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【風神シナツヒコ】神名に隠された本当の歴史【合成系図】〜古書から日本の歴史を学ぶ〜


※この文章はYouTubeで動画で見ることも出来ます。

こんにちは、今回は古事記に登場する風神についてお話しさせて頂きます、よろしくお願いいたします。


古事記の神産み神話にはイザナギとイザナミの間に生まれた風の神としてシナツヒコという神が登場します。

日本書紀やウエツフミにはシナトベと記載していますが、いずれも風の神として登場しています。


「風」という言葉を古語辞典で引くと、日本の古い言葉で「ち」といいます。

東風のことを「こち」と言ったり北風を「ハガチ」春の北風を「うめごち」すきま風を「あおち」と言うように風は「ち」です。

古代エジプトでも風のことを「チ」といいます。

エジプトのヒエログリフには「チ」の他にも

「マー」「スフ」「シュウ」「クハルル」が風を意味しており、メソポタミア、地中海東部、ナイル川流域に分布しています。

古代エジプト語はアッカド語、シュメール語の影響を強く受けているため、楔形文字で「風」を追っていくとシュメール語の《リル》風《リル・ラ》風《ガル・ル》南風・風・嵐があります。この楔形文字が世界最古の「風」です。アッカド語・バビロニア語はこれと同じ楔形文字を使いながらも字音は《ザキーク・ジキーク》《リルー》《シューツ》になります。


日本古語の風「ち」のルーツが古代エジプトの象形文字にあるのは比較的わかりやすい例でしたが、日本神話に登場するシナツヒコの「シナ」も古代エジプトや楔形文字に起源を持ちます。


熊本県八代市(やつしろ)には「オレオレデーライタ川祭り」という河童のお祭りがあります。祭りの由来が書かれた碑文には河童が中国方面から日本に来たと書かれています。伝承ではこの河童たちは口々に「オレオレデーラータ」と叫びながら上陸したと云います。現在では水難防止を祈願するお祭りとなっています。

「オレ・オレ・デーラータ」はシュメール・バビロニア語にすると「ワレ・ワレ・ディラィダン」となり「我々風(神)の共同体」つまり「我々は風神族」という意味になります。


風神族の風神は「ディラ」という音ですが、シュメールの風神エン・リル、バビロンの風神エン・リラ、中国の風神俺里羅(エンリラ)と同じ神です。

シュメール語のe《エ》は日本へ入るとye《イェ》やya《イァ》と転訛します。

e《エ》はシュメール語で家という意味ですが、日本では家ye《イェ》となり、ya《イァ》は屋根のヤや大きな家の大家のヤに残っています。

東北の方言では家のことをエという方言が残っています。

エン・リラ【En-lil-la】という風神のエンEnはヤン・リラ【Yan-lil-la】となり、子音lはd/n/t/sの転訛法則によりヤン・ディラ【Yan-dil-la】になります。

※  エンがヤン、ヤンが脱落、という過程を経た日本古語は多数ありますが、このヤンディラもディラだけが残ります。

ディラィダンの【ィダン=共同体・族】の転訛過程はここでは割愛しますが、詳しくは「世界最古の文字と日本の神々」をご覧ください。

子音lのd/n/t/s転訛法則でリラ【lil-la】はシラ【sil-la】やシナ【sil-na】にもなり、古事記に登場する風神シナツヒコも風のヒコになります。


中国の北京では風のことをfan《ファン》広東省(かんとんしょう)では《フォン》です。日本語の音読みの《フウ》は訓読みの「かざ」「かじ」「かぜ」の後、入ってきたものです。

中国語の《ファン》《フォン》の語源をさらに辿ると古代エジプト語のshu《シュウ》やバビロニア語の《シューツ》に行き着き、この古代エジプト語とバビロニア語は同系です。


楔形文字の「風」は東方へ伝播しインドに入ると、ドラヴィダ語族のカンナダ語、他6部族の言語で《ガー・リ》が「風」の意味で、インド南東部のタミル語では《カル・ル》《アーリ》となっています。日本語の「かざ」「かじ」「かぜ」は《ガー・リ》に繋がっています。ガーリのリは風「リル」の下略語で子音lの転訛法則によりliはdi「ヂ」となり、日本古語の「かじ」になります。さらに語尾変化で「かぜ」になり複合形の「かざ」になりました。


音読みの《フウ》と訓読みの「かざ」「かじ」「かぜ」「ち」は通ってきた経路と時代は違いますが、どちらも楔形文字に起源がある可能性が高いです。



河童が叫んでいた「デーラータ」の「ディーラ・イダン」と言うディという音は日本古語の「ち」に転訛する前の状態で、当時の日本人は聞いた音をそのまま伝承していたことがわかります。

古事記に登場する風神シナツヒコのシナはディラ・リラの転訛後の音なのでシナツヒコは河童より後に日本に来た神様なのかもしれません。



シュメール神話では風神エンリルの両親は父が天父神アンで母が地母神キです。

古事記では風神シナツヒコの前にイザナミが産んだ神は水門の神ハヤアキツヒコとハヤアキツヒメです。このアキツはアンキツであり天地のヒコ、天地のヒメとなります。ハヤは建速素戔嗚命、ニギハヤヒ命、速吸瀬戸などと同じで「海員」や「船員」という意味です。

つまりハヤアキツは海から来た天父神地母神を意味した日本古語です。シュメール神話ではアンとキの次に風神が生まれているので、古事記のアキツの次にシナツが産まれるのは神話の王道ストーリーだと言えます。

インドやバラモン教、ヒンドゥー教の中で神々の王とされているインドラも、元々はウルの風神エンリルとバビロンの風神エンリラから派生し、インディラとなりインドゥラと転訛した神です。

風神エンリル(ウル語)はギリシャへ入ると、アネモスという名前に変化します。


アネモスというのはアンネメスでギリシャ語では天神の子、という意味です。


この金貨は紀元前2世紀半ばに、グレコ・バクトリア王国で発行されたもので、ギリシャ文字でアネモスと印刻されています。バクトリアという国名は紀元前10世紀後半に生まれ、ギリシャ軍による支配により固有の文化がギリシャ化されます。これにより風神アネモスの信仰はさらに広がりました。


遠く離れたシュメールやギリシャの神が日本の神話に入るはずがないと思われるかもしれませんが、


高知県四万十市一宮神社で代々受け継がれて来た鉄刀には風神アネモスが嵌入(かんにゅう)されています。

現在は幡多郷土資料館に保管されているそうです。


滋賀県父塚古墳から発見された線刻石には楔形文字の「天神」や甲骨文字と合わせた「天父神」という文字が刻まれています。

同じく滋賀県大津市の茶臼山古墳や、古橋製鉄遺跡付近の丘陵から発見された線刻石には、風神アネモスの像が刻まれています。さらに伊香具神社からも「風」の甲骨文字、楔形文字、風神アネモスが刻まれた線刻石が発見されています。


奈良県明日香村の亀石には甲骨文字の「風」が少し変化したものや風神アネモス、司祭、祈る風神、が刻まれています。

これらの遺跡から日本列島に順番にたどり着いた民族が共存していたことがわかります、他民族を抹殺していたら3種類の古代文字が同じ石に刻まれるという現象は起きないからです。



古代の日本列島には国際性豊かな民族が共存していました。その中には民族抹殺などの恐怖により故郷を離れ日本列島へたどり着いた民族もいたと思います、生き別れた民族が日本列島で再び再開することもありました。このことは天孫降臨の神話に残されています。


イザナミから生まれた風神シナツヒコ、という古事記のほんの1行からでも古代文字・言語音韻学を学んでいくと別系統の神を一系統に創作した、ということが考察できます。古事記が偽書だと言いたい訳ではなく、日本人の本質は民族の共存であり、万教帰一なのではないでしょうか。

騙されたり裏切られた歴史もありますが、その中で培った叡智を活かし大同団結を選択し続けた結果が、今の日本人を形成しているのだと思います。

今回参考にした書籍は概要欄に記載しています、是非読んでみてください。最後まで見ていただきありがとうございました。


📖この動画の参考書籍📖

川崎真治著書「世界最古の文字と日本の神々」「混血の神々」

中村啓信著書「古事記 現代語訳付き」

安本美典氏「先代旧事本紀現代語訳」

家永三郎著書「日本書紀」

三笠宮崇仁著書「古代文化の光」

吾郷清彦「古史精伝ウエツフミ原文併記全訳」

筑摩書房「古代オリエント集」

明日香村観光ポータルサイトHP

https://asukamura.com

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