第19回 ロッキー5/最後のドラマ(1990 米)
ロッキーシリーズは前作『ロッキー4』から停滞期に突入します。とりわけ『ロッキー5/最後のドラマ』は評判の悪い作品です。
音楽はビル・コンティに戻り、監督も初代の『ロッキー』の ジョン・G・アヴィルドセンが据えられましたが、ラジー賞に7部門もノミネートされました。以後スタローンはミスターラジー賞の座を不動のものにしてしまうのです。
皆この映画を悪く言います。確かに雑な作りです。ステロイドでも説明不可能なほど短期間で成長したジュニア、ミッキーとの唐突で必然性のない後付け設定、後味のすっきりしないストーリー。シリーズ最終作と銘打たれた割には実に残念です。
ここで皆様に訴えたいのが「残念な映画程BL的に観てみよう」ということです。価値観の多様性の叫ばれるれる昨今だからこそ、多角的な評価軸を持つことは豊かに生きるために必要な事なのです。
今作はまさにそうして観るべき映画です。ロッキーが息子をほったらかしにして若い男に入れ揚げる話です。シリーズで一番評価の低い本作ですが、むしろBL的には最高傑作と言ってもいいくらいです。
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真面目に解説
グローブを脱ぐ日
映画の始まり早々にドラゴとの激闘を終えたロッキーは頭の異変を感じます。医者に診てもらうと結果は所謂パンチドランカー。ロッキーは引退を余儀なくされます。
おまけにモスクワに行っている間に会計士に財産をだまし取られ、無一文になったロッキーはフィラデルフィアに戻り、ポーリーの元の家に住んで唯一担保に入らずに残ったミッキーから相続したジムを再興させ、トレーナーとして第二の人生をスタートさせます。
これでも世界チャンピオンの引退後の人生としてはかなり恵まれていると言わざるを得ません。幸い日本では一人ヤクザになった以外はそれ程酷い目に遭っている例は聞きませんが、大抵のチャンピオンは引退の次にマスコミに名前が出るのは破産か逮捕、さもなければ不穏な但し書きの付いた訃報です。
胡散臭いプロモーターが復帰も持ち掛けますが、ロッキーは断ってしまいます。金に困ってカムバックもよくあるパターンですが、ぶよぶよの身体で聞いたこともない三流相手に惨めな試合を見せるのが関の山です。
今作はこういうボクサーの悲哀の描写にかなりの尺を割いています。スタローンの根暗なところが伺えます。
ロッキー・マルシアノ
廃墟と化したジムでロッキーはミッキーとの後付けの思い出に浸ります。アポロとの試合に際してミッキーはロッキー・マルシアノから貰った天使をあしらったカフスボタンで作ったペンダントなる見た事のないアイテムをロッキーに授けたのです。
ロッキー・マルシアノという名前は初代の『ロッキー』にも出てきました。往年のヘビー級のチャンピオンで、無敗のまま引退し飛行機事故で命を落とした伝説のボクサーです。イタリア系なのでスタローンは特別な思い入れがあるのでしょう。
ただ問題なのは、この回想シーンが特にストーリーに影響を及ぼさないという事です。こういう所が今作は雑です。
ジュニア
ジュニアは前作では小学生くらいだったはずなのに、モスクワから帰ってきたら中学生くらいに成長しています。その昔ナポレオンがロシア遠征をした折、ロシアは旧暦を使っていたので会戦の待ち合わせでニアミスしてお互い酷い目に遭ったという逸話がありますが、ロシアは時間の流れが他所と違うのかもしれません。
演じているのはスタローンと最初の奥さんとの息子のセイジ・スタローン。どう見ても父親よりもいい男です。ブリジット・ニールセンに走ったのは損だと思いますが、エクスペンダブルな人の価値観は常人には推し量れません。
セレブな日々からロッキーの破産を経てデトロイトと並んで全米一の治安の悪さを誇るフィラデルフィアに引っ越し、色々と苦悩する様が今作の一つの軸になっています。
パンチドランカーのせいか生来のウザキャラぶりに拍車のかかったロッキーに困惑気味ですが、ジュニアはロッキーが大好きです。しかし有名人の子供の常で、転校先の学校ではカツアゲを食らいいじめられます。フィラデルフィアは恐いところです。
ジュニアはロッキーにボクシングを教わって対処しようとしますが、大人達の対応が対照的で、キャラクターが出ていて面白いのです。
エイドリアンは「腕力に頼ってはいけない」と弱腰ですが、ロッキーは「決定打を打てるようにしとくのも悪くない」と共和党的防衛論を展開します。ポーリーはダメ人間ですが案外利口なので「バットで殴れ」と簡単かつ確実な方法を提案しますが、結局はロッキー案が通りました。
果たしてジュニアはジムでボクシングを覚え、いじめっ子をKOしてジュエルなるちょい悪の彼女もゲットして生きていく道を切り拓いたのですが、ここでややこしい事態になってしまうのです。
マネージャーはつらいよ
エイドリアンは元働いていたペットショップに戻り、ポーリーはジムでトレーナーの手伝いをしながらロッキーの使い古したガラクタを売りさばく日々です。
ロッキーはフィラデルフィアの昔の馴染みからも人気者で、ジムも結構盛況です。そんな中、オクラホマからトミー・ガンなるロッキーの大ファンという若手ボクサーが訪ねてきたのが間違いの元でした、
演じているのはトミー・モリソンという本物のボクサーです。ジョン・ウェインの親戚という噂があり、ずば抜けて強いわけではありませんでしたが、当時のヘビー級では数少なかった白人選手という事で期待されていました。
果たしてジムでスパーリングさせてみると大変なハードパンチャーです。ポーリーが先に「チャンスの匂いがする」と彼の可能性に気づきました。トミーはロッキーにマネージャーになってくれと懇願しますが、ロッキーは荷が重いと断ってしまいます。
しかし、ロッキーはトミーの熱意と家も家族もないという情に訴える戦術に負け、家に引っ張りこんでジュニアをポーリーに押し付けて部屋を与えて下宿させます。
ジュニアから取り上げた地下室に行くと、仕舞っておいたはずのベルトやトロフィーが飾ってあります。ジュニアの粋な計らいです。なのにロッキーと来たらトミーにミッキーから授かったという「ファイティングは90%が頭で10%が身体だ」という全く実践された気配のない後付けの格言を授け、ジュニアをほったらかしてトミーのマネージメントを宣言してしまいます。
ロッキーはカーマイン神父に祝福してもらい、スパイダー・リコと戦った教会での興行から二人三脚がスタートします。連勝街道を突き進むトミーの傍らでジュニアも己を守る為にジムで懸命にトレーニングに励みます。
トミーには「ロッキーのコピー」という評判が付いて回りますが大きな会場で試合をするようになり、ついにはアポロの形見の星条旗トランクスが与えられるに至ります。これにはエイドリアンさえ複雑な表情です。
そんな中でジュニアは見事いじめっ子をKOし、ジュエルと一緒にロッキーに勝利報告に行きますが、ロッキーは練習の邪魔とばかり邪険に扱ってしまいます。
父親としては最悪の了見です。女性には想像しづらいかもしれませんが、いじめっ子に勝利したというのは男の人生を決定付ける程の金字塔なのです。父親としてはシャンパンと葉巻でお祝いするのが本当です。
なんとも寂しい顔をするジュニアに優しく微笑みかける肉食系女子ジュエル。きっとジュニアはこの日男になったのでしょうが、いじめっ子に勝つというのはそれ以上の重大事項なのです。若い男の魔力は父親の愛さえ曇らせます。
ロッキーがトミーに入れ揚げる一方でジュニアはいじけていき、バルボア家には不協和音が響く中さらなる事件が襲います。
悪い方のデューク
そんなトミーに悪の影が忍び寄ります。ロッキーに復帰を提案した胡散臭いプロモーターのジョージ・ワシントン・デューク(リチャード・ガント)です。
自分の手駒のケインという新進ボクサーとロッキーの試合で一儲けしようとして断られ、付け回してエイドリアンにも悪口を言って試合を迫りますが、ロッキーは応じませんでした。『ロッキー3』なら応じているところですが、ロッキーも少しは成長したのです。
そこで悪い方のデュークは連勝街道を突き進みつつも、ロッキーのコピー呼ばわりされてタイトル挑戦のチャンスにもファイトマネーにも恵まれないトミーに目を付けます。
女と車とマンションを与え、トミーを懐柔にかかります。そんなトミーの異変にいち早く気付いたのはまたもポーリーで「お前の船は沈みかけてる」と不吉な事を言っちゃいます。
そしてやって来たクリスマス。ジュニアはジュエルと舎弟にしたらしいいじめっ子といじけ気味にテレビを見ていますが、ロッキーと来たらこの期に及んでミッキーから貰った後付けペンダントを贈る気でトミーを待っています。
一方トミーは悪い方のデュークと女の接待を受けています。そして悪い方のデュークはロッキーとトミーが正式な契約が無いのを見抜き、2万ドルの小切手で引き抜いてしまいます。
いくら何でもヘビー級のホープが2万ドルで買収できるのは安上りに過ぎます。ロッキーは自分でも言っていた通り、マネージャーの才能は全くなさそうです。
そんな中でジュニアは反抗期全開で家を飛び出してしまい、トミーは金と女にやられてロッキーと決別宣言。ロッキーは悪い方のデュークの危険さは心得ていますが、トミーは聞きません。
何もかも失ったロッキーはどうにかグレる一歩手前のジュニアをとりなしてリカバリーしましたが、ジュニアはやっぱりエイドリアンの息子です。ダメ男について行ってしまう体質です。
一方トミーはチャンピオンになっていたケインをKOしてチャンピオンになります。ロッキーはサンドバッグを殴りながら応援しますが、観客はロッキーを捨てたというので大ブーイングです。
つまり、ケインは使い捨てられたわけです。これが悪い方のデュークの本性です。良い方のデュークは今作では冒頭でちょっと出てきただけでお役御免です。
悪い方のデュークのモデルになったのはかの悪名高いドン・キングです。この人と契約するとチャンピオンにもなれるし短期的には金になるのですが、最後は使い捨てられて破滅するというステロイドのようなプロモーターです。
マイク・タイソンを引き抜く際に、タイソンの義母といい仲になるという荒業を使ったのは有名です。入れ知恵したのはタニマチだった今の大統領です。スタローンは当然彼ともズブズブの仲です。
最後はバーリトゥード
お人好しのロッキーはポーリーやエイドリアンの冷たい視線の中トミーの勝利に大喜びですが、トミーの方は記者にボロクソ言われて大荒れです。そんなトミーに悪い方のデュークはロッキーとの対戦を懲りずに提案します。悪魔の発想ですが、このくらいはドン・キングならやりそうな事です。
そしてテレビカメラを伴って酒場で飲んでいるロッキーにトミーと一緒に挑戦しに来る悪い方のデューク。この期に及んでロッキーはトミーを気遣うのですが、ポーリーが殴り倒されたところでついにブチ切れ、酒場の店先で喧嘩をおっぱじめます。
実に都合よく両者オープンフィンガーグローブを付けています。蹴り有り投げ有り寝技ありの総合格闘技の始まりです。本格的な総合格闘技は1989年に日本でタイガーマスクが始めたばかりだというのに無駄に先進的です。
ロッキーは一旦は負けましたが、パンチドランカーの影響でミッキーの幻覚を見て息を吹き返し、サンダーリップから教わったと思しきバックドロップも駆使してトミーに勝利します。アスファルトの上で投げ技は危険なので絶対やめましょう。
悪い方のデュークはこれを見て恐ろしい変わり身の早さでロッキーにすり寄りますが、ロッキーに殴り倒され(しかも顔面でなく痛いボディ)カーマイン神父に祝福を授けられ、ジュニアと一緒に美術館に出かけて映画は終わります。
トミーの末路は想像したくもありません。モリソンは今作のおかげで知名度も上がり、世界チャンピオンになれましたが長くは続かず、HIVに感染して若くして命を落としました。ジュニア役のセイジも若くして亡くなったのはご存知の方は多いでしょう。
そして、シリーズ最終作を謳っておきながらシリーズはまだまだ続くのです。しかしご安心ください。ここから後は決して見て損をさせない出来です。
BL的に解説
ボクサーとおやっさんの力学
ボクサーとおやっさんは必然的にそうなるという事をこのシリーズでは散々説明してきました。しかもこの方程式は万国共通です。性別にさえ目をつぶれば『ミリオンダラーベイビー』なんてとんでもないBLです。
何と言ってもボクサーとトレーナーは苦楽を共にする仲です。回りもちやほやしてくれる勝った時よりも、負けた時こそボクサーに寄り添ってやるのが本当に良いトレーナーとされます。BL的にはもうそうなるより仕方ないのです。
今作はその傾向がシリーズでも最も顕著に出た作品です。ミッキーとロッキーの仲はますます掘り下げられ、ロッキーは自身にミッキーを投影し、トミーに自らとアポロの面影を見出すのです。倒錯していますが純愛です。
ミッキー×
死んだはずのミッキーとの仲が1作品飛ばして強化されました。まともに見れば後付けですが、BL的観点では掘り下げです。あの無駄な回想シーンには他に存在意義などありません。
妻子もなく、友人も皆あの世に行ってしまったミッキーは、お前が居るから生きているとヘビー級の愛を語り、自分が去った後のロッキーの身の振り方を心配し、件のマルシアノのペンダントを授け、このペンダントを付けていれば「ミッキーが付いてんだぞ」と天使が囁くとヤバい事を言い、ロッキーもロッキーで「天使はあんただったよ」とか言っちゃいます。
現役時代の女遊びが過ぎて男に走ったと噂の日ハムの栗山監督が大谷翔平を評して「翔平はエンジェルだった」と語って気持ち悪がられていましたが、通じるものがあります。違うのは大谷よりもロッキーは愛を素直に受け取っているという事実です。夜の二刀流です。
そして、ロッキーに父親が居ないのは以前から語られることですが、ミッキーのジムは養子相続であるというとんでもない情報が語られます。
二人が養子縁組をしていた?だとしたら養子縁組は歳の差ゲイカップルの定番です。ロッキー同様何回引退してもリングに上がるのを辞めない元国会議員と東洋の大巨人もそういう仲であったと言われています。ミッキーはロッキーを涅槃で待つのです。
トミー×
ここに来る方なら「愛と青春の旅だち」は見ていると思います。去勢牛とホモで有名なオクラホマからやって来たトミーですが、彼は角が無いからホモに違いありません。
ロッキーにべた惚れのトミーは押しの一手でロッキーに取り入り、見事にロッキーと一つ屋根で暮らすという最高に美味しい状況に持ち込むことに成功します。生粋のインファイターです。
そしてロッキーもまたトミーの素質に惚れこみ、マンツーマンで猛特訓を施します。トレーナーが逸材に惚れこみすぎて他の選手がいじけるというのはよく聞く話ですが、どう考えても常軌を逸しています。何でレスリングをやってるんだという話です。
この分だと夜はレスリングばっかりやっているに違いありません。トミーの股間のマシン・ガンが火を噴きます。こういう観点からも彼は去勢牛ではありません。
そしてアポロのトランクスまであげちゃいます。歴史は繰り返すのです。更にはマルシアノのペンダントまでやろうとしますが、結局トミーはここで金と女にスポイルされてロッキーを捨てます。
悪い方のデュークの宛がったスケベそうな赤毛女はロッキーとトミーの別れ話に口をはさみますが、トミーは乱暴に阻止しました。身体は許しても心はまだロッキーにあった証拠であり、男同士の問題は結局男同士ですべて決まるというマンコントロールの原則が発動しています。所詮赤毛女もコンドームです。
そうしてトミーはタイトルを獲得するわけですが、ロッキーと仲良しのフィラデルフィア市民には2人の仲は知れ渡っているのです。俺たちのロッキーとこんな最低の別れ方をすれば怒るのは当然です。彼は愛を売ってベルトを買ったのです。
スタローンが家にブリジット・ニールセンの銅像を建てるようにロッキーは自分を捨てたトミーを最後まで応援していました。兄弟のように思っていたと隠す気ゼロの未練たらたらなことまで言っちゃます。
しかし、トミーの方は可愛さ余って憎さ百倍、男のジェラシーを爆発させてロッキーに喧嘩を挑みますが、見事に敗れます。ロッキーの勝因については次項に譲ります。
ポーリー×
勝因はポーリーへの愛です。モスクワでのキスを経て今作では明らかに二人の仲は接近しています。
財産をだまし取る税理士の書類にサインをしたのはポーリーです。なのにロッキーは怒る様子もなく、さっさと家屋敷を売ってフィラデルフィアに帰ってポーリーの家に身を寄せるのです。お人好しにもほどがあります。
しかし、こういう時こそガッツォさんに頼むべきだと思うのですが、助けてくれるどころかロッキーは取り立て屋時代の罪状までほじくられて逆にピンチです。
ロシアンマフィアの台頭は世界の悪のパワーバランスを大きく変えたそうなので、ガッツォさんはもうこの世の人ではないのかもしれません。生きていれば税理士のベッドに馬の首を放り込むくらいの事はしているはずですから。
とにかく、ポーリーはトレーナーの手伝いを始めます。そしてロッキーより早くトミーの素質も、トミーが落ち目なのも察知します。三度ランキング1位から落ちた男の執念とジェラシーのなせる業です。
そしてトミーのタイトルマッチではロッキーがトミーを熱狂的に応援する傍らで、俺のロッキーを捨てたトミーにひたすら辛らつな言葉を投げつけます。それも「お前とは根性が違う」だのとロッキーを持ち上げてトミーを下げる高等テクニックを用います。ホモ特有の言語感覚と言う他ありません。
そして飲み屋に押しかけてロッキーに恨み言を言うミッキーにポーリーは恐らくシリーズ最高の演技であらん限りの悪態を突き、「手前なんかただのジョークだ」と決め台詞です。そう、義兄弟の契りを結んだ俺とロッキーにとって、お前なんかジョークグッズだという強烈な意思表示です。
そしてポーリーは殴られ、ついにロッキーはキレます。悪い方のデュークにエイドリアンを侮辱された時は我慢したのに、ポーリーが殴られると我慢できないのです。ロッキーの中での優先順位がポーリー>エイドリアンになった奇跡の瞬間です。エイドリアンはコンドームとは言いませんが、バイブ程度の存在でしかなくなったのです。
ポーリー×ジュニア
ロッキーというベルトの獲得に悩む一方で、ジュニア王座はしっかりと獲得の準備が進んでいます。ジュニア光源氏作戦についてはむしろトミーの登場で大いに進展しました。
ジュエル曰く「イタリア人にしちゃいいおケツしてる」そうですし、機は熟したのです。冒頭のロッキーのシャワーシーンを見る限り、イタリア人の尻が特別悪いとはとても思えませんが。
トミーが家に転がり込んだことによりジュニアはポーリーと相部屋になります。ロッキーは若い男の為に息子の処女をポーリーに差し出したと言ってもいいでしょう。最初は痛いですから、ジュニアはさぞやロッキーを恨んだことでしょう。
しかし、ポーリーはジュニアのトレーナーとしてバットで殴るよりも困難な道を後押しします。そしてジュニアが寂しそうにしているのを見抜きますが、ロッキーは水をかけて邪魔しちゃいます。この辺は普通に良きおじさんです。そこに下心があったとしても、ロッキーの最低な振る舞いを考えれば黒字です。
しかし、ミッキーはロッキーのお情けでセコンドについているものかと思っていましたが、今作を観ているとちゃんとトレーナーとしての勉強はしていた気もしてきます。少なくとも、ロッキーは忘れていた女は足に来るというミッキーの金言をポーリーは覚えていたのですから。
いじめっ子×ジュニア
一方いじめっ子を殴り倒してフィラデルフィア流に地位を獲得したジュニアは、ジュエルをゲットしたばかりではなくいじめっ子も従えるようになります。
童貞と処女を一気に捨てたイタリアの種馬の息子の性欲が暴走するのは当然です。当然暴力で屈服させたいじめっ子達は餌食になるわけです。前についてはジュエルが居るので彼らは後ろ担当です。
そしてジュニアは絵に才能を発揮し始めます。男も女も知らなかった頃はフランス語教師の稚拙なオッパイなど書いていましたが、性に目覚めてからはトミーのタイトルマッチを観るロッキーとポーリーをスケッチして「本当のチャンピオンはパパだ」などと可愛い事を言ってプレゼントしてくれます。明らかに腕が上がっています。
芸術家にゲイが多いのは根拠はありませんが広く知られる事実です。ジュニアはもう後戻りできない段階に来ていたのです。
カーマイン神父×
最後に美味しいところをかっさらっていったのはカーマイン神父でした。そもそもロッキーやトミーのキャリアは神父の教会からスタートしたのですから、根っからそういう趣味だったのでしょう。
例にもよって信心深いロッキーはカーマイン神父に何かと頼ります。当然「パンチが強くなる秘跡」とか言われればロッキーは簡単に尻を差し出すのです。
ロッキーの金銭感覚を鑑みるに、興行に際して教会の使用料も払えたか怪しいものです。そこは当然身体で払います。売れない芸人や二軍の野球選手の追っかけに不純な動機の輩が混じっているのは知られた話ですが、カーマイン神父が駆け出しのボクサーの興行に教会を貸すのはにどす黒い下心があったとして何ら驚くことはありません。
そして天下の往来でトミーばかりか悪い方のデュークを殴り倒すという罪深い所業を行ったロッキーに祝福を授けます。
ボクシングファンなら誰もがドン・キングの悪行を知っているように、悪い方のデュークの悪行も動機がどうあれボクシングが好きなカーマイン神父が知らないはずがありません。
そういう意味では祝福を授けたくなるのは納得ですが、こんなことをしていたらガッツォさんが命を落とすほどフィラデルフィアの治安が悪化するのも当然です。
お勧めの映画
独自の統計(主観)に基づきマッチング度を調査し、本noteから関連作品並びに本作の気に入った方にお勧めの映画を5点満点にて紹介します。
『ロッキー』(1976 米)
『ロッキー2』(1979 米)
『ロッキー3』(1983 米)
『ロッキー4/炎の友情』(1985 米)
『ロッキー・ザ・ファイナル』(2006 米)
『クリード チャンプを継ぐ男』(2015 米)
『クリード 炎の宿敵』(2018 米)
『レイジング・ブル』(1980 米)(★★★★★)(上品なボクシング映画)
『リベンジ・マッチ』(2013 米)(★★★★)(そして悪魔合体)
『ランボー』(1982 米)(★★★★★)(根暗な側面の出たスタローン)
『エクスペンダブルズ』(2010 米)(★★★★)(ねじの外れたスタローン)
『ベスト・キッド』(1984 米)(★★★★)(空手バージョン)
ご支援のお願い
本noteは私の熱意と皆様のご厚意で成り立っております。
良い映画だと思った。解説が良かった。憐れみを感じた。その他の理由はともかく、モチベーションアップと資料代他諸経費回収の為にご支援ください。
私も一回くらい確定申告がしてみたいんです