第86回 俺たちフィギュアスケーター(2007 米)
さて、本日はバレンタインデーであります。まったく汚らわしい日です。カカオ農家の小作人は生涯チョコレートを食べられないというのが本当か知りませんが、声を大にして言いふらしたくもなります。
さて、女が男にチョコレートを贈るというのは菓子屋の陰謀であり、愛の形は男と女に限定されるというのはキリスト教の都合です。そんなものはぶっ壊しましょう。
ということで、これまた冬季五輪に便乗して露骨なホモで愉しみましょう。今回は『俺たちフィギュアスケーター』でお送りします。
ウィル・フェレルの名声を不動のものとした男同士のフィギュアスケートペアの物語は底抜けにアホで不謹慎ですが、その一方で考えさせられる瞬間があるあたりがフェレルの名人芸であります。
何しろ題材がフィギュアスケートで、ここにフェレル得意のブロマンスが絡まり、ホモネタも大安売りで腐の皆様も満足いただけることを保証しますが、現実はもっと凄いのがこの世界の奥深さでもあります。
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真面目に解説
フィギュアスケーターという生き方
フィギュアスケートというのはスポーツであると同時に舞踏の一種であって、幼少期から始めなければトップクラスに到達できません。
その上スケート競技なので恐ろしくお金がかかります。金持ちの子供に生まれることがスタートになる性質の物です。その観点ではバスケやボクシングとは対極に位置する物です。
本作のメインヒロイン♂であるジミー(ジョン・ヘダー)はレアケースで、養子をアスリートに育てることを道楽にしている金持ちのダレン(ウィリアム・フィクナー)に才能を買われて養子になり、過酷で禁欲的なトレーニングで仕込まれています。
そのスパルタぶりたるや女の子のファンを気にするとダレンが女なんて汚らわしいと怒るほどです。まあ、フィギュアスケーターが女を相手にする時点でどこかおかしいのですが。
ジョン・ヘダーはコメディ俳優ながらそれなりのイケメンで、派手な衣装を着こめばそれっぽく見えるのは流石です。あれでも若い頃はモルモン司祭として日本で自転車を走っていたというのですから人間はわからないものです。
ウィル・フェレルというなんちゃってマッチョ
ジミーのライバルがウィル・フェレル演じるチャズです。もっとも、フェレルのようなむさくるしい男はフィギュアの世界ではあまり見かけません。
そこで過剰に味付けします。デトロイトの地下スケート育ちで、ストリッパーのようなノリでマッチョイズムを前面に押し出した演技をします。見るからにアホっぽくて楽しいですが現実的じゃありません。
これがフィレル一流の名人芸で、似た邦題の無責任映画が一杯ありますが、元祖の『俺たちニュースキャスター』から始まってどれもこんなノリです。つまり、これでいいのです。
特にハンカチで汗を拭いて女性客に投げて寄越すのは杉良太郎の方法論です。大衆演劇が男芸者の集団であることは想像がつくでしょうし事実です。つまり、主人公の二人は方向性は違ってもどっちもどっちでホモ臭いのです。
仲人もヤバい奴
さて、二人はオリンピック(パテントがうるさいので明記されない)で同時優勝という快挙を成し遂げますが、表彰式で喧嘩をして追放処分を受けて転落します。
本物のフィギュアスケーターが多数出演していますが、処分を下す偉い人の中にナンシー・ケリガンが居るのが笑いどころです。二人の転落スピードはトーニャ・ハーディング以上です。
元よりコーチもマネージャも居ない一匹狼(ぼっちともいう)のチャズはドサ回りのアイスショーに出演しながら酒と女に溺れ、捨て子された可愛そうなジミーはスポーツ用品店のバイトに収まります。
ところが、ジミーのストーカーのヘクター♂(ニック・スウォードソン)が風向きを変えます。
このヘクターは凄まじいヤンホモですが、それだけにジミーが復帰するように考え、競技規則を熟読してあくまでシングルから追放されただけでペアなら出場できるという事実に行き着きます。
しかし、準備期間がないのでペア探しは難航。チャズのアイスショーへスカウトに行って二人は再び喧嘩をして臭い飯を食う羽目になります。
それがニュースになり、その動きにペアとしての可能性を見たのがジミーと一緒にダレンに捨てられたコーチ(クレイグ・T・ネルソン)で、お待ちかねの男同士のペアが結成されます。
このコーチも大概おかしい人で、北朝鮮に危険な新技を売り込んで死人を出した過去があったりとブラックなネタが大安売りされます。だからフェレルの映画は面白いのです。
氷上の四十八手
かくして2人は特訓に入ります。スポコンと同時進行でホモネタが雪崩のように飛び出してくる特訓シーンがあるいはこの映画の最大の見せ場かも知れません。
元より二人は世界トップのスケーターかつ話題性が飛び抜けているので、保守派に差別的な事を言われつつも競技会に出場すると一気にスターに返り咲きます。
この演技がまあ想像通りで、考えられる限りの下ネタが繰り出されます。これがまた楽しいのです。
困難と成功の積み重ねで二人は打ち解けていき、BL的にも美味しいことになってくるのですが、細かい話は後です。
ライバルはもっとヤバい
さて、フィギュアのペアというとノンケの夫婦や男女きょうだいが少なくありませんが、本作でもストランツ(ウィル・アーネット)とフェアチャイルド(エイミー・ポーラー)のウォルデンバーグ兄妹がライバルとして登場します。
アーネットとボーラーは当時本当の夫婦だったので異様に仲の良いこの兄妹ははまり役でした。演目がケネディとマリリン・モンローの不倫がテーマというのも笑いどころです。
ウォルデンバーグ兄妹はチャズとジミーに地位を脅かされるのを恐れ、末の妹で暗い過去を持つケイティ(ジェナ・フィッシャー)にハニートラップを仕掛けさせたり、トーニャも腰を抜かすあからさまな妨害を行います。
しかし、こういう映画ですのでそのあたりは丸く収まります。実にホモ臭くアブノーマルに、しかしさわやかにこの映画は終わるのです。
BL的に解説
フィギュアスケートとゲイ
フィギュアスケーターにはゲイが多い。これはゆるぎない事実です。『ユーリ!!! on ICE』はむしろノンケ臭かったと言ってもいいレベルです。
例えば羽生結弦は明言を避けていますが、コーチ、振付師、衣装デザイナーのいずれもがオープンゲイです。wikipedeiaで「エイズで死亡した人物」というカテゴリは81人中なんと7人がフィギュアスケーターかアイスダンサーです。
脚本家がゲイのかの『フレンズ』にはノンケであることを苦悩して隠すアイスダンサーなんてのも出てきました。作中にも明らかにゲイの振付師ジェシー(ロマニー・マルコ)も登場します。
エイズはその性質上イケてる男(財力も含む)ほどなりやすいという原則があるので、ある種のゲイにとっては最高にイケているフィギュアスケーターに多いのは当然と言えます。
フィギュアスケートをこよなく愛する姉さん方の反応は保守的価値観に基づく拒絶か、あるいは女に盗られるよりマシというものが多いですが、私はこの点大歓迎です。ゲイが輝ける場所があるのは素晴らしい事ではないですか。
ダレン×ジミー
さて、ジミーは修道院に預けられていた孤児で、スケートの才能を見込まれてダレンに引き取られたという経緯があります。
ダレンの元には同じようにして集められた養子のアスリートが一杯居て、非人道的なまでのトレーニングを施されていることが明示されます。
ここで孤児と養子という物の暗部に私はクローズアップせずにはいられません。そこには性的虐待という忌々しい問題が付いて回るのです。
つまり、ダレンは小児性愛者で養子を食っているのです。とすると、スポーツはそのための隠れ蓑であり道具です。
日本語にはスポーツバカという言葉があります。スポーツに打ち込みすぎて世間を知らないまま大人になってしまった人を指す言葉ですが、ダレンは養子をことごとくスポーツバカに仕込んでいるのです。
ハードトレーニングを課して他の楽しみを一切教えずいても、いつか人間は性に目覚めます。そこでダレンの魔の手が伸びるのです。性処理を自ら行うという口実を付けて性処理に使うのです。
ファンの女の子に興味を示そうものならダレンは「女なんてばい菌とバクテリアの塊」と断じます。「女なんて」というのがポイントです。ダレンがフィギュアスケートが美的感覚に優れるとされるゲイが有利なのを知らないはずもなく、またダレンだけを見ているように仕込むのも当然です。
しかし、ダレンはジミーがチャズと同点優勝になったと知るやコーチをクビにし、追放されたジミーをその帰路で冬の田舎道に放り出して養子縁組を解消します。
これは少年愛者としては考え得る限り最悪の了見です。少年愛者には少年の成長を温かく見守り、身が立つように図らう責任があるのです。それが古代ギリシアの昔から続いできたこの甘美なる文化の根幹であります。
おそらく他の養子もこうして飽きたら捨ててきたのでしょう。このような汚らわしい男には少年を愛する資格はありません。
その後のジミーの落ちぶれ方にもダレンの陰が覗きます。ジミーは確かに追放されましたがトップスケーターであり、追放の理由も同情の余地があります。
ダメ人間で人望のないチャズさえも一応アイスショーの口があるというのに、半ば貰い事故で追放されたジミーにその機会が与えられないのは明らかにおかしいでしょう。
例えば羽生とプルシェンコが表彰台で痴情の縺れから殴り合ったとして、アイスショーのプロモーターは放っておくはずがありません。とすれば、これはダレンの差し金です。
ダレンはまた新しい少年を拾ってきて食い散らかすつもりでしょう。とすれば、ジミーが興行数の有限なアイスショーで活躍するのはその新しい少年の障害になります。ダレンはプロモーターに圧力をかけているのです。
書いていて気分が悪くなりました。ダレンのような男こそエイズで全身が腐って苦しみぬいて死ぬべきなのです。
チャズホモのホモ嫌い説
チャズの方も怪しいものがあります。デトロイトの地下スケートから身を興したという現実味のなくて頭の悪い設定があるとしても、その行き着く先がフィギュアというのは普通じゃありません。アイスホッケーが本来で、百歩譲ってもスピードスケートでしょう。
とすれば、チャズもホモギャングに慰み者にされた悲しい過去があるのでしょう。歯をくいしばって耐えるうちにメスの快楽とゲイ術性が目覚めたとすれば、フィギュアに行く理由が説明できます。
また、チャズはセックス依存症でもありますがこれも意味深です。ジェームズ・ボンドは同性愛傾向を隠すために女に狂っていると私は力説してきましたが、これと全く同じ構図です。
ホモソーシャルの極致であろう地下スケートの世界にあってオカマを掘られて嘲笑されていたチャズが、そのトラウマから逃れるために過剰にマッチョを演じて女に狂う。大いにあり得る話であり、同情すべき点があります。
ダレン×コーチ×ジミー
さて、例にもよってバックボーンを明確にしたところで本題に入りましょう。まずは前菜です。
ダレンもそうですが、コーチにも女っ気がありません。これはもうコーチもゲイと見るべきでしょう。
とすれば、劇中では最高のイケメンという事になっているジミーを手塩にかけて育てたコーチがジミーに何の感情も抱かない方がおかしい話です。
しかし、二人はダレンの下に居る限り決して結ばれることがありません。ジミーはダレンのペットだからです。
そもそも、コーチからしてダレンに飼われていたのではないでしょうか?小児性愛者は年頃の相手でもイケるケースがむしろ多いとされます。ダレンもそうなのでしょう。
コーチは有能ではありますが、危険な大技「鉄の蓮」をアメリカのスケート界で受け入れてもらえず、北の将軍様に売り込みに行くような男です。それで死人を出してしまったとあってはもはや行く先がありません。
そこへ腕さえ確かなら後の事はどうでもいいダレンが声をかければ、コーチは尻を差し出さずには済みません。もっとも、あの世界にこの手のMetooがないとはとても思えないのです。
しかし、師弟共々ダレンに放り出され、コーチはたまたまジミーとチャズの痴話喧嘩を目の当たりにして可能性を見出し、留置所まで二人を迎えに行きます。
そこにはジミーへの肉欲もあったでしょうし、自らの返り咲きへの期待もあったでしょう。だとしても、二人を指導するコーチはあくまで真摯であり、私費を擲っています。
苦難を乗り越えて金メダルを獲得した二人を見守るコーチの感慨深い表情をご覧ください。そこには二心は無く、ただ達成感と教え子の成長への喜びがあるのみです。これが主君と小姓の本来あるべき姿なのです。
チャズとブラザーになり、ケイティも手に入れたジミーにはもはや昔のように抑圧がありません。ファンの女の子を食ったらケイティも怒るでしょうが、男は許すはずです。コーチとジミーはかくして結ばれるのです。
チャズ×ジミー(リバあり)
左右は公式です。コーチが指導に際してジミーが女役と明言しました。リンクとベッドで左右逆転なんて邪道です。
二人はライバルであり、全く対極の人生を送ってきました。エリートでストイックでチャズに女子中学生呼ばわりされる程中性的なジミーと、叩き上げで自堕落でマッチョイズム過剰のチャズ。これ以上の組み合わせはありません。
元より犬猿の仲でしたが、意外にも表彰式で先に手を出したのはジミーの方でした。ちょっと生意気なところを見せてくるとは作り手はよく分かっています。チャズを「うんち顔」呼ばわりするのも意味深です。
そして仲良く転落人生に入りアイスショーで喧嘩しますが、この時点でコンビネーションは完璧です。これはもう神に祝福されたカップルであったという事です。
留置所でボンボンと組みたくないと言われて憤慨するジミー、お前の事は結構知ってると爆弾を落としてくるチャズ。喧嘩ップルとしては100点満点です。
普段からペアで暮らせというコーチの金言も、その辺りを分かってやっていたのでしょう。ペアはホモカップルになるくらいが正しいというのはゲイが当然のフィギュアの世界では当然の発想です。
チャズの持っているクジラの骨で作ったヘアブラシの自慢で早速二人は氷解し始めます。こんな映画を作る人間がメルヴィルがゲイで『白鯨』が事実上ゲイポルノである事を知らないはずがありませんし、ゲイと鯨の言語学上の奇跡的一致も知っていてもおかしくありません。
そして二段ベッドでチャズが上を取るのも二人の関係を暗示しています。重ねて言いますが、リンクとベッドで左右逆転なんて邪道です。
初練習で男らしさ合戦をおっぱじめ、ジミーがパンイチで乳首を擦り切れさせながら滑るのはもはや前戯です。どのみち体重の関係でコーチは左右を決めているのですから。
スポーツニュースでホモフォビアの声が取り上げられるのが笑いどころなのでしょうか。フィギュアスケートに男らしさを求めるのは、ヴィーガンが焼肉屋に行くに等しいと私は思うのですが。
公式戦初登場はジミーのキャリア初転倒がありましたが、チャズが手を貸して励まして演技再開となり、観客の心を鷲掴みにします。そりゃあそうです。ゲイや御姉様方がこんな物を見たら興奮するに決まっています。
そして玉掴み、縦69、背面駅弁、そして松葉崩しでフィニッシュとなります。完璧にホモセックスです。採点上どうなのか分かりませんが、それはもうどうでもいい事です。二人は完璧にデキてしまいます。
翌朝チャズはジミーに自分の身体に入れた名スケーターとの女遍歴に基づくタトゥーを披露します。よく名誉毀損で訴えられなかったものだと笑うようなビッグネームです。そして、昔の女自慢というのは間接ホモセックスの一形態だと私は思います。
ジミーはここへ来てケイティに恋をしたと相談を持ち掛けます。もはや二人はデキている証明です。ノンケでもなかなかこんな相談できるものではありません。
あまつさえチャズはケイティに電話をかけて仲を取り持ち、デートの約束を取り付けさせて抱き合って喜びます。ジミーはもう少年ではないですが、これが正しき少年愛の姿です。こんなアホ映画で少年愛の美を熱弁することになろうとは思いませんでした。
ここへ来てコーチも二人のコンビネーションは完璧と踏んで、北朝鮮でスケートで女子選手の首を切り落とした禁断の大技「鉄の蓮」に挑戦させます。
男同士ならできるだの、互いの尊敬の上に咲く一輪の花だの、ホモは文豪としか言いようがないコーチの売込みに乗って練習する二人。案の定事故が起きてチャズがスケートで怪我します。いきなりハードなSMに突入しましたね。
モントリオールでのオリンピックの記者会見でチャズの過去のジミーdisをほじくり返す意地悪記者もいましたが、二人はこのままトロントへ行って挙式しそうな勢いです。
ところが、ここでウォルデンバーグ兄妹がケイティをチャズと寝させてこの夫夫を切り裂くという悪魔的悪だくみを狙います。チャズは苦悩しつつもおっぱいまでで我慢しましたが、現場に出くわしたジミーに「ふしだら」と言われてケツ別してしまいます。
弁解の為に夜通し留守電を入れ続けるメンヘラチャズ。ここへきて愛のシーソーは完全にチャズに傾いているのが明らかです。ハロウィンではジミーがバットマンで自分がロビンをやると事実上のリバ宣言までかまします。
ジミーの方も会場で放心状態です。その隙を突かれてウォルデンバーグ兄妹に二人は別々に監禁されてしまうのです。
しかし、愛の力で兄妹の妨害をはねのけて会場入りした二人。ジミーが待っているのを見て放送席が「ジョー・モンタナの居ないジェリー・ライス」「モハメド・アリの居ないジョー・フレイジャー」「チューバッカの居ないハンソロ」と冷やかします。
これは解説しておかねばいけません。ジョー・モンタナと言えばアメフト史上もっとも有名なQBですが、彼のパスはジェリー・ライスが捕ってくれなければ始まりません。
モハメド・アリと言えば言わずと知れたボクシングの神様ですが、ジョー・フレイジャーという偉大な挑戦者が居たからこそ神様になれたのです。
ただ、最後のは絶対に納得できません。どう考えてもチューバッカが受けでしょうが!
そして会場に駆け込んでケイティとは寝ていないしヤリマンじゃないと改めて弁明して和解した二人。サーシャ・コーエンがチャズのパンツを拾って欲情しているのが笑わせます。
しかし、チャズは脱出の過程で負傷したので女役に回ります。マジでロビンになっちゃいました。これはジミーを一人前の男と認めた証明であり、攻めが特別な相手にだけ受けに回るという最高の愛情表現です。
おまけにフェアチャイルドがネックレスの真珠をリンクにばらまくという羽生結弦でも回避不可能の嫌がらせを行いますが、鉄の蓮リババージョンは成功し、見事金メダルと本当の愛を獲得します。
ジミーがケイティとキスして「チャズに教えてもらった」というのが意味深です。どうやって教えたかは議論の余地はありません。ケイティも負けを認めざるを得ないでしょう。腐女子になるしか浮かばれる道はありません。
フェアチャイルド兄妹が騎馬警官の前でキスしてカーペンターズするのを尻目に、チャズは「弟ができた」とジミーのほほにキスして世界中に宣言します。
そしてチャズは肩の自分を象徴する一匹狼のタトゥーの隣にチャズの顔を彫ったのを披露していつまでも一緒だと事実上のプロポーズをかまし、文字通り飛んで行って星座になります。行先は勿論トロントです。
幸いケイティはコンドームにならずに済みます。というのもジミー演じるジョン・ヘダーはモルモンです。モルモンと言えば一夫多妻制であり、近年は同性愛も容認する方向です。三人の夫婦もOKなのです。
ジミー×ヘクター
トリはこっちでお送りします。ヘクターは恩人ですし、チャズもケイティも許すでしょう。
そもそも、男のフィギュアスケーターに自分の血液を送りつける男がノンケの訳がありません。三島由紀夫がノンケである方がまだあり得ます。
表彰式で欲情しながらジミーに抱き着くヘクターの姿をご覧ください。後で他のファンに闇討ちされた可能性大ですが、きっと返り討ちにしたのでしょう。オメコ芸者、わりゃあ黙っとれというわけです。
バイトで鬱屈を暮らすジミーに、接近禁止命令も厭わず迫るヘクターをジミーも邪険にしないあたり、やはり愛に飢えていたのでしょう。なんならもうヤっているかもしれません。
皮をはいで着ぐるみにしたいというシリアルキラーの発想が愛の重さを物語っています。そして、男子シングルは駄目だがペアならいいという発想から左右を決めることができます。
というのも、ペアで他の女に身を任せるジミーというのはヘクターとしてはあまり面白い物ではないはずです。とすれば、女子シングルの方がいいという考えがあります。
モロッコやタイへ行かなくても、ヘクターは自分でジミーを去勢できそうです。しかし、そうしなかったのはヘクターが受けである何よりの証拠です。
そしていつか殺すからと宣言して去っていきます。浮気して殺すというのは我が国のノンケヤンデレでは珍しくもない展開ですが、自ら殺す事で愛を完結させることが前提になっているのは井原西鶴の『男色大鑑』の世界です。次元が違います。
ジミーとチャズの返り咲きの表彰式ではヘクターはどこで仕立てたのか昔のジミーの衣装を着て涙声で祝福し、そのメダルを裸でかけたいとあくまでヤンホモ一直線です。
全てが終わり、エンドロールでヘクターは自分と二人のフィギュアで遊びながらチャズにジミーをよろしくと申し送ります。けどこれも大丈夫。ジミーはモルモンですから。ケイティが殺されなきゃいいのですが。
お勧めの映画
独自の統計(主観)に基づきマッチング度を調査し、本noteから関連作品並びに本作の気に入った方にお勧めの映画を5点満点にて紹介します。
『クールランニング』(1993 米)(★★★)(北京五輪便乗企画)
『ロッキー3』(1983 米)(★★★★)(似た話)
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スケートどころか雪合戦すらやった事ないんです
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