【詩】生物

生物は最初 完全な単体からはじまつた
泣くことも 笑ふことも 怒ることもなく
この世の苦しみの多くから無縁だつた
ただ永い時間の中を独り過ごしてゐた
そんなある日 究極の生物にも一つだけ
孤独といふ感情が芽生へたに違ひない
完璧でなくてもいゝから仲間がほしい
そして 究極の生物は究極を捨てたのだ