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第43回 ベスト・キッド(1984 米)

 最近Netflixで『コブラ会』というドラマが評判を呼んでいます。勿論私も観ました。それも二日で一気に。

 この作品はアメリカにおける空手と盆栽の市民権を確立させた金字塔的作品である『ベスト・キッド』シリーズの後日譚となっています。

 『コブラ会』を味わい尽くすためには当然オリジナルを見ていなければなりません。というわけで、とりあえず3まで断続的にですがレビューしていこうと思います。

 『ロッキー』で世界的名声を得たジョン・G・アヴィルドセンとビル・コンティが送る、気弱な少年ダニエルが空手の達人ミヤギ先生と出会い、成長していくような行かないような物語です。

 リスペクトはあっても理解は足りないちょっとネジの外れた日本観、いかにも80年代らしい能天気なストーリー、ロッキーの『3』『4』寄りのコンティサウンド、パット・モリタ演じるミヤギ先生の胡散臭さ、それでいてロッキー的な王道はしっかり抑えた癖になるシリーズです。

 何の事はない、千葉ちゃんの『激突!殺人拳』をレビューしたのはこのための仕込みだったのです。

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真面目に解説

あれ?ジャッキーは?
 この手の後日譚やリブートは映画ドラマの世界のちょっとしたトレンドです。オリジナルへのリスペクトがあればお客さんは大喜びなので作る方としてもやりやすいのです。

 そして、若い人は『ベスト・キッド』と言うと、ジャッキー・チェンとウィル・スミスの倅がいちゃつく2010年のカンフー映画を思い浮かべてしまいがちです。

 しかし、あれは実はリブート作品で、オリジナルは別にあるのです。あっちも決して悪い出来は無かったですしヒットしましたが、リブートし過ぎてオリジナルのファンからは不評でした。

 むしろ、あのリブートがあったからこそ正当な続編である『コブラ会』が熱烈に歓迎されたとさえ言えましょう。

 ストーリーは全く同じ。いじめられっ子が達人と偶然出会って訳の分からん特訓をしていじめっ子に打ち勝つという『ロッキー』の完全な二番煎じです。しかし、そこに二匹目のどじょうが居たのですからアヴィルドセンは大したものです。

 たった800万ドルで作った映画だったのに、北米だけで1億ドルも収益を上げたというのだから当たり方も『ロッキー』級です。

 当然続編を作ろうという話になり、都合4作作られました。しかし急激に収益は落ち、最後の『ベスト・キッド4』に至っては監督も交代して主演もヒラリー・スワンクに変えてテコ入れが図られましたが、ファンでも内容をよく覚えていないような有様です。

 あれ観るくらいなら素直に『ミリオンダラーベイビー』を観るべきです。冷静に考えればやってる事は大して変わりませんから。


アメリカ人にとっての空手
 空手は沖縄の伝統武道ですが、今やオリンピック競技になろうとしている世界的なスポーツです。

 しかし、空手は日本国内だけでも無数に流派があり、それぞれ見る人が見れば全く違います。

 そんな武道が世界展開するとどうなるか?もう収拾がつかなくなるに決まっているのです。本作で登場するアメリカの空手は完全に独り歩きし、我々日本人の知る空手とは全く別の物になってしまっています。

 主人公のダニエル(ラルフ・マッチオ)は母親の仕事の都合でニュージャージーからカリフォルニアの空手の盛んな地域にに引っ越してきますが。

 そこでメインヒロインであるアリ(エリザベス・シュー)を巡って地元の道場「コブラ会」の実力者でありアリの元カレであるジョニー(ウィリアム・ザブカ)にいじめられるようになります。

 このコブラ会がもう完全に日本人の知っている空手とは別物です。道場主で陸軍の空手チャンピオンだったというクリース(マーティン・コーヴ)以下どいつもこいつも行儀が悪く、勝つ為には手段を選ばず、黒いドラゴンボールみたいな道着を着ています。

 つまり、武道の精神が全くありません。喧嘩に強くなる方法に完全に舵を切っているのです。

 それに対して、ダニエルのアパートの管理人であるミヤギ(パット・モリタ)は本場沖縄出身の正統派の空手の達人であり、武道の精神を前面に押し出した教えをダニエルに授けます。この映画はそういうイデオロギー闘争が核になっているのです。


邪悪な技
 しかし、コブラ会は特別奇をてらった道場とは言えないのです。終盤は空手大会出場というお約束の展開になりますが、他の道場も似たり寄ったりです。技もどこか空手っぽくありません。

 例えば本作ではローキックを邪悪な技と言って忌避します。これはアメリカの空手全体に観られる風潮で、テコンドーの影響だと言われています。

 テコンドーも国の方では色々ドラマチックな開闢神話を作っていますが、作った当人は空手をベースにしたと言っているので一応空手の系譜には違いありません。

 つまり他の格闘技の技術が混ざってしまっているのです。それ自体は全く悪い事ではなく、技術発展のためにはむしろ積極的に行うべきでさえあります。

 例えば柔道は世界各地の土着のレスリングの技術が取り込まれて劇的に進化している最中ですが、それはもう空手がずっと先に通過した道なのです。

 ただ、見た目のハッタリに偏っていて実際の所戦って役に立つのかという疑問は残ります。しかし、それも道場経営の為にはある意味正解ではあるのです。派手な方が弟子が集まるのは当然です。


邪悪な経済
 どの流派もカラフルで奇怪な道着を着ていますが、これだってそういうことです。それに日本の空手だってあんなに露骨でないだけで流派や道場ごとにそれぞれ道着は違います。

 道着についてはもっと切実な理由があります。道着というのは結構高く、すぐ辞めても道着さえ買ってくれれば利益が出る仕組みになっているのです。

 本来白と黒しかないはずの帯なのに、間に何色もあるのも同じ理由です。道場によっては免状も買わされたりします。

 邪悪と言えばその通りですが、空手もまた生計の手段には違いないのです。誰が責められましょうか。


パット・モリタという役者
 ミヤギは最初は空手の達人である事を隠し、大量の盆栽を育てる胡散臭い管理人でしかありませんでした。

 それがダニエルがいじめられているのを見かね、ついにはジョニー達をぶちのめしてしまった事から二人の師弟関係が始まりました。

 最初はこの役は三船敏郎に頼むつもりだったそうですが、何しろ三船敏郎は忙しい上英語ができないので、日系人で適当な役者はいないかと探し回った結果モリタにお鉢が回って来たのです。

 千葉ちゃんやセガールでもよかったのではないかという気もしますが、あの二人だとコブラ会を建物ごと破壊する勢いなので、適度に胡散臭くて達人っぽく見えるモリタは良い選択だったと言えましょう。

 剛柔流という有名な流派の黒帯を持つ本物の空手家で、いとこはボクシングの世界では名を知られたトレーナーのマック・クリハラ。日本人嫌いのブルース・リーに台湾人だと嘘をついて弟子入りした過去も持つなかなかの傑物です。

 とにかくモリタの胡散臭さがこの映画の陰の魅力とも言えます。盆栽を育て、演歌を歌い、謎の日本庭園を持ち、分かったような分からないような禅問答な人生訓を説く、良い意味で日本へのファンタジックなイメージを凝縮したような御仁です。

 この演技でアカデミー助演男優賞にノミネートされました。そして『3』ではラジー賞にもノミネートされ、どこまでもロッキーの後追いとしてこのシリーズは作られていくのです。

字幕のススメ
 基本吹替派の私ですが、このシリーズに関しては字幕で見る事をお勧めします。というのも、『コブラ会』も字幕のみなので、相互乗り入れの観点からそのほうが良いのです。

 そして、日系二世の割に怪しいモリタの英語が堪能できます。酔っぱらって『裏町人生』を歌い、ダニエルに「Japanese Blues」と説明しちゃったりするのです。演歌はジャズじゃなくてブルースなのです。

 その他にも怪しい日本語が頻出するので、字幕で見る方が色々と興味深い発見があります。そもそも、配信で吹替が入っているのは『3』だけです。『4』に至っては配信されていません。


日系人という人種
 日系アメリカ人が戦争で大変な苦難を味わったのは歴史の授業をちゃんと受けた皆様はご存じのはずです。

 80年代にようやく日系人を見直す動きが始まり、それが契機になってこの映画が作られました。和モノは当時のハリウッドのトレンドでもあったのです。

 日本文化への認識不足は明らかですが、認識不足なりにリスペクトはちゃんと感じられる作りになっています。『007は二度死ぬ』あたりとは雲泥の差です。

 そして戦争の間日系人は強制収容所に押し込められていたわけですが、これではいかんと思った勇気ある若者が軍隊に志願し、第442連隊戦闘団という日系人部隊が作られてヨーロッパに送り込まれました。

 何しろ人質を取られているも同然なので命知らずで名高く、今でもその活躍は伝説となっています。

 ミヤギはこの442部隊で米軍の勲章の中で一番価値ある名誉勲章を受章したという設定になっています。言うなれば『ランボー』の大先輩です。

 地獄を見たからこそミヤギの言葉には重みがある。そう思わせるだけの価値が名誉勲章にはあるのです。

 ちなみに本当に442部隊で名誉勲章を受章し、高見山のタニマチでもあり、ホノルルの空港に名前が付いている隻腕のダニエル・イノウエ上院議員は『4』にゲスト出演しています。


謎特訓
 格闘技ものにつきものの謎特訓。ましてアメリカ人に日本文化のミステリアスさを説得力を持って見せる為には外すわけにはいかない要素です。

 したがって、ダニエルはミヤギに弟子入り当初はミヤギのちょっとチャイニーズな日本庭園の付いた道場で雑用ばかりやらされます。

 塀の修繕にペンキ塗り、板の間のやすり掛け、車のワックスがけ、いちいちやり方にも指図してひたすら押し付けるミヤギですが、これが何の意味があるのか教えてくれません。

 流石にダニエルが嫌になってきたところでミヤギは組み手をやらせ、それぞれの動きが空手の基本的な動きを身につけさせる為の物であったことが分かるのです。

 感動的ですが、実際やらされたら嫌になるに決まっています。最初に効能を教えてくれないあたりミッキーよりもたちが悪いところがあります。

 『兵隊やくざ』で出てきた浪曲師の友人は「弟子に課される雑用は謝礼の代わりの労役であって、各種の効能は先人が自分を納得させるためのこじつけで意味などない」と前座仕事で疲れ切った表情も露わに憤慨していました。

 一つ確かな事は、この映画の公開直後に全米の空手道場経営者の家がリフォームされたであろうという事だけです。


ボンザイ!
 そしてもう一つ、本作を印象付けるアイテムがミヤギが育てる盆栽です。この映画のヒットを受けて盆栽は国際的な知名度を獲得しました。

 ミヤギは手始めにダニエルに盆栽をプレゼントして精神論を語り、大胆にバチバチと剪定していきます。

 あんなに無暗に剪定していい物ではないはずですが、盆栽に詳しい人などカリフォルニアにはそうはいないので仕方ない側面があります。

 そして、盆栽は人にホイホイあげられるほど安くありません。しかし、ミヤギは恐ろしく気前が良いのです。

 終いにはダニエルにワックスがけさせた車(フォードV8)や亡くなった妻に作ってもらった道着まであげちゃうのです。

 例の浪曲師は「俺の高座着は自前だ」とやっぱり憤慨していました。友ながら案外血の気の多い奴です。


ミヤギの人生訓
 ミヤギは形あるものだけでなく、種々の人生訓もダニエルに授けてくれます。結構それっぽい含蓄のある出来だったのがのがこの映画が後世に残った所以でしょう。

 「心から表れたものは常に正しい」「若い蜂には若い花」「良薬はくさい」「復讐は最後は二人とも墓の中」「人生全てバランス」「箸で蠅を掴む者全てを成しえる」など、それなりに人生の参考になりそうな語録が飛び出します。最後のは空手じゃありませんが。


いじめられっ子?
 ダニエルはいじめられっ子という事になっています。確かにコブラ会の面々に何かとリンチされ、後難を恐れて誰も近寄ろうとしません。

 しかし、アリだけはダニエルに優しくしてくれます。ちょっと待って下さい。若い頃のムチムチなエリザベス・シューが彼女でいじめられっ子?ふざけるな!

 これでいじめられっ子ならジョージ・マクフライの立場はどうなるんですか?彼が長じて変態髪フェチ野郎になったのはダニエルのせいじゃないのかとさえ思えます。


 ロッキーもそうですが、惨めなようで結構恵まれています。だからこそ『コブラ会』はストーリーに深みが付いたとも言えますが…


荒ぶる鷹のポーズ
 この名前は聞いたことがあるはずです。ネット上で広く流布している例の構えです。

 名前は『神様家族』というライトノベルで勝手につけられたそうですが、初出は本作です。本作では『鶴の構え』と呼ばれます。

 ミヤギの教えを受けて最終的に空手大会に出ることになったダニエルは、コブラ会の反則攻撃に苦しみながらも勝ち進み、決勝戦でジョニー相手にこの構えで勝利を治めます。

BL的に解説

ミヤギ×ダニエル
 師弟関係はそのままホモに直結する。これはBLの基本であり王道です。

 ミヤギはダニエルを寵愛しています。愛のシーソーは明らかにミヤギ側に傾いているのです。そこに下心がなかったと言い切れましょうか?

 そもそもニュージャージーから来たダニエルと強キャラ退役軍人。もうこの取り合わせが怪しいわけです。ハワイで全く同じ組み合わせのホモカップルがいちゃついているのを私は知っています。

 高価な盆栽をくれてやったのも何の事はありません。ダニエルこそがミヤギにとって最高の盆栽だったのです。かくしてダニエルはミヤギに思う様弄くり回されるようになっていくのです。

 やがてハロウィンパーティーがやって来ます。ダニエルはジョニーを恐れて参加を嫌がりましたが、ミヤギはシャワールームのコスプレで姿を隠す奇策を伝授してパーティーに送り出します。

 しかし、案の定ジョニー達と揉めてダニエルは半殺しの目に遭ってしまうのです。そして、ひとしきり痛めつけられた所でミヤギは助けに入り、ダニエルを部屋に引きずり込むのです。

 これはミヤギのマッチポンプです。ミヤギは常に正々堂々というタイプではありません。結構な策士です。戦場で地獄を見た男なれば、何も知らない童貞少年を手玉に取るなど屁でもないのです。

 そしてダニエルを介抱し、ハーブティーを飲ませます。薬膳も空手の内です。どんなハーブだかわかったものではありません。媚薬でも睡眠薬でも思うままです。

 そして空手は防御だけと説きます。ダニエルの尻を狙うための布石である事は言うまでもありません。

 ミヤギはダニエルと一緒にコブラ会に乗り込み、空手大会での決着に向けて道場でダニエルに雑用をさせます。理由は聞くなとくぎを刺したのが後々意味を成します。

 アリと二人で遊園地で遊ぶ無駄なシーンなども入りましたが、ダニエルはミヤギの長年取り組んできた箸で蠅を掴む特訓を一発で成功させてしまいます。

 ミヤギが「Beginner luck」と言って不貞腐れてしまうのが萌えポイントです。ミヤギはこの瞬間、ダニエルに類稀な素質と宮本武蔵を見たのです。

 日本一有名な空手家はその事実を歴史家に指摘されて怒っていましたが、宮本武蔵と言えば有名なガチホモです。ミヤギは内心最初で最後の弟子の色んな意味での素質に股間の松の木が熱くなるのを感じたはずです。

 そしてその夜、遂に雑用への疑問を抑えきれなくなったダニエルの不満が爆発します。しかし、ミヤギは慌てません。組み手で雑用に意味があった事を証明して見せます。

 ダニエルの感動たるや、アリと初めて寝た夜以上の物だったでしょう。そしてダニエルはミヤギの命令にはすべて意味があると固く信じ込んでしまうのです。

 もうお判りでしょう。衆道は日本の武道の基本です。そして、パット・モリタの学んだ剛柔流は柔術も教えてくれる流派です。その夜、寝技の特訓と称してダニエルはミヤギに美味しく頂かれてしまうのです。

 次のシーンではパン一で鉢巻きというどこぞのホモ右翼のような姿で波打ち際で波に身を任せる特訓です。完全に『ロッキー3』です。

 ついでに絡んできた酔っ払いを王道のビール瓶斬りで脅してダニエルの尊敬を集めるのを忘れません。もはや二人の師弟関係は二重の意味で絶対のものとなったのです。

 しかし、これだけでは同じ二世で最近亡くなった世界一のホモハーレムの主と何も変わりやしません。

 読者の皆様に強く訴えたいのはミヤギはあくまで立派な先生でもあり、またダニエルもミヤギを愛しているという純愛である事を忘れないでほしいという事です。

 アリの方は金持ちの娘なので上流階級の付き合いがあり、ダニエルとの行き違いがしばしば生じます。段々とダニエルの中でアリ<ミヤギという構図が出来て来るのです。

 そしてその行き違いがピークに達した夜、ダニエルはミヤギが軍服を着て亡き妻の写真を眺めながら深酒をあおるのを見てしまうのです。

 そしてダニエルにも無理矢理飲ませ、万歳を唱えて乱れます。ハワイのサトウキビ畑で出会った最愛の妻をミヤギは出征中にお産の事故で失ったのです。

 最愛の奥さんを失うというのはホモに走るきっかけとしては非常に多いケースです。奥さんを失ったミヤギはヤケになり、戦地で男に走ったのです。

 ここで注目すべきは、442部隊はイタリアで戦った事と、ダニエル演じるラルフ・マッチオがイタリア系である事です。そう、ミヤギのセクシャリティがこのシーンから明らかになるのです。

 そして名誉勲章とミヤギの戦友の物と思しき認識票もダニエルは発見します。もう何をいわんやです。ミヤギがホモに走ったとして誰が責められましょうか?

 酔い潰れたミヤギに礼をして道場を後にするダニエル。この瞬間、アリはコンドームに落ちたのです。

 二人の仲はもはや後戻りできない領域に入り、道場でダニエルの誕生日パーティーなんて開いちゃうのです。似合わない三角帽子をかぶってハッピーバースデーを歌うミヤギがキュートです。

 そして誕生日プレゼントとしてミヤギはダニエルに道着とワックスがけさせた車をプレゼントします。プレゼント戦術はオヤジの恋の基本ですが、ここまでくると夫婦と言うより愛人とパパというレベルです。

 道着は亡き奥さんの手作り、車のキーには戦友の認識票。ドラゴのストレートより重い愛です。ミヤギにとってダニエルは多少の投資をするに値する男なのです。

 そしてアリの元へ向かうダニエルをミヤギは万歳で送り出します。アリとも無事仲直りして処女に続いて童貞も捨てたようです。女は足に来るというのはボクシングの考えで、童貞を捨てて自信を付けさせるのがミヤギ道空手なのです。

 そして三人でついに大会に臨みます。本来セコンドは先生だけというルールですが、ミヤギは日本語が話せないから通訳にアリを連れてきたと無茶苦茶言って押し通します。

 日本語でオフィシャルをボロクソ言うのが笑いどころですが、通訳というのは要は言葉のコンドームであるのは言うまでもありません。

 ミヤギに上から下から空手の神髄を叩きこまれたダニエルは順調に勝ち進み、準決勝でついにコブラ会の二番手であるボビーとの対戦に臨みます。

 しかし、手段を選ばないコブラ会なので、ボビーはクリーズに鉄砲玉を命じられてダニエルの脚を破壊して反則負けになりつつジョニーを優勝させようという戦術に出ます。

 激痛に悶絶しながらミヤギの名を叫び、ミヤギに抱きかかえられて奥に引っ込むダニエル。ミヤギはもう赤コブラドリンクを飲んだ如きギンギンに違いありません。

 棄権を勧めるアリとダニエルの母。しかし、ダニエルはどうしても戦いたいとミヤギに懇願し、怪しいまじないで気合を入れてもらって天下分け目の決勝に臨むのです。

 ここまでくるとほとんど健さんの任侠映画です。つまりホモです。女は口出しできないマンコントロールの原則がここでも発動してしまいます。

 足のハンデを持ちながらダニエルは果敢に戦い、最後は例の荒ぶる鷹のポーズからの前蹴りで勝利を収めるのです。

 アリが抱き着き、反則の負い目があるボビーにトロフィーを手渡され、それを満足げに眺めるミヤギここはアリにくれてやってもいい事を既に察知しているのです。

 まさに王者の風格ですが、これについては次回以降です。


ジョニー×ダニエル
 穴兄弟なので間接ホモセックスです。しかし、この二人については今回はいいでしょう。後々嫌になるほど解説します。


コブラ会ホモ集団説
 コブラ会は行儀は悪いですがケツ束力は相当なものがあります。ベトナム帰りのクリーズを街の悪ガキどもは確かに信頼し、コブラ会の旗の下に集って先生のために尽くしています。

 クリーズが大会で決着を付けようと決めれば、コブラ会の連中はダニエルに手出しをしなくなるのです。喧嘩が三度の飯より好きな奴らが先生の鶴の一声でけんかを止めるのだから相当なものです。

 そして、『コブラ会』で判明することですが、ジョニーは空手道場は女お断りだと信じていました。勿論それは大間違いである事は『女必殺拳』や『コマンドー』をご覧になった方はご存じのはずです。

 つまり、クリーズは女の子の入門者は断っていたのです。空手道場においてこのあたりの生臭い醜聞はさほど珍しい話ではないのにです。

 つまり、クリーズはガチホモなのです。だとすればコブラ会のケツ束も説明が付きます。しかも弟子の金髪率の高さが異常です。つまりはそういう事なのです。

 そして二番手のボビーはまともに戦ってもダニエルに勝てる自信があったというのに、クリーズにダニエルの脚を破壊しろと命じられて渋々とは言え従うのです。

 もうヤクザと変わりやしません。ヤクザはホモなのはもう散々説明したとおりです。

 そして、『コブラ会』でジョニーは道場を再興するわけですが、自身の経験も踏まえて道場の体制を改革はしつつも、この精神的ホモの境地は完全に受け継がれているのです。

 文太兄ぃは言いました。ヘビはなんぼ切られても、頭さえ残ってりゃあ生き返るんです。コブラとて例外ではないのです。

お勧めの映画

 独自の統計(主観)に基づきマッチング度を調査し、本noteから関連作品並びに本作の気に入った方にお勧めの映画を5点満点にて紹介します

『ロッキー』(★★★★)(同じ人の作った元ネタ)
『激突!殺人拳』(★★)(日本の考える空手)
『イップ・マン 序章』(★★★)(中国の考える空手)

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阿愛@BL的映画レビュー
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