AIホラー小説「呪われた掛け軸」

ある日、私は叔父が１人で住んでいた古民家で、彼の遺品整理を手伝うことになった。 部屋には時代を感じさせる掛け軸がいくつか飾られており、その中の一枚に思わず目が留まった。

掛け軸は美しい山水画で、手描きの細かな線や色彩が見事に描かれていた。美しいが、何か不気味な雰囲気の漂う掛け軸であった。

生前の叔父は「呪われた掛け軸」と呼んでいた。
彼が若い頃にその掛け軸を手に入れて以来、何度も不気味で不思議な出来事に遭遇してきたと、楽しげに話したものだ。アレには何か邪悪な力が宿っている、というのが叔父の談である。

私は叔父の話を興味津々に聞いてはいたが、同時に少し怖くもあった。

それから数日後、私はあの掛け軸を持って古美術商の元を訪れた。
店主は、いかにも老獪そうな男だったが、掛け軸を見るなり顔色を変えた。「この掛け軸は、ウチでは取り扱えません」
この不気味な掛け軸からさっさと解放されたかった私は、ほとほと困り果てた。

そんな私を見て、店主は一つ助言をくれた。
掛け軸の由来を探り、不安の種を解明すべきだと。
彼は私に一枚のお札を渡し、掛け軸の裏に貼るようにと言った。

帰宅した私は掛け軸を取り出し、お札を掛け軸の裏面に当ててみた。
すると急に、頭の中に何かイメージが浮かんできた。 それは、掛け軸を描いた画家の苦悩と悲劇の物語だった。

この掛け軸を描いた画家の男は、恋に落ちたある女性との結婚を夢見ていた。
そんなある日、最愛の彼女が突然死んでしまった。悲しみに暮れた画家は、自分の命のすべてを以て、この山水画を描き上げた。
そして絵の完成後、彼も死んだ。

私は画家の運命に胸が締め付けられ、彼の魂を解放してやることが私の使命なのだと感じた。

私は掛け軸の前に座り、彼の成仏を心から祈った。
すると、突然掛け軸が揺れ出し、不気味な声が響き渡った。
そうして画家の魂は解放され、私に感謝の言葉を伝えて消えていった。

その後、私の周囲で不思議な現象は消えた。

叔父の愛した『呪われた掛け軸』はもう存在しないが、私にとって忘れられない思い出として、その美しい山水画を今も大切に保管している。
時折、私はその掛け軸を眺めながら、画家の苦悩と愛の顛末を思い出している。