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ニャンコが増えた
といっても自分の家のハナシではない。兄の猫でもない。母の猫である。ウチの母は、猫の母娘二匹(母猫推定4歳、娘猫推定3歳)野良猫時代の数年間面倒をみていたが自身の年齢的に、猫達を最期まで看取れるか分からないから…と、飼うのをためらっていた。とはいえウチの母は、娘の私よりよっぽど健康である。よく歩くし、長年接客業のパートで長時間の立ち仕事もこなし、プライベートで人との交流も私よりよっぽど多い…。可愛い猫達と共に暮らすことで、ボケるヒマもなく元気でいられるんじゃないかと思っている。
母が猫母娘を飼うことになった経緯としては、野良時代、いつの頃からか近所で顔を合わせるようになり、これまたいつの頃からか、毎日…雨の日も風の日も雪の日も、ご飯をあげるようになり、そのうちに情が移っていった。そんなふうに、母が毎晩のご飯の世話をし、やたら繁殖しないよう避妊手術も受けさせていたが、二匹揃って今冬の寒さで風邪をひいて弱ってしまった。それをみかねて捕獲し、病院で診てもらい、しばらく朝晩の飲み薬などの治療が必要になった。衰弱している為、大寒波が到来中の屋外に戻すわけにもいかない。それをキッカケに飼うことにしたという。現在の猫母娘病状は、投薬が終わり、ご飯をしっかり食べられるようになり、完治とまではいかないが二匹共に随分元気になっている。
猫母娘と私の関係性は、野良時代のご飯タイムに、週一ぐらいのペースでウチの母に付いていってた甲斐あり、猫母娘からは「たまに見かける、知ってるヤツ」という認知をされていると思う。私からは食べ物をあげないようにしていたので、母不在で私単体と遭遇した猫母娘は、ある程度間合いを取り、触れられる範囲には近付いてこないことが多かったが、なぜか妙にフレンドリーに撫でさせてくれる日もあった。何故かは分からない…猫の気まぐれか。
猫の気まぐれと言えばこんなこともある。母猫一匹だけのときに会った際、別人…別猫かと思うほど普段のクールな態度とは違っていて、めちゃくちゃ擦り寄ってきて、撫でても撫でても離れないことがあった。思うに母猫は、ホントは甘えたいけど、娘猫の前では母の威厳を保つため無理して(?)気丈にクールぶっているんじゃないかと想像している。まぁ猫の本心は分からないので、あくまで想像である。
猫母娘は、どちらか一匹、又は二匹共にご飯を食べに来ないこともあったので、そんなことが続いた日はウチの母がひどく心配していた為、二匹揃っているのを見かけたら「今猫来てる」と母に連絡して呼び出していた。
猫たちはそれを見て『ニンゲンがケータイで通話又はメールして連絡を取り合っている』…などという行為の詳細までは流石に理解していなかっただろうが、『私(ご飯はくれないがたまに見かけるヤツ)が、母(ご飯をくれるヤツ)と繋がりがあり、呼び出すことが出来る』ことは分かっていた感じはある。何故かというと、私の姿を見かけるとニャンニャン鳴きながら、駆け寄ってきていたから。
それはもう「お腹空いたよ〜」の声が聞こえてきそうな様子で。駆け寄ってきたその時は触らせてくれるのだが、少しすると撫でられるのを拒否し、私の手の届かない範囲まで距離をとる。「もう十分触っただろう。アンタに用は無いんだ…早くご飯くれるヤツを呼んでくれ」と言わんばかりの冷めた対応をし始める。まぁ、野生を生き抜く為、強くあらねばならないのだから、ご飯もよこさないニンゲンに、無償対応していたらムダなカロリーを消費するだけ。少しでも相手をしてくれるだけ有り難いと思わなければ。どこの世界も無課金のニンゲンには冷たい。
話は変わるがこの猫母娘には、兄の愛猫ハチワレのハッチャンの義妹猫である、黒猫のアキがチビの頃の野良時代にお世話になっている。猫母娘のテリトリーであるご飯場で一緒にご飯を食べるのを許していた。というか、アキはこの猫母娘のどちらかの子供かもしれない…が、チビの面倒をみてあげていただけで別に血縁関係は無いのかもしれない。ウチの母曰く、アキを捕獲した際、この猫母娘は直ぐ側にいたのだが、ニンゲンに連れて行かれるアキを見ても全く何の反応をすることもなく知らん振りでご飯を食べていた。もしアキが我が子なら抵抗されると思ったけど…?と。遺伝子検査でもすれば親子関係なのか判定も出来るんだろうが、まぁ別にそこまでする必要もない。
猫母娘の病気が完治して、いつか猫4匹が顔合わせすることがあれば……ケンカしないだろうか?ハッチャンは4匹唯一のオスで、今やすっかり甘えん坊の箱入りお坊ちゃん。警戒心が強いがそれ故、知らない存在には不用意に近付かないし、基本穏やかでケンカする性格ではないと思うので、その点は心配要らないだろうが、メス3匹(猫母娘VSアキ)が出くわしたときの反応はちょっとどうなるか……恐ろしい。メス特有の気の強さに加えて、猫母娘はつい最近まで野良生活をしていたので野生の強さがあり、どこまで他猫を受け入れてくれるか許容範囲が分からない。
アキは、この母娘に世話になったことを覚えているのだろうか?反対に母娘の方は、昔一緒にご飯を食べていたチビだったアキのことを覚えているのだろうか?そんな過去のことはすっかり忘れて、メス同士の大乱闘が始まらないとは限らないので…慎重に。
猫は嗅覚が優れていて、ニオイからさまざまな情報を得る、とのことなので、せっせとハチ&アキ(兄宅)の体のニオイを我が手に付けて、猫母娘(母宅)に嗅がせてみたりしている。(本当は、肛門のニオイから情報を得るらしいのだけど…流石にニャンコの肛門のニオイを手に付けてウロウロするのはちょっと気が引ける…そこまでヘンタイじゃないぞ…)
いつか顔合わせの際『このニオイは嗅いだことある、知ってるヤツ』とか、友好的な印象を持ってくれることを願う。