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即興小説『うつ姫』03


少女は 町の人々から うつ姫 という愛称で呼ばれていました。

毎日 精一杯、関わる人 すべてにエネルギーを注ぎ、色々な人を喜ばせたり、助けたりしながら少女は生き、太陽のようにその命の光で多くの人々を自然と幸せにすることができたからです。

そしてある一定期間を過ぎると、途端にエネルギーがなくなり、この洞窟の中に独り、ひっそりと眠る期間があります。 

町の人々も、少女もそれには慣れっこになっていましたから、町の人々はただ そっと少女が町に帰ってくるのをゆっくり待っていました。

人々の心の中には少女がもたらした火種があり、いまも温めていますから、人々は、うつ姫と離れていても特に焦ることもなく、嘆くこともなく、悲しむこともさえなく、ただちょっとだけ、大丈夫かなぁと頭の端っこで心配しながらも、自分の生活を淡々と行うことができました。

そんなわけで少女の呼び名は

うつ姫。

この町にやってきたばかりの吟遊詩人には、初めて聞く名前でした。

「鬱姫だなんて❗ 随分な名前じゃない?」

と、状況がわからずに聞いた吟遊詩人に、うつ姫はそう答えたのでした。

「なるほど。君の名前は君のようにうつくしいね!」

そう つぶやくと、吟遊詩人は即興詩を朗読しはじめました。

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美しく
つつましく
狂おしい
詩のような
生き方で

歌を歌う
包むように
屈託なく
染みわたる
居心地で

生まれながらに
角は虹
苦しむことも
死の恐怖さえも
痛みさえも愛し

訴えかけるように大空
伝える雲形を変えては燃え
くるぶしまで涙の雨で浸す
死体のように眠ろうとも
祈る命眠る太陽

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あなたは愛の

活火山

私はあなたの

噴火も冷却も愛す大地
 

どうかマグマの熱を恐れないでください

あなたの愛を止めないでください

炭素に刺激をもたらし

一瞬で石を宝石に変えるブレイクスルー

あなたの愛を

止めないでください

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「う つ く し い 全てが 頭韻で表されているのですね!」

うつ姫はそれをとても喜びました。

空は晴れ渡るように、うつ姫の、今期のうつが、明けました。

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6-3 うつ姫 

スカイチルドレン編

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