見出し画像

論文・ケースとnotebookLM

 論文をたくさん読んだり、たくさんの記事から情報を得たり、そういう作業は学生だけでなく、社会人でもある。情報が多ければ多いほど、自分が気になったところに過度に注目してしまったり、重要な部分を見逃したりということもある。GoogleのNotebookLMは自分の指定した情報から情報をまとめてくれるサービスで、こうしたまとめ作業に別側面を与えてくれる。
 今回は生成AIに関するコンサルタントが公開しているレポートから情報をまとめてもらうデモをつうじて、NotebookLMの使い方を紹介する。


NotebookLMと世界のレポートのまとめ

 2024年6月、NotebookLMが順次提供開始され、自分専用のLLMを作れるようになった。残念ながら、大学のアカウントではNotebookLMは作れないものの、プライベートのGoogleアカウントでは利用可能なのでそちらで使い始めてみる。特徴的なのは、Chat形式で質問に答える内容の引用先だ。自分が指定したGoogle Drive(自分のアカウント内)やPDF、URLを指定するとそこから質問に沿った回答を出してくれる。またその内容をピン止めし、ノートとして残しておくこともできる。
 最初に使ってみたのは、生成AIに関する公表されているコンサルティング会社などの最新レポートをPDFでDownloadして、内容をまとめてもらうというものだ。うれしいことに、英語の数ページにわたるレポートを5本ほど集約して、日本語で質問を投げかけると、日本語で回答してくれる。

質問するとそれに対して回答を。
引用した箇所(灰色の数字)をクリックするとsourceが表示される
回答はメモとして保存可能

勿論、論文などは最終的に全文読むことになる。しかしながら、複数の論文や或いはレポートをどのように読み進めるべきなのか、どの論文が最も自分が読みたい(質問内容に対して答えてくれる)ものなのかをoutlineを把握する上ではとても便利な代物だ。Xなどでも実際の研究者が利用している様子などもあり(彼らも最終的に論文はちゃんと読むと注釈している)、その実用性が伺える。

KBSならではの課題

このサービスを触った時に、ふと悪魔がささやいてやってみたことがある。「ケースメソッドに応用できるかどうか?」である。
答えとしてはYES。設問の質によってはケースの引用箇所からの回答で十分である場合など、どの文章を引用しているかをNotebookLMが保持している限り、突っ込んだ質問にもある程度対応できる。たとえ先生がChatGPTなどの利用を疑ったとしても躱せてしまう可能性が高い。こうした学習上の狙いとズレた形でいわゆる「ズル」ができてしまう。実は教授陣も設問を用意するならこうしたサービスが無料で使える前提に立って設計を変えないと狙いどおりの学習効果へ導けないのでは?と考えるようなサービスだとも言える。
生成AIサービスでは、読み込んだ情報から質問への最も最適な「言語(色・音)の抽出」(意味の抽出ではないことが注意点)を行うので、自身の経験などデータとしてインプットされていない情報に基づくアウトプットは不可能である。しかし、実際は既知の大量の情報とともに、「誰が」「何をする(言う)」かで説得力やその言動の深みは違ってくる。その深みを与えるのは自らの経験しかないことも多く、その深みが人が納得したり、賛同したりする原動力だったりする。サービスを利用することで、表面的にはうまくいっているように見えて、実ビジネス上での結果にむずびつかない可能性もあるなと懸念も見え隠れしたな、と感じた。(その分、本質的に生成AIサービスがどういうものなのかを理解して付き合うことの重要性も実感した。)

今後もサービスを見ながら、学生生活で役立つことも、その後のビジネスで役立つことも発信していきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?