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反AI(※)が反ワクチンや反原発と違い対処が難しいのと、オタク内戦と暗い未来。

※私は、議論と選挙を通じての法改正を目指す正当な政治活動をする人と、SNSで暴言をはいて暴れまわっている人達とは明確に区別して、便宜上、後者のみを反AIと呼んでいます(最近は区別をつける必要があるのかどうかはかなり疑問ではあります)。

以降、この定義に沿った反AIのみを扱っていきます。

反AIは近年の反対活動の中でも特別厄介。

反AIの行き過ぎた一連のデマや流言、印象操作、憎悪扇動は、一時期の反ワクチン、反原発と並べても遜色ないどころか、悪質性においては一部では上回りつつあるように見えます。

ただ、それらと違って非常に厄介な点があり、対処が難しいところがあるとも考えています。

今のAI紛争の扱いと立ち位置。

非オタク~ウルトラライト層くらいにとって、今のAI紛争ってどの程度まで自分ごとだと思いますか?

例えば、

  • 宮崎駿はなんとかぎりぎり知っているけど、鬼滅の刃の作者の名前までは知らない。

  • 漫画は読むけど、スマホで読める縦読み漫画をスキマ時間で読む程度。

  • 二次元系は全部ひっくるめて「アニメ」。アニメと漫画とイラスト(1枚絵)、あるいはVtuberとかVOCALOIDとか違いがふわふわしている。

こう言う人達に、やれ「絵柄」だ「画風」だ「機械学習」だ「著作権」だ「30条の4」だと言った所で、どの程度通じると思いますか?

ほとんど通じないんじゃないでしょうか。

以降は、その前提で話を進めていきます。

人は興味がないことを調べたくないし、嫌なことは受け入れたくない。

私は、人間は、自分の興味がないものに対してコストかけてまで調べようとしない存在であると認識しています。

また、事実が自分の望む答えと違う場合、それを受け入れることは拒否することも平気でする存在だとも認識しています。

ここで言うコストとは、時間やお金は勿論、だるい、めんどくさいと言った心理的なものも含めます。

ましてや、それが不確定の事項や、低確率でもリスクが存在し、幅広い情報を積極的に取り込んで、自分なりに考えて、リスクを伴う判断を下す必要があるものに対して積極的に取り組む人間なんて、数%もいないと思っています。

事実が自分と望むものと異なる場合、受け入れを拒絶するのもどこにでも見られる行動です。

例えば反ワクは、ワクチンが一定の効果を発揮し感染爆発を防いだことや、感染時に重篤化を防ぐ効果があったこと等を認めません。

逆に自分達の都合の良い極端に少ない例外事例や、根拠のない一部の極論を事実にように扱い、反対意見は無知蒙昧と切り捨てます。

これは大体何でも、反◯◯は同じで、反戦なら中国やロシアの国家的野心や軍事力、反原発なら毎年のように報じられる電力需要逼迫のニュース等は決して認めないし、受け入れません。

それはもう、そんなものと割り切るしかないです。

陰謀論に完全に染まった人は助けるのは無理で、その周りにいるまだ助かる人を助け、今後、陰謀論に染まる人が出るのを防ぐのが精一杯と誰かが言ってましたが、その通りだと思います。

反AIが厄介な理由。

反AIは、反原発や反ワクチンと同じような、ありきたりな反対活動でしかないのですが、それらと違って厄介なのは、当事者以外にはあまりにも、全く、何一つ、興味がそそられない話題であることです。

原発なら電力逼迫のニュースや、電気代の大幅な値上げ等により、嫌でもその問題を突きつけられます。

ワクチンならもっと直接的に生死に関わりますし、一回でもひどいインフルエンザにかかったことがある人であれば、それよりもっと苦しいかもしれない言う想像もできるでしょう。

じゃあ生成AIは?

それがどのように自分の生活に影響するかはかなり分かりづらいです。

ちょい余談。

米中が生成AIを含む、AI技術を国防案件に位置づけてバチバチにやりあっている以上、日本だけが無関係でいられることはありえないのですが、具体的にどのような形でどれくらいの巻き込まれが発生するかを正確に予想できる人はいないと思います。

ただ、一つだけ予想の手助けとなるものがあるとすれば、画像がAI製かどうかを判別するWebサービスはAIで動いていると言う点でしょうか。

将来、世論工作や印象操作の為に「汚い」データで学習したAIを悪用する大規模な組織が現れたとして、それに対抗しうるのも恐らくAI、それもその悪用されようとするAIと同程度かそれ以上の「汚い」データで学習したAIである可能性が高いです。

そう言う意味で、許諾済みのデータのみを使用したクリーンなAI以外を認めないみたいな話はあまりに問題外ですね。

画像生成AI一つにしたって、「汚い」データによって作られる真偽の見分けがつかない刺激的で偏向的な画像が明確な悪意をもった外国によって人間では対処できない程、大量にばらまかれたと仮定します。

それが重要な選挙や政治判断を歪めかねないとなった時、クリーンなAIだけでは対抗しきれないでしょうし、日本の法律だけで対処できる話でもありません。

日本だけが「汚い」AIを規制した所で、攻撃者がそれを守ってくれるはずがないんですよ。

抵抗手段を放棄すれば攻撃されないとか、まるで、どこかの…あっ…。

余談終わり。

ちょっとだけでも興味を持って調べたところで、そこは「見解」、「可能性」、「倍がある」、「将来的に」、「個別判断」、「裁判による判断」、「前例がなく断定できないが恐らく~」みたいなあやふやな記述のオンパレード。

その中から、自分なりに考えて判断しようなんて考える人はぶっちゃけ、ただのもの好きか変態だけだと思います。

そんな七面倒なことをするより、「私達は生成AI利用者によって迫害され命の危機にさらされている」、「生成AIは違法な犯罪ツール」、「生成AIは児童ポルノの上に成り立っている」みたいな、善悪が分かりやすい話を展開ができる反AI側に迎合する方が楽だしお手軽です。

対して、AI推進派、あるいは法律に詳しい人が、法律に基づいてそれに対抗しようにも、法律に基づけば基づくほど、「場合がある」、「可能性がある」、「個別に判断される」みたいな歯切れの悪い話になります。

これはどうしようもないです。

反対活動をする側は物事に対して100%確実と強く断言できる。

それに対して、法や科学に則って反論する側はいつだって不利です。

数十万に1でも例外の実例がある、天文学的な確率でも悪条件が複数重なれば重大な損失や不利益が発生する、あるいは緊急的に行う措置であり未知のリスクを完全に否定しきれない。

法や科学の基づこうとすればする程、何事においても100%と断言できるものがなくなります。

どこの、何に対する反対活動であっても、この構図は不変で、生成AIも例外ではないと言うだけです。

ただ、反AIが他の反対活動と違うのは、大半の人にとっては判断が間違っていたところで、すぐに自分の財布からお金が出ていく訳でもなければ、死ぬ訳でもないと言う点です。

ものすごく「どうでもいい話」なんです。

尚の事、そこにコストを払おうって人はほとんどいないでしょう。

つまり、こと生成AIに関しては圧倒的に、反AIの言ったもんがちです。

ここまでのワンサイドゲームが成り立つ反対活動ってのはお目にかかったことがありません。

政府はやる気がない。

原発はどうにも煮えきらないですが、ワクチンについては、河野太郎氏を担当大臣に据えて、実質的にその政治家寿命を犠牲にして反ワクの意見の拡散や拡大に一定の歯止めをかけました。

結局、こう言う反対活動って最後は政治が乗り出して、政府公式見解として法や科学を蔑ろにする発言を正していかないと収まらないと思います。

特にここまで感情的にこじれにこじれた状態では、法人、個人が明らかに誤った発言だけでも正そうとしたり、中立的な態度を示すだけでもネットリンチにあいます。

本来は政治が前面に立たないといけないんですよ。

民間に丸投げするな。

ただ、特にイラスト系へのAI利用の是非なんて、政治家にとってもまさに「どうでもいい」些末な問題と言うのも分かります。

ましてや石破茂首相は表現規制寄りの立場と言う指摘もありますし、生成AIを口実に、そのあたりに首突っ込んでくるかも知れません。


オタク内戦勃発

マンガ図書館Zの件をきっかけに、反AIはAIによる実写系の画像と、ついでに赤松議員も燃やし始めました。

それに対して表現の自由戦士が迎え撃つ姿勢。

一連のごたごたをきっかけに、手法や内容を問わず、二次創作そのものを激しく嫌悪し、憎悪する層の不満も表面化。

もうグチャグチャです。

反AIは、AI利用者に対しては全面無条件降伏か自主的な絶滅以外の選択肢を与えない。

表現の自由戦士は、AIであれば迫害・弾圧・焚書も正当化する反AIを表現の自由の敵認定。

二次創作嫌悪勢としては、反AIにしろ表現の自由戦士にしろAI推進派にしろ、二次創作が蔓延する現状を肯定している敵扱いなので全員倒れてくれれば万々歳。

AI推進派はどこに立つべきでしょうね。

表現の自由戦士とは、規制に対抗すると言う点では手を取り合えそうですが、今の、かなり先鋭的な反AIの中には元・表現の自由戦士もいるそうです。

下手な接触は潜在的は反AIを顕現化させて、表現の自由戦士からの離反を招きかねません。

他2派とは歩み寄りの余地はないですし、表現の自由戦士との接触も望ましい結果につながるとは思えません。

特に、古参の表現の自由戦士となればSNSで暴れるだけがせいぜいの現反AIと違って、正当な手段で政治とコネを作って意見を通すノウハウがある人もいるでしょう。

敵に回さないに越したことはないです。

この分断と対立は結構な額の請求書としてオタク全体に降り掛かってくるだろうなぁと暗い気持ちでいます。

まぁそれでも反AIがこの中では数だけは最大勢力である以上、どう転んだってAI推進派に明るい未来が見えないのですけどね。

鬱出汁巻き。

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