ロッテルダム国際建築ビエンナーレ(International Architecture Biennale Rotterdam)レポート その1
『IABR 2024: Nature of Hope』が6月29日から10月13日までNieuwe Instituutを拠点に開催されていた。New Instituteの展示とその公開プログラムに加えて、ロッテルダム市内の緑地空間や取り組みをBotanical Monumentsとして展開していくものだった。
テーマの中心には生物多様性と自然が据えられていて、建築・都市がいかに生態系バランスを回復できるかということに焦点が当てられていたらしい。ホームページには詳しいポジションペーパーとキュレーターのステートメントもある。
ちょうどオランダに来て1ターム目が終わり、なにかと自然や環境に関する価値観と距離感が違うなーと感じていたところなのでそれを少し理解できる機会かなと思い通ってみた。会期中はいろいろなイベントがやっていて、僕の所属するアカデミーのArchitectureコースの学科長Janna Bystrykhもキュレーターの一人だったので、学校からもツアーの案内が来ていた。
余談だけど、New Instituteの3階の別の特別展では 『Washi Futurism』という和紙についての展示がやって、他の展示がないか建物内をうろついていたら、明らかに日本の蝉の音がして何事かと思ったらこの展示だった。
少なくとも僕が2ヶ月いたなかで感じたのは、土への意識の違いかと思う。「世界は神が創り賜うたが、オランダはオランダ人が造った。」と語られたりもするオランダの土地において、土壌への意識は教育の場面でもかなり強い。この2ヶ月大学のクラスでは延々とオランダ語の土壌マップとにらめっこしてはそこにエクスカーションへ行くということをしている。
そういった意味でも、『Building Cities from Waste Soil』はわかりやすい。
建設現場から生じた廃棄土を用いて不焼成レンガを作成し、ファサードに用いることでその地質によって異なる色をランドスケープに現すという内容だった。
その土地の色とマテリアルに着目してプロダクトを作る提案は数多くあるけど、建築の外壁にしようというシンプルな提案ができることはオランダらしい。
会場を入ると目立つところにおいてあるこのタペストリーも元ネタはCharles Jencksのダイアグラムだけど、それを二酸化炭素排出量や要因と絡めて堆積する表現が使われていた。
建築ビエンナーレと言いつつ、建築PJ自体よりもオランダをはじめとするランドスケープデザインの事務所・行政・大学が協働したプロジェクトが多かったような気がする。
会場構成は大きくINTRODUCTION・SOIL・RESISTANCE AS PRACTICE・INFTASTRUCTURES・HYBRID BECOMINGS・BOTANICAL MONUMENTS・MATERIAL SHADOWS・PRICTICE PLACEに分かれていて90個くらいの展示物が並んでいた。
イントロには、やどかりに「やど」をわたしてみるもあった。
パリ協定を念頭にした低炭素開発だったりbiobased buildingのパリ市内でのプロジェクトの展示。
工業的農業生産が優占された土地利用を、新たな土地所有と協同組合の仕組みを作り、食糧生産・エネルギー生産・自然・居住空間を組み合わせたものへと変換しようという提案。
(正直まだオランダの農業事情を理解しきれてないのであまりわからない)
その2に続く。
ちなみに次のNew Instituteの展示はこれの巡回展らしい。