布をつないで。#未来のためにできること
布が捨てられない。
祖母が和裁をしていて、子どもの頃から裂地に囲まれていたせいか、どんな小さい布も愛おしい。写真は祖母が晩年作ったパッチワーク。4センチ角の小さな布たち。端切れではあるけれど、集めれば新しい世界が広がる。
パッチワーク仕立ての帽子があると知って、大切な人の形見のネクタイをパーツに入れて作ってもらった。私は針仕事ができないので、せめて解体して手洗いして託す。久しぶりに人の手に触れた生地は、それだけでふっくらと幸せそうに見える。
完成品を手にして、
「生まれ変わって会いにきた」
そういってるみたい。
元の姿ではないけれど、新たな出会いの中でよみがえる。
新しい繋がりはワクワクする。
以前、出会ったオーガニックヘンプの衣料品。
肌にやさしく、その下着は快適。私はショーツを愛用しているが、身体にフィットする曲線の裁断は余り布が沢山でるようです。
あの優しい布の端切れは、パッチワーク帽子として蘇るのではないかしら?
そんな発想から今年5月に双方をお引き合わせすることができました。
色使いも素敵なオーガニックヘンプが、どんな帽子に生まれ変わるのか、これからのお楽しみ!
おつなぎ出来て、嬉しい。それなしでは生活できない「布」へのささやかな恩返しができたような気持ち。
ところで、私の職業は着付師です。
祖母はお出掛けの時は着物でした。着物は身近にありました。
お客様の着付けを承ると、着物についてご相談を受けることも多く、
現在お悩みで一番多いのは「古い着物の処分」です。
お預かりして若い方にお分けしたりもするけれど、一人の力では限界もある。買い取り業者に引き取ってもらうのが手っ取り早いが、思い出の品を見知らぬ人に託すのは心が痛む。ましてただ捨てることなんて。
一緒に生きてきた布を活かせる方法が、まだ何かあるはず。
直線断ちの着物は、ほどいて洗われ、何度も縫い直されて最後は赤ちゃんのおしめになってその命を全うしてきた。
今までの使い道にとらわれず、模索したい。
リメイクにとどまらず、手から手へと布をつなぐ仕組みを創っていきたい。
同じ思いをされてる方が沢山いるはず…。その思いをつなぎたい。