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くぼみの翼で飛ぶのです
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昨日、ツグミ工芸舎ソイさんの個展が終わった。『たべものや 月のうさぎ』さんで開催された、『くぼみの工作』展。
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ソイさんは、ご自身の記事にて「胸の真ん中にぽっかり穴が空いたようだ」と書いた。
僕は記事とその言葉を読んで、全く逆のことを思った。
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今回ソイさんが手に入れたのは、空っぽの空間であり、透明で、形のない大切な何かであると。
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フライヤーにもあったけれど、木材をどのぐらいへこませるかによって器の形が変わる。
浅ければお皿。
もっと浅くて小さくてスプーン。
深ければお碗。
さらに深ければコップとか、かな?
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つまりソイさんは、10日間という時間と、『月のうさぎさん・ギャラリーne』と言う空間を使って、いろんなものをくりぬいて行ったんだと思う。
そう、形あるものを形ないものへと変えていったんだから、それは透明で、とらえどころのない、ただの空っぽの空間となるはず。
それを人は、思い出と名付けたり、感覚とか過去とか呼んだりするのかもしれないけれど。
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今回僕がいただいたライティングのお仕事はまさにそれであった。『鏡の風』という小さな物語を書いたんだけど。
それは、鏡でできた風が世界中を飛び回り、すべてのものを写し、最終的に何に進化したのか? という物語で。
そこで書き記したことを、多分ソイさんは、この10日間で形にしたのではないかと思いました。
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つまりは、空という鏡になること。
『鏡の風』が進化して、大空へと生まれ変わったように。
ここに訪れたたくさんの方の美しい表情や、作品が醸し出す様々な空気のゆらぎを、心の鏡に映し出すことによって。
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そういった一連の流れをソイさんの近くで拝見させていただいた数ヶ月間。
僕は『くぼみの翼』という二枚の翼を手に入れた気がしています。
形ある世界と
形ない世界を
同時に生きる方法
0と1
宇宙と永遠
その違いを整理できたのは、
何よりソイさんのおかげでしたから。
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