age-appropriateな自分
このプログラムひとつの為だけにもNetflix契約する価値があると思ってる"Queer Eye"。待ちに待ったシーズン7の公開が発表されたのが少し前のこと。(言うまでもなく”箱推し”だけど、1番の推しはビューティ担当ジョナサン。もうね、もう、大好き。)
新シーズンに向けて気持ちを高めるべく、これまでのシーズン・エピソードを観返していたら、ファッション担当のタンがよく使うある単語が耳につくようになった。"age-appropriate"、日本語で言うところの”年相応”という言葉。
(ここでまた余談だけど、アメリカ英語でずっと英語教育を受けてきた身にとって、イギリス英語は正直言って聞き取りづらくて苦手意識があった。でもタンの話す英語を聞いて、響きが上品でいいな、と思うように。特にごりごりのアメリカ英語を話す他の4人の間だと(アントニに関してはポーリッシュカナディアン→ニューヨーカーだけどまあそれはそれとして。))
先月私は30歳になりました。子どもの頃30歳って言ったらそれはもう大人だったけど、実際になってみた身としてはその頃描いていた30歳、大人像とはだいぶ乖離がある。まあ、それもそれとして一旦置いておくとして。
ふと最近気づいたことだけど、私は近頃実年齢より下に見られることが増えました。もしかしたら周囲が単に気を遣ってくれているだけかもしれないけど笑、それにしてもな頻度で実年齢を言ったら驚かれることが増えてきた。
思い返してみると、30年の人生のある時点まではむしろ、私は実年齢より上に見られることが圧倒的に多かった。「落ち着いてるね」「大人びてるね」、こういった類の言葉を何度聞いたかわからない。
それなのに気づいたら、どこで分水嶺を越えたのか見当もつかないけれど、なぜか”若く”見られることが増えた。
だらだら書いてきたけどここで私が言いたいのは、「実年齢より若く見られることを居心地悪く感じている自分がいる」ということ。
それは例えば高校生の時に中学生に、大学生の時に高校生に間違われる時のような、「幼く見られた(もっと言えばガキ扱いされた)」「軽んじられた」みたいな羞恥混じりの怒りの感情じゃなくて、この居心地の悪い感覚はきっと、世間が考える(あるいは子どもの頃の自分自身が描いていた)”30歳像”に自分が辿り着いていないような気がしているからで。
でも実際に自分が30代に突入して思うことだけど、30歳ってなんとなく微妙な年齢だ。諸手を挙げて若さを誇れるほど若くもないし(だって雨の日とか腰が痛むし)、かといって残りの人生を憂うほど老いてもいないし(人生の先輩方に多分鼻で笑われる)、なんとなくどっちつかずな微妙な場所でうろうろしているような気がしてしまう。
私は、少なくとも今の30歳の私は、実年齢より下にも、上にも見られたくないなと思う。いつかは”若く”見られることを心底嬉しく思う日も来るんだろうけど、できることならそんな日も、力の及ぶ限り未来の遠い場所に押し留めておけられたらいいなと思う。
"age-appropriate"の話に戻ると、タンがこの単語を使うのは、クライアントが実年齢より若い服装をしてる時に限られてるような気がする。
つまりは例えば18歳の男の子が40歳のお父さんみたいな格好をしているのに対しては「age-appropriateな服装にしなきゃ」とは言っていなくて(多分)。
考えてみれば日本語の”年相応”だってそうで、例えば「年相応の振る舞いを」って言われたとしたら、それは「子どもじみた真似をするな」とほぼ同義のはずで。
言葉の意味が、というか世間一般で認知されているこの単語の意味がどうであれ、私は座標軸の上でゼロの場所に立ってマイナス(過去)の方だけを見てage-appropriateを考えるんじゃなく、マイナスの方もプラス(未来)の方もどちらも見渡した上でage-appropriateな自分を掴んでいきたいなと、最近そんなことをぼんやり考えてました。
いつか、自分の実年齢と社会が考える年齢像との間の乖離もなくなって、自分の歳がすとんと腑に落ちる日が来るんだろうか。
そういえば確か数年前、27か28の誕生日を迎えた時、おめでとうと言ってくださった職場の先輩に「もう20代も終盤ですよ、そろそろ誕生日が真剣に嬉しくない歳になってきましたよ」と苦笑したら、彼女が真顔で「いやいや、人生楽しいの30代からだから。楽しみにしときなね」と仰ったのが妙に胸に残っている。というかほぼ藁にもすがるような心持ちで、彼女の言葉が本当だったらいいな、と思っている。
それはそれとして(保留事項が多すぎるけど)、"Queer Eye"の新シーズンが本当に楽しみ。遠くない未来に楽しみが待ってるっていうのは、間違いなく小確幸だ。
追記
冷静に考えて近頃実年齢より下に見られることが増えたのは、単にだるだるのスウェットとか着てるからだよな、と自分に苦笑いするしかない。
タンに見られたら、あの上品なイギリス英語でどれだけ辛辣な言葉を投げられるだろうと、想像しただけで恐ろしい。笑
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