夫が育児休暇を取りました。【後編】※再掲※
※本記事は2022年2月16日にWorkingforever内にて掲載したものを再掲しています※
「夫が育児休暇を取りました。【前編】」では、今回の出産に関する背景を少し書かせていただきました。今回は、夫にインタビューする中で、男性側から見た育児休暇のリアルをお伝えしたいと思います。
夫(34):
ベンチャー企業でマーケティングを担当。6歳、4歳、0歳の3児の父。
∟育児休暇の期間:約2か月間
Q:自己紹介をお願いします!
会社員をしています。34歳です。仕事はマーケティングの仕事をしています。コロナ禍では在宅勤務が中心。基本週に1回〜2回は出社なので、ハイブリッドな働き方です。在宅勤務になり、子どもの保育園の送迎はしやすくなりました。往復3時間程度と、職場が家から遠いので、その分家に居れるので、子どもたちと触れ合える時間は圧倒的に増えました。妻と話す時間も増えた気がします。そういう時間が取れる比率が上がったことで、人生の充実度、QOL(Quality Of Life)は上がった気がします。
会社との往復の時間は無駄が多いと普段から感じています。だいたい週で15時間、月で60時間とか、年間で考えたら1ヵ月程度の時間、家族と触れ合える時間が増えたので、とても有意義な時間の使い方をしています。
Q:今回、3人目にして初めて育児休暇を取得しましたが背景を教えてください。
もともと現在働いている会社が育児休暇取得を奨励している会社なので、男性も育児休暇を取得するのが当たり前。周囲にも取っている人が多いです。今回子どもが出来たので、当然の選択肢として取得しようと思いました。
Q :転職後間もない(約10か月)中での育児休暇取得でしたが、周りの反応はどのようなものでしたか?取得するまでの経緯なども教えてください。
「子どもができたので育休取りたいです。」と伝えたら「そうですか。分かりました。」という感じでした。反対されるとかもなく、普通に「分かりました」というカタチ。コンフリクトもなくスムーズに取れました。
Q:いろいろ準備してきた中で、出産が予定よりもだいぶ早まり、その関係で育児休暇取得時期も早まりましたが、それに関して周囲の反応などはどうでしたか?
バタバタはしました。もともと予定していたタイミングよりも2週間以上早かったので、進めていたプロジェクトのボールの渡し方が変わったりなどはありました。労務的には早まったから手続き上の変更などはありましたが、チャットで労務と少し話をしただけで複雑なものはなにひとつありませんでした。
もともと、2人目も早産だったことや、今回の妊娠の経過の中で切迫早産など状態が良くなかったこともあり、周囲には出産が早まる可能性が高いことはずっと伝えていました。そういうこともあったので、バタバタはしたけどスムーズだったと思います。
Q:思いもかけず早産になったり、子どもも搬送されたりといろいろありましたがどう捉えていましたか。
(すべては)たまたまそうなったというだけ。早産での緊急帝王切開についても、それ以外選択肢はないと思いました。母体のリスクもあったので。子どもが搬送されたことも、結果として大きな問題にならなかったので、冷静に受け止めていました。結果的にコロナ禍で退院するまでに妻にも子どもにも会えないと思っていたけど会える回数が増えてよかったなと思います。ただ病院は往復1時間と遠かったので、上の子たちの予定などもあり毎日通うのは大変でした。
Q:育児休暇中の過ごし方についてお伺いします。育児休暇中、どのように過ごそうと考えていましたか?その通りに行きましたか?
正直そんなに戦力になれていたのか分からなかったです。妻に聞いてみないと分かりませんが、家事のヘルプはもう少しできたほうがよかったかなと思います。目論見通りに稼働できたかは分からないです。例えば、どちらかというと料理はしなかった。妻の期待にあってなかったかもしれません。
ただ、妻が夜中次男を見るので、午前中は自分が対応を代わりその間に妻が寝たりと変則的な動きには対応できたと思います。
Q:育児休暇中、辛かったことは何ですか?また、嬉しかったことも教えてください。
辛かったことというと違うかもしれませんが、業務の進捗はかなり気になっていました。自分が入っていない中でプロジェクトはどう進んでいるのか、というのは気になってしまって、Web業務ツールで進捗をみてしまったり。精神衛生上的には、変な焦りがありました(苦笑)。業務から離れているから大丈夫か、育児休暇から戻って大丈夫か、迷惑かけていないか、とか。あとは、社会からおいていかれている感じはありました。たった2か月間でしたが。妻の焦りも少し分かった気がします。
嬉しかったことは、圧倒的に子どもと触れ合う時間が増えたこと。産まれたばかりの育児は、上の2人の時は参加できていません。もともと育児休暇が取れない会社だったこともあり、妻の実家のヘルプを借りたことで、自分が関わらなくても回っていました・・・・回っているように見えていました。これまでは新生児期の沐浴などもしてこなかった。今回、新生児期ならではの沐浴や2時間おきの授乳など、そういうお世話ができたり、触れ合う時間が取れたのはいい経験だったと思います。総論、育休を取得して本当によかったです。
Q:育児休暇を通して得た学びや、感じたことを教えてください
本当に大変。
「育児の大変さがわかる」というのは大きいと思います。夫婦間の「共通言語」になりました。やっぱり仕事の大変さとは違うものがあります。仕事か育児か、どっちかがしんどいとかはなく、どちらもしんどい。子育てならではのしんどさを経験することができ、妻と共感できるようになったのは学び。本当にいい経験になったと思います。
Q:育児休暇が明けて、今も家事・育児に参加できていますか?
多少は出来ていると思います。それは、在宅勤務だから。実際、勤務時間中に妻からヘルプが来ることはないですが、働いているといっても同じ屋根の下にいるので、「今日は辛いから早めに終わってほしいな」と言われたら、早めに業務を終えてすぐ駆けつけることができる。これは在宅勤務だからこそ(できること)。会社に行っていたらそういう細かい対応は難しい。家にいながら仕事ができるので、良くも悪くもよく家事・育児に参加できていると思います。
Q:今回2ヵ月間育児休暇を取得しましたが、2ヵ月という期間はどう思いますか?
一般的には、男性としては長い方だと思います。周りは大体1ヵ月程度かなと。ただ、1ヵ月だと短すぎてリズムを掴むまではいかないのでは。2~3ヵ月が、期間としては妥当な気がします。
Q:男性の育児休暇について私見をお伺いします。男性が育児休暇を取得することに関して、どのように考えていますか?今後、社会(会社)に望むことはありますか?
基本、育児休暇は全員が取得すべきだと思います。育児ならではの辛さを同じ感覚を持って、共感し合いながら夫婦で話せるかどうかというのは経験しないとできないこと。育児に参加することで、子供の可愛い姿を見ることができる。この時期ならではの子どもの可愛い姿を見れるのは、その瞬間にしかないのです。それができるのは、本当に魅力的だと思うからです。
会社や業務内容によっても、取得できるかどうかに差はあると思います。自分自身も以前勤めていた会社では同じように育児休暇を取れていなかったと思います。今後は、会社として当たり前の様に、「男性も育児休暇を取るべきである」という会社内の空気の醸成が必要かと。イメージ作りのためにトップが1週間取得するとか、そういうパフォーマンス的なものは、本質的に育休が推進される状態をもたらさないと思います。そういうのは採用PR効果にしかならない。現場のマネージメントクラスが一定期間、育児休暇を当たり前のように取れるようになっていく必要があると思います。
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あとがき
夫婦間での「共通言語」という言葉が本当にしっくりときたなと今回改めて話を聞いてみて思いました。今までは、「こんなに辛いのに!分かってくれない!」と一方的に思っていましたが、分からないのは、自分が夫に経験させてあげていなかったからかもしれないと気づきました。その瞬間、瞬間は夫婦、お互いが辛い時間があるかもしれません。でもその辛さをも共有することで、「分かってくれない」という状況は改善され、「辛いけど頑張ろう!」「協力して乗り越えよう!」とお互い応援し合える存在になれる気がします。わたしは、2人で(正しくは家族5人で)乗り越えたこの2ヶ月を忘れることはないでしょう。
夫が感じているように、物理的な支援はもう少ししてもらえたかな(笑)とは思いますが、前編でお伝えしたように私の中では精神的な支えになってくれたことが今回の育児休暇で大きかったと思います。そしてこの時期があることで、今後何か辛いこと、悩むことがあっても、話し合って一緒に解決することができそうです。
私たちのケースも数ある中のひとつで、ひとつとして同じ条件の家庭はありません。それでも今回経験したこと、学んだことが誰かのお役に立てたらいいなと思い今回書いてみました。それぞれがそれぞれにとってベストな生き方になりますように・・・。
#バックナンバー(Workingforever内)
■ 2児の母フルタイム勤務の私が副業を始めるまで #パレット1
■ 「どんな自分でも」受け入れられるようになるには #パレット2
■ 「おばあちゃんになっても働き続けたい」という想いに思うこと #パレット3
■ 自分で「決断する」ということ #パレット4
■ 3児の母の「不安」と「意欲」 #パレット5
■ 夫が育児休暇を取りました。【前編】 #パレット6
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