【詩】１５

生きてゐる実感を得るために
リストカットの跡を欲しがるやうに
切れば血の出る痛みに酔ひ
幸福よりも不幸を選ぶ 破滅願望に耽る
犀の角のやうにただ独り歩まんと
生き辛さを嘆いた一五の年
馴化してしまつた大人らは
悟つたやうなことを云ひ
はしかのやうなものだと
十五のこゝろを馬鹿にする
でも はしかで死ぬる人だつてあるのだ
現在こんな烈しい腹痛を起してゐるのに
その腹痛に対しては 見て見ぬふりをして
ただ さあさあ もう少しの我慢だ
あの山の山頂まで行けば しめたものだ と
そのことばかり教へてゐる
きつと 誰かが間違つてゐる
わるいのは わたしか