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宇宙人信じる?信じない?【あらコズミック 感想】

もうだいぶ前のことだけど、せっかく下書きで眠らせていたので公開する。

お笑いコンビのロングコートダディを見ていて感じることのひとつに、自分が自分にかけていた洗脳がとける感覚がある。

私はかなり頑固でひねくれた性格をしている自覚がある。すぐに落ち込むし思い悩むが、励まされたくも啓発されたくもない。ぴったりの言葉で、しっくりくる内容で納得がしたい。悲しいときはしっかり悲しみきりたいし、落ち込んだときはとことんどんぞこまで落ち込みたい。

そんなめんどうでなかなか考えを変えることが難しい私が、暗く鬱々としている私が、元気になれたり、少し前向きになれたり、力を抜いてもいいのかもしれないと思えたりするのが、ロングコートダディを見ているときだ。

そのロングコートダディの年に1度の祭典、作品集、コントや世界観を浴びることができるのが、単独ライブ。今年も観たので、その雑感を記録したい。

2024/7/10(水)
ロングコートダディ単独ライブツアー「あらコズミック」
@よみうり大手町ホール

公演概要
グッズ売り場

観る前

X(旧Twitter)で今年も単独ライブが開催されることが発表された。タイトルは『あらコズミック』。『コズミック』だから宇宙?念のためググって、やっぱり宇宙だということを確認した。

宇宙とロングコートダディと言えば、この動画が真っ先に思い出された。カジサックチャンネルのロングコートダディゲスト回。

この動画中に芸人になった経緯を話す流れで、堂前さんが大学受験でなくNSCに行くことを決めた理由についてこう語っている。

『大学行ってなんの勉強したい?って聞かれたら、普通にUFOくらいしかなかったんですよ』

堂前さんといえば、ゆるっとした絵のイメージ。単独ポスターでいうと、じごくトニックが個人的には1番“ぽい”。そうかと思えば、今回はパキッとしたポスターで驚いた。色もなんだか、“ぽくない”気がする。

わたしが宇宙と言われて想像するのは青だ。絵を描くだいたいの人は、その人の画風があって、その人らしさが出ると思う。でも、堂前さんは単独ごとにまったく様子が異なるポスターを打ち出してくるからすごいなと思う。ネタにとどまらない才能がある。

Xでワードミュートまでして、絶対に手癖で検索しないぞ!と意気込み、ネタバレを最終公演まで見ないように対策していた。のに、『エリンギの花言葉は宇宙』と『マユリカが出演する』ということだけ事前に知ってしまった…

まあマユリカは大抵出てくるし、花言葉と本編は関係がなかった(物語のキーになってるとかではない)から、そこまでダメージはないけど…でも、なんだか気持ち的にまっさらな状態で観たかった。悔しい。来年こそは公式から発表されるもの以外を避けて当日を迎えるぞ…!

今までになく、照明と音楽が効果的に使われていると思った。

実在した宇宙飛行士『ゴードン・クーパー』、宇宙兄弟や映画インターステラーでもクーパーさんが出てくる。

お相撲さんになりたいAIロボットが出てきて、名前が“さのやま”で、実在する親方からとったのかな?なんて想像を巡らせた。


今すぐ叶わなくたって、整っていなくたって、生きていていいんだよね。

……
目次作って全コントと幕間Vの感想を書こうと思っていたけれど、ここで止まってしまっていた。

具体的にはもう思い出せないんだけど、メモしていた一部を載せる。

あらコズミック
いつどんなきっかけで気付いてもいいし
いつから変えてもいい
30年変えられなかったとしても
226
モニターを使った危ないノリツッコミ
高野豆腐を上から箸で押さえつけた時
心がジュワーっとする
お尻でドアを開ける時

宇宙人を見つけるために生まれてきたんだ
それだけで生きてきたんだ
ああ 怖いよ 不安だよ
見つけられなかったら 意味がなくなるんだよ
この生きてきた 生きてきた時間が全部否定されるんだよ
だから絶対見つけないとダメなんだよ

表題コントの、あらコズミックの気になった箇所。

『高野豆腐を上から箸で押さえつけた時みたいに心がジュワーっとする』こんなような表現が出てきて、まさに心があったかくなるほど感動したときの表現としてぴったりだなと思った。身体の隅々まで染み渡るような感覚。わたしはロングコートダディの2人を見ている時にも感じる。

宇宙人を〜からは宇宙船の船長(堂前さん)が発したセリフ。小さい頃に無線機?を自作し、それで宇宙に繋がって宇宙人と話すことができた船長。大人になったら宇宙にいって宇宙人に会うことが夢になった。実際宇宙船と相棒のAIロボット(兎さん)を自作して宇宙に行くことができる。実は宇宙人の声だと思っていたのは、時空をこえてワープした際に無線を拾った、自作のAIロボットの声だったというオチ。

最初は『夢』だったのに、いつしかそれが『義務』になり、『でなければいけない』になり、自分で自分を責める。

『意味がなくなる』『生きてきた時間が全部否定される』この感覚には共感ができるし、2人が目指しているM-1とキングオブコントの王者へのことも重なって、少し泣いた。

書いている今もなんかそんなことを思って泣きそうになった。

でも、このコントでは最後に自分が聞いたのは宇宙人の声じゃなかったと分かり、途端にやりたいことがたくさん浮かんでくる船長。地球に帰ってからは好きなこと(東京公演では音楽)をやりながらAIロボットとも仲良く暮らしてるというところで終わる。

苦しみを繊細に描いてから、変に明るくもなくしっかりと希望を見出して終わってくれるロングコートダディのコント。終わった後の余韻がすごいんだ。笑って泣いてほっこりして、ふわふわといい心地がしばらく続く。

思い込みの力ってすごくて、真面目にやればやるほど自分の首をしめてしまったりもする。でも、他のものを見たり違う視点で見てみたりしたら、案外大丈夫だったりもする。大丈夫、それしかないとその時思っても、もっと肩の力を抜いていいんだよと言われているみたい。

優しくふんわり包んでくれる世界観、来年も再来年もずーっと続いて欲しい。そして観に行きたいな。

今まさにしんどい気持ちの人に絶対に観て欲しい。また来年もきっと開催されるはずだから。だいぶ前に開催された『じごくトニック』はどこかでDVDが買えると思うので、ぜひ観て欲しい。

そういえば、今回はチケット抽選に外れてしまって行けないんだと悲しんでいた。でも、当日券の発売があるとのことでダメ元で行ったら、まさかの当選!そのおかげで会場で観られたのだった。

割と冗談じゃなくこのために一年間生きているみたいなところがあるので、本当にうれしかった。来年もどうか現地で観られますように。


ポスター
お花
綺麗な会場

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