当にありがとうございました!
ロゴスキー店内からのイメージ~(イラスト:海山かのん)
ロゴスキー店内からのイメージ~(イラスト:海山かのん)
「ロゴスキー」
アクセス:東京都中央区銀座5-7-10 EXITMELSA 7F(イグジットメルサ)
公式サイト:http://www.rogovski.co.jp/
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